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フォトまち便り「Hello Local」vol.43 下田写真部~ささやかな宝探し~


紀南、富山、郡山、下田の4つの地域写真部が綴っていく連載企画「フォトまち便りHello Local」。今回は、下田写真部の渡邉悟さんによる「ビーチグラス」をテーマにしたフォトエッセイ。渡邉さんは今回で2巡目の投稿になります。前回は地元目線で下田のまちを、今回は渡邉さんならではの海の楽しみ方を紹介。
まちの過ごし方、楽しみ方は人それぞれ。連載の回を重ねていくうちに、いろんな楽しみ方があることを教えてくれますね。


ビーチグラス(シーグラス)との出会い。

数年前、地元の海岸を歩いていた時のこと。

季節は忘れてしまいましたが、砂浜に何やら太陽に当たって光っているモノを見つけました。「おっ!」と思い、拾ったのがビーチグラス(シーグラス)でした。
ただのガラスの破片なのに、その綺麗さに面白さを感じたのを覚えています。そこの浜ではビーチグラスがたまたま多く流れ着いていて、「あ、ここにもあった!」「ここにも!!」と、気づけば夢中になって拾っていました。まるでちょっとした宝探しをしているようでした。

浜辺で輝くビーチグラス。

角がとれて丸みを帯びたビーチグラス。

そもそもビーチグラス(シーグラス)とは。

説明しなくても大体想像はつくと思いますが、ビーチグラス(シーグラス)とは主に海岸等で見つかるガラスの破片のことです。長い年月をかけて波や石、砂などと接触して角がとれて丸くなります。透明のままでいるものもありますが、大抵は曇りガラスのような風合いになります。

キラキラと輝くビーチグラス。

風の強い日にできる砂紋が綺麗。

それからというもの、私はすっかりビーチグラス探しにハマり、仕事が休みの度に海に出かけてはビーチグラスを拾っていました。もちろん場所によって、海の状況によってたくさん拾える時もあれば全く拾えない場合もありますが、それでも楽しくて、海に通っていました。

スペシャルボーナス!的な「シー玉」。

時々、ビーチグラスを拾っていると、一人でニヤッとすることがあります。
それは「シー玉」を見つけた時。

「シー玉」とはビー玉のビーチグラスバージョン。これを見つけた時はかなりテンションが上がります。まるで、芋掘りをしている時に、うっかり金塊を掘り当ててしまったような(大袈裟すぎだし、そもそも例えの設定がおかしいが…..)。

これがシー玉。見つけた時はひときわ嬉しいです!

珍しい色のシー玉も。この日は色々とたくさん拾いました。

手持ちの袋に入る分だけビーチクリーンも。

絵の具に見立てて。

休みの度に海に出かけてビーチグラスを拾っていると、当然増えていき、気がつくとかなりの量になっていました。
そのうち「ただ集めていたんじゃつまらない。このビーチグラスで何かできないだろうか」と考えるようになりました。ネット等で色々調べていると、すでにこの世界(ビーチグラスを集めたり、何かを作ったりしていること)は確立されていることに気がつきました。

そう、世界中の皆さんがビーチグラスを集めていたのです(すみません、言い過ぎです…)!

少しずつ集めたビーチグラス。実際はこの何倍もありました。

そして、ある時ふと思いつきました。「どうせ何か作るなら、他の人がまだやっていないようなモノを作ろう」と。ビーチグラスの色を絵の具に見立てて、その作品の枠はたまたま家にあったフレームをキャンバスの代わりに使用して、少しずつコツコツと作っていきました。

コツコツと集めてきたビーチグラスやシー玉を接着剤でキャンバスに貼り付けていきます。

この作品、かなり大きいため途中でビーチグラスが足りなくなってしまい、その都度海に出かけては拾っていたため、実際に完成するまでには優に1年以上もかかってしまいました。
でも制作中はとても楽しい日々でした。

だいぶ形になってきました。

そして完成。

やっと長いこと作り続けてきた作品が完成しました。

タイトルは「波」です。これは、ある夏の日に地元の海に入りながら、波打ち際で自分に迫ってくる波を撮った写真をモチーフに制作しました。
みなさん、薄目で、目を細めて、離れて見てみてください(笑)なんとなーく、自分に向かってくる波に見えて来ませんか!?ちなみに真ん中より少し上にあるブルーのラインは水平線のつもりです。

やっと完成したビーチグラスの作品。大きさはA0ポスター(1,189mm×841mm)と同じ。

せっかく完成した作品ですが、ちょっと残念なことも。
想像はつくと思いますが、なにしろ重すぎて(10kgは軽くあります…)壁にかけたりできないことです。常に床に立てかけておくしかありません(笑)現在は実家の一室にひっそりとしまってあります。

素敵な出会い。

ビーチグラスについて調べていくと、とても素敵なサイトに出会いました。
それは「BEACH MONEY(ビーチマネー)」という、ビーチグラスを拾いながらビーチクリーンをして海をキレイにしようという、ステキな環境活動です。
さらにはそのビーチグラスを地域通貨として考え、登録されたビーチマネーショップでその店舗の特典と交換できるというプログラム。代表の堀さんも南伊豆に在住されているということでさらに親しみが湧きました。
そしてビーチマネー事務局が活動内容を普及するために毎年発行しているガイドブックに、少しだけ私の作品を掲載していただきました。本当にありがとうございました!

「ビーチマネー(海をきれいにするビーチグラスの地域通貨)」
https://beachmoney.jp/

小冊子「ビーチマネーガイド」に掲載していただいた作品。ありがとうございました。

いかがでしたか。
海で泳いだり、釣りをしたり、サーフィンやSUPをしたりと、色々なアクティビティもありますが、こんな海の楽しみ方もあります。
でもせっかく訪れるならキレイな海が一番ですよね!皆さんも是非ビーチクリーンをしながら、ビーチグラスを拾ってHAPPYになりましょう!

 


渡邉 悟(わたなべ さとる)

1971年神奈川県生まれ、幼少時に父の実家下田市田牛へ。愛知学院大学卒業後、伊豆急行(株)に勤務。その後、保育パパを経て現在は河津町の(株)天城カントリー工房に勤務。主に自社で製作しているトレーラーハウスの宿泊体験施設「Tiny Base」の運営を担当。最近、サウナ施設もでき、自身もサウナの爽快さにはまる。コーヒー、デザイン、アウトドアが好き。愛犬は黒パグ(名前はショコラ)。下田写真部(名ばかりの)部長。

下岡蓮杖の生誕地、伊豆下田で、写真好きな仲間が日々の暮らしを発信したり、高校生とのフォトツアーなどを開催しながら「写真のまち」を目指して活動中。現在、部員13名。
下田写真部公式Facebook https://www.facebook.com/shimoda.photo
下田写真部公式Instagram https://www.instagram.com/shimoda_photoclub


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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