想像の翼で拾いあげる風景―PPC 100 Point Gallery Vol.33 水池葉子さん


「PHaT PHOTO」の人気写真コンテスト「PHaT PHOTO CONTEST(PPC)」。毎号異なる3名の写真関係者を審査員としてお招きし、座談会形式で審査を行います。
PPCは入選や応募するとポイントが加算(※)され、見事累計100ポイントを達成した方には、デジタル雑誌および本Webマガジンにて作品とインタビューを掲載します。
今回は、33人目の達成者である水池葉子さんの作品を紹介します。

(※)各審査員が選出した1位(10pt)、2位(6pt)、3位(4pt)のほか、入選2pt、もうちょっとで入選!1.5pt、応募するだけでも1ptが加算されます。現在のポイントランキングはこちらに掲載しています。

想像の翼で拾いあげる風景

日常の風景に現れる、ちょっとした「不思議」「違和感」を感じる光景をテーマに撮影を続ける水池葉子さん。

「見逃してしまいがちな『違和感』 の風景から想像の翼を広げ、物語を想起する、そんな作品をつくりたいと思っています」という水池さんの作品には、向こう側にある、もうひとつの世界に触れられるような魅力がある。

写真を始めたのは高校生の時。コンパクトカメラで写真を撮ることの楽しさに気づき学校行事等でクラスメイトの写真を撮っていたのが最初だった。

その後写真から離れていたが、結婚後、夫の海外勤務に帯同し色々な国に長期滞在したのち、せっかく海外に長期滞在しているのに、良い写真を撮ってきていなかったことに気づいて本格的に写真の勉強を始めた。本誌と出合って写真表現の世界を知ったという。

「いわゆる『絶景写真』のような物 が『上手に』撮れるようになることがゴールだと思っていましたが、写真を使って『表現』することができる事に気づき、興味の赴くままにアートや写真の歴史等を勉強し、現在の作家活動やフォトサークルの主宰、写真講師の仕事などにつながっています。人生が大きく変わりました」。

編集部がひそかに注目しているのは「のら」という〝路傍にぽつりと置かれたゴミの様なモノたちの「人生(モノ生?)」に思いを馳せるシリーズ。いつかまとまるのが楽しみだ。

photo:Yoko Mizuike

過去の受賞作品から

2013年3-4号 Vol.74
3位「見るモノと見られるモノ」
白井綾1位

<Vol.74の座談会から>
「写真家のゲーリー・ウィノグランドの動物園の写真集「The Animals」を思い出しました。動物園の動物と人間の関係をとらえた写真集です。上下の要素が半々くらいで入っててバランスがいいし、ちょうどうまくいいところを撮ったなって」(白井綾)

2016年5-6月号 Vol.93
5位「 見るモノと見られるモノ」
トモ・コスガ2位

<Vol.93の座談会から>
「シャッターを押せたんだというのがすごいと思いますね。ワニだけじゃなく水面に映り込んだ人も意識されていて、撮りたいものだけじゃなく周りに余計なものがあったとき、どう写真に受け入れるのかを考えられる人なのかなと感じました」(トモ・コスガ)

2018年 1-2月号 Vol.109
5位「白日夢」
テラウチマサト2位

<Vol.109の座談会から>
「1つ1つの影も含めて、全体としてすごくまとまっているなと思いました。緑色の地面と紅白のライン。色味が独特の風合いでうまく調和されていて、その色が形づくるバランスがとても気に入りました。1枚の写真として面白かったです」(テラウチマサト)

2019年3-4月号 Vol.110
3位「賢者の住む街」
テラウチマサト1位・舞山秀一3位

<Vol.110の座談会から>
「『賢者の住む街』というタイトルに惹かれました。本当に猫が賢者のように見えてきて。映り込みと実際のものの組み合わせや色味は雰囲気がありますね。タイトルに込めた情緒をうまく表現できていると思います」(テラウチマサト)

常任審査員 テラウチマサトからの言葉

テラウチ マサト
水池葉子さん、100ポイント達成おめでとうございます。

長く続けてこられた中で水池さんの写真の特徴は、実直さではないかと思ってこれまで写真を見てきました。写真に撮影者の生き方が表れるものかという確信を持ってはいないのですが、嗜好性ということを考えた時、やはり写真にはある程度、撮る人の考え方、性格、ひいては生き方までが写り込むように思います。

共に総合5位に入った2作品。2016年5-6月号「見るモノと見られるモノ」、2018年1-2月号「白昼夢」そして、総合3位の2019年3-4月号「賢者の住む街」と順調に賞の順を上げられてきて先が楽しみなのですがどの写真を見ていても、写真に真面目さが表れているように感じます。

本人にはチャレンジされている気持ちがあることは見てとれるのですが、他の審査員のコメントを聞いていても、何かもう一つ足りないと言 われるコメントがあったように思います。

100 ポイント達成の記念すべき時ではありますが、もし更に上に行くには何が必要だったかという前向きな観点から見ていくと、私には次のようなことが必要ではないかと思います。色を加えること。それが不純物のように違和感となったとしても今の写真にもう1色加える意識を持つこと。色は光の強弱でも変わります。光をより意識するのでも良いですね。