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心の動きに正直に撮る―PPC 100 Point Gallery Vol.34 船見征二さん


「PHaT PHOTO」の人気写真コンテスト「PHaT PHOTO CONTEST(PPC)」。毎号異なる3名の写真関係者を審査員としてお招きし、座談会形式で審査を行います。
PPCは入選や応募するとポイントが加算(※)され、見事累計100ポイントを達成した方には、デジタル雑誌および本Webマガジンにて作品とインタビューを掲載します。
今回は、34人目の達成者である船見征二さんの作品を紹介します。

(※)各審査員が選出した1位(10pt)、2位(6pt)、3位(4pt)のほか、入選2pt、もうちょっとで入選!1.5pt、応募するだけでも1ptが加算されます。現在のポイントランキングはこちらに掲載しています。

心の動きに正直に撮る

昨年、組写真部門の年間優秀者に輝いた、船見征二さん。
10年ほど前からPPCに応募し続け、ついに100ポイントを達成した。写真を始めたのは、新婚旅行でリコーのGX200を買ったのがきっかけ。写真を撮るのが楽しく、本屋に行ってカメラ誌を物色中に出合ったのが本誌だ。

その後も紙面に紹介されていた海外のフォトコンテストで入賞するなど、着実に実力をつけていった。さらに様々なきっかけがつながって、地元の美術館で展示することにもなったという。

「PHaT PHOTOは私のバイブルであり、PPCは私の日々の告白の軌跡です」。
船見さんの写真の魅力は、「朝起きて眠るまでの毎日の狭い生活圏内の特別でない日々を切りとった写真」から、船見さんのものの見方や、スケールの大きな世界、人生の片りんが見えてくるところだ。

「もちろん今まで通りの家族やわが街のスナップ写真、花、など自分の身近なモノを続けて撮っていきたいですが、自分のサークルの外のことや物、人も撮ってみたいです。そしてそんな中から自分にズシンとくるテーマと出合い、死ぬまでにひとつ位は何か形に残せたらいいなぁと思っています」。

自分の感動や心の動きに正直に撮ることを大切にしているという船見さん。いつか作品がまとまり、花ひらく日が楽しみだ。

photo:Seiji Funami

過去の受賞作品から

2014年1-2月号 Vol.79
2位「だれもいない」
平野太呂1位・タカザワケンジ2位

<Vol.79の座談会から>
「いちばん気になった作品でした。こういう状況であえて写真を撮るという、一歩引いた余裕も感じられます」(平野太呂)
「ありふれた日常をこう表現することで記録以上のものになった。想像力もかき立てられますね」(タカザワケンジ)

2018年9-10月号 Vol.107
3位「あうん」
中藤毅彦1位

<Vol.107の座談会から>
「口を開けているのと、閉じているのを組み合わせたアイディアがいいなと思いました。ぎょっとするような被写 体のインパクトがありますね。完全にオブジェとして物化して撮られていて、 自分の確かな目を持っている人なんじゃないかなと思いました」(中藤毅彦)

2019年7-8月号 Vol.112
2位「After the show」
佐藤倫子1位

<Vol.112の座談会から>
「被写体の視線の先に、物語を感じました。切ないピエロの表情も自然に感じます。あえて右に寄せて左を空けた間 (ま)の取り方もいいですし、白塗りの顔も相まって、いかにもスポットライトが当たっているような効果が出てい ますね。印象深い1枚でした」(佐藤倫子)

2020年3-4月号 Vol.116
2位「Nap」
飯沢耕太郎1位

<Vol.116の座談会から>
「切りとり方が絶妙でした。もっと手や顔が見えてしまっていたらつまらないですし、おへそが見えすぎても興を削いでしまう。微かなエロチシズムに留めたところが、品のいい写真になっていますね。こういうものの見方は好きだったので選びました」(飯沢耕太郎)

常任審査員 テラウチマサトからの言葉

テラウチ マサト
船見征二さん、100ポイント達成おめでとうございます。

船見さんの入賞写真は、PPCにおいて不思議な傾向が見られたことが印象深く残っています。その傾向とは、3人いる審査員の誰かが必ず1 位に選ぶのですが、他2名の審査員の選んだ作品に船見さんの作品を上回るものがあって、1度も総合1位になっていないということです。

2014年「誰もいない」は、写真家の平野太呂さんが1位、タカザワケンジさんが2位を付けましたが惜しくも総合2位。2018年「あうん」は、写真家の中藤毅彦さんが1位でしたが総合順位は3位。2019年「After the show」は、写真家の佐藤倫子さんが1位でしたが総合2位。そして、2020年「Nap」では、写真評論家の飯沢耕太郎さんが1位で総合2位。

誰かが1位に押すというのは素晴らしい写真だということです。実力はあるのに無冠の帝王というイメージ。

その理由の一つに既視感という点があったのではないかと考えます。既視感というのは何処かで見たことがあるということ。だから、誰かが選ぶと他の審査員は、他を選んでおこうとして、トップになる決定打に欠けたのではないかと思います。

船見さんがこれからオリジ ナリティという意識を持たれ、作品づくりに向かわれたら楽しみに思えます。それには、実は今まで以上にたくさんの写真をプリントされることだと思っています。

>>デジタル雑誌はこちらから

https://phat-ext.com/up-date/42440


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