写真展準備で必ずおさえたいプリントの基礎知識と心得【準備編】
写真展をはじめ、自分の写真を発表するときに、みなさんは写真をどのように出力していますか?
「どんな知識があればいいのかわからない」「実は自流で、探り探りやっている…」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、プリントの疑問や不安を解消し、展示で失敗しないための基礎知識やコツをお伝えします。
前半は、プリントをする前段階で知っておいて欲しい知識をまとめた「準備編」。
後半の「本番編」(12月26日公開予定)では、プリントをするときのテクニックをご紹介いたします。
事前準備1.「顔料?染料?」今さら聞けない2つの違い
事前準備2.覚えておきたい4種類の用紙
事前準備3.紙質だけではなく、用紙の「紙白」もチェック !
事前準備4.解像度とプリントサイズの関係性
事前準備5.忘れがちな2つのチェックポイント
事前準備1.顔料?染料?今さら聞けない2つの違い
自分で作品をプリントする際、知っておくべきは染料プリンターと顔料プリンターの違いです。
「聞いたことはあるけど、実はよく知らない…」という人も多いのではないでしょうか。
染料は、光沢感を得やすく透明感があり彩度が高いインク。コストも低く手軽に色々プリントしたいならお勧めです。
顔料は、染料よりも少しコストはかかりますが、階調性が豊かで速乾性があり色が早く安定します。作品展示など、クオリティーを訴求するならうってつけです。
顔料は紙の上に定着するインクです。染料プリンターに比べ高価な製品が多いですが、色表現や階調が豊かなことや、使用できる紙の種類が染料に比べ多いことが特徴です。色の安定性が高く、プリント後にすぐ色の確認ができるので、レタッチを多くする人にも適しています。また、光源よる色の見え方の差も少ないため、展示を考える人には顔料がお勧めと言えるでしょう。
エプソン プロセレクション SC-PX5VⅡ
エプソン カラリオ EP-977A3
事前準備2.覚えておきたい4種類の用紙
プリンターの基礎知識と同時に知っておいて欲しいプリント用紙。大きく分けて下の4種類があります。
どの用紙を選ぶかは表現によって変化しますが、大切なのは、
「自分の基準」を持っておくこと。
まず「光沢」や「半光沢」のベーシックな用紙を選び、毎回はじめはその用紙でプリントするのがお勧め。
それを基準に、他の紙の質感や色を見ながら最終プリントをイメージしていきましょう。
例:エプソン クリスピア
コントラストや彩度を出しやすく、抜けのある鮮やかな印象を出すときにお勧め
例:ピクトリコ セミグロスペーパー
光沢とマットの中間のイメージで、しっとりした質感。色調が滑らかにでる
例:エプソン フォトマット紙
色に少し落ち着きがある。反射が少ないため、展示でも選ばれることが多い
例:ハーネミューレー Photo Rag
「質感」の際立つ特殊な紙が多い。適度な凸凹があるものは立体感を感じやすい
事前準備3.紙質だけではなく、用紙の「紙白」もチェック !
プリントをするとき、「白色のインク」はありません。つまり、プリントの白の表現は紙の白で決まります。
紙の白にもさまざまな色があり、表現に大きな影響を与えます。プリントを見ると(下図)、同じデータでも紙を変えるだけで、時間帯や気候などの印象も変えることができます。
撮影時の肌寒さ、空気の澄んだ印象を表現したい場合は青みのある用紙が、
逆に暖かさや、明るい印象に仕上げたい場合は、黄みのある用紙が合うことが多いのです。
事前準備4.解像度とプリントサイズの関係性
きれいに見えるために必要な画像解像度は、プリントサイズと関係しています。
インクジェットプリントの際は、最低でも240~300dpi程度の解像度があるといいでしょう。
プリントサイズが大きくなるほど鑑賞距離は離れるので、必要とされる画像解像度は低くなります。
サイズに対して下記の目安以上の解像度でプリントしても、劇的に精細感が向上するわけではないので、
適切な解像度を把握してプリントをしましょう。
事前準備5.忘れがちな2つのチェックポイント
<会場の事前確認>
プリントは、光の色や強さによって見え方が大きく変わります。
自宅で思い通りに仕上がったプリントも、展示会場のライトで色かぶりをしてしまうことも。
また、サイズのチェックも重要で、会場ではじめて「小さい!」と気づくのはよくある失敗です。
プリント前には展示会場の環境をチェックし、サイズや紙の種類、仕上げ方をイメージしましょう。
<プリンターメンテナンス>
忘れがちなのが、プリンターのメンテナンス。
仕上げの段階で「きれいにプリントできない」という原因には、
意外とプリンターメンテナンスができていないことが。
ここは面倒くさがらず、無駄なプリントを減らすためにも、プリントヘッドを掃除する「ヘッドクリーニング」と、
印刷位置のずれを調節する「ギャップ補正」はきちんと行ってから本番プリントをしましょう。
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