日常生活や街中で気軽に撮影できるスナップ写真。
「いつも同じような写真になってしまう…」「もっと印象的な写真に仕上げたい…」とお悩みの方も多いのでは?
国内外で活躍され、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している、
写真家・上田晃司さんに学ぶ、スナップ写真の撮り方。応用編では、
意識したい前景・背景について、人を入れたスナップ写真のコツなどを教えて頂きます。
※本記事は、株式会社ニコンイメージングジャパンとPHaT PHOTOがコラボして実施した撮影会「‘アングル’‘背景’で決まる!春の都電荒川線 スナップ撮影会」のレクチャー内容を一部抜粋してまとめたものです。
1.視線を誘導する「前ボケ」を使いこなす
前景をボカして、前ボケをつくることで、奥行きのあるスナップ写真を撮ることができます。主役の被写体に視線を誘導することもできるので、ぜひ活用していきましょう。主役となる被写体の前に何もない場合はどうする?
ボケ感が欲しいけど、何もない!という場合は、カメラのアングルやポジションを変えて前ボケをつくることができます。
例えば、こちらの写真。前ボケになっているのはスロープの手すり。
アイレベル(立った状態での目の当たりの高さ)で撮るのではなく、手すりにカメラを近づけて、少し見上げるように撮ることで、ホームの親子に視線が誘導される写真となっています。
さらにカメラのポジションを下げ、地面をボカした写真がこちら。
思い切って地上10cm程度までカメラを下げてみると、普通の道路も何か物語を感じさせる1枚になります。
2.決定的瞬間はカメラを“構えず”に待つ!
前ボケを使いこなしつつ、次に意識したいのが背景。
主役の被写体がうまく撮れても、背景が残念な感じ…というのはよくあること。そこで上田先生がおすすめするのは、いい背景を見つけたら、そこで起こりうることを待って撮る「待つスナップ」。抜け感のある背景に前ボケを加えたこちらの写真では、歩道部分にピントを合わせて、通りゆく人を待って撮った1枚。スケボーに乗った男の子がタイミング良く通ったところを見事に切りとっています。
上田さん曰く、待つときのポイントは「カメラを構えて待たない」こと。カメラを構えていると、カメラを避けて通る人が多くなってしまうので自然なスナップが撮れなくなってしまうそうです。ピントを合わせたらシャッターチャンスまではカメラを構えず待つことがポイントのようです。
3.被写体は大きさじゃない!形・動きを見極めよう
人を主役にしたスナップ写真を撮りたい場合、主役をあえて小さくしてみるのもコツのひとつ。小さく入れることで、街の壮大さや雰囲気を強めることもできます。このとき見極めたいのは人の形。歩いているところを撮りたいのか、止まっているところを撮りたいのか、でシャッターチャンスが変わるので、動きを観察することが必要です。
4.撮影会参加者の作品をチェック!
「‘アングル’‘背景’で決まる!春の都電荒川線 スナップ撮影会」では、参加者全員にニコンD850をお貸出し!上田先生のレクチャーを受けた後、都電荒川線周辺を撮影しました。みなさんそれぞれの視点で設定や背景・前景にこだわりながら、撮影を楽しまれていましたよ。