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HOW TO / 作品制作のヒント

PHaT PHOTO CONTEST(PPC) Vol.100座談会講評


9位「高齢家族」伊藤幸助(三重県・66歳)

佐藤特別賞/計3pt/自由部門/プリント応募

―同列の9位は、伊藤幸助さんの「高齢家族」。佐藤さんが特別賞に選ばれました。

佐藤 私は特別賞は、4位としての意味ではなくて、本当に特別賞で選びました。家の中のこのような写真の風景を切りとりたいなと思いました。ものすごくゴロゴロとくつろいでいる雰囲気が伝わってきて、高齢家族というものがいいなと。こういう場面は写真じゃないと撮れないし、ずっと残っていくものだと思います。個人的にこういうものが私は好きですね。お年寄りの寂しさとか、切なさとかがなくて、客観的な切りとり方なのもまたいいですね。

山岸 まるで自分を見ているみたいだと思いました。こういう場面はなかなか人に見せられない。猫の首の向きの可愛さや、お年寄りがアイパッドを見ているところとか、ちゃんと画をつくってみせていますね。

佐藤 お家の中のぐちゃぐちゃなところとかあえて人に見せる必要がないんじゃないかなという1枚ですが、何となく目が行ってしまうのはちゃんと基本的な三角形の構図になっているからなのかな。意外に家の中でこのような写真を撮るのは難しいと思います。

テラウチ 私自身、写真は何かと対峙して撮っていて、自分がそこに立ったことによって起こっていく変化を撮るつもりで撮影しています。まったく同じものを撮っていてもそこに何かが生じるから写真って面白いいのだと思います。だからこの作品のテーマはとても面白かったけど、何か物足りなさを感じて惜しかったなと。たとえば、猫が顔を上げてくれるだけでも印象は変わってきます。

佐藤 普通の生活を切りとった写真は結構あると思いますが、余計なことをしていない雰囲気が私は良いと思いますよ。

 

入選「カコーン!」南麻貴子(神奈川県)

2pt/自由部門/プリント応募

―次は入選作品です。自由応募の南麻貴子さんの作品「カコーン!」。

テラウチ 撮っている位置や子どものポーズが単純に面白いですね。

山岸 何かもうひとつ入っていると、かなり上位になったと思います。

佐藤 もうひとつって何でしょうね。私も悩んだのですが、お家の中の家族スナップのように、アルバムに貼られてしまう写真なのかなと。でも下手につくり込む写真は逆に台無しになってしまいます。

 

入選「太陽の子」イトウエージ(千葉県・57歳)

2pt/自由部門/プリント応募

―続いて、自由応募でイトウエージさんの「太陽の子」。撮影意図は、「もうすぐ日が暮れる帰り道を急ぐ少年の姿。少年の純粋な心が失われませんように」とあります。

山岸 作品の撮影意図を読まないほうが、純粋に写真だけを見ることができて良いことがあります。この作品は写真だけで状況がわかるから、あえて書かずに想像させるのも良いのでは。強い光がある真ん中をトリミングしてみたらどうだろう。

テラウチ 不思議な写真ですね。写真のまま思わせてくれたら、見る方としては幸せだったのかな。説明があるとそこで思想が止まるから、今回はない方が良かった。全部光っていて、疾走感がありますよね。

 

入選「大公望」福井悟(奈良県・52歳)

2pt/自由部門/プリント応募

―自由応募の福井悟さんの「大公望」はいかがですか?

テラウチ 結構好きな写真です。背景の黒の濃淡、ゴールドに輝いているところの色味などきれいだと思いました。

山岸 写っているカメラマンが大勢いるということは、とてもきれいなところなんだと思います。あえてカメラマンをねらって入れたのかな。

佐藤 カメラマンたちがいるから海だけ撮るより面白いですね。

テラウチ ここはフォトジェニックポイントだからみんなが撮りに来ている場所ですね。だからあえて入れたと思います。

山岸 誰よりもきれいに写せるかもしれないし、僕は海だけを撮って競争するべきだと思いました。素直にね。


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