選ばれる人は何をしているのか?表現を豊かにする作品制作のルール~吉田翔太郎の場合~


2013年「御苗場vol.12横浜」、2014年「御苗場 vol.14横浜」と学生ブースに出展し、レビュアー賞、エプソン賞に選ばれた吉田翔太郎さん。身の回りの出来事や景色を切り取ってまとめた作品には、強いこだわりが隠されていました。そんな吉田さんに御苗場出展を通して経験した心の変化や、展示サイズについて話を聞きました。

何気無い写真にも、「何故そこにいるのか」「何故それを撮ったのか」といった背景がある。

――吉田さんがvol.14の横浜の御苗場に出展された作品のコンセプトを教えていただけますか?

この作品は一言で言うと「未知へ」です。この作品を発表するとき、私は大学4年生でした。16年間続いた学生生活が終わる…そう意識した時、何が残るのか深刻に考えたんです。その結果、「何かが残る」ということではなく、「何かが始まる」というのが僕の結論でした。学生生活が終わる代わりに社会人生活が始まる。誰かが引っ越すと、代わりに誰かがそこに住む。どんなことにも終わりは来ます。しかし、その一方で終わったことにより、何かが始まるのです。終わりに対して悲観せず、次に何かが始まることを見いださなければならないと思っています。
世の中全てが終わり、全てが始まる。輪廻しつつ前進しているということがこの作品に込められています。

――2回出展した御苗場の作品は、全てスナップで構成されていましたが、普段からスナップでの作品制作をされているのでしょうか。

そうですね、スナップ写真に対しては強いこだわりがあります。私のスナップ写真はその場の空気を切り取るだけではなく、その場に自分もいることを表しているんです。友人と遊んでいる時に撮った写真も、その友人が私を見た表情が、「吉田翔太郎」という人物に対してその時どういった感情を抱いているのか、物語っていると思うんです。
何気無い写真にも、「何故そこにいるのか」「何故それを撮ったのか」といった背景があります。今回のvol.14の御苗場に関しては、そういったメッセージ性の強い写真を入れることで展示を完成させることができました。

マットも作品の一部。見やすい形を保ちつつ、見る人を引きつけるために大きさで存在感を出したい。

「御苗場Vol.12横浜」展示風景

「御苗場Vol.14横浜」展示風景

――vol.12の時はプリントを壁に直貼りされていましたが、今回は額装されていましたよね。

額装なしは、それはそれで良かったのですが、今回は学生最後の御苗場ということで「作品としてしっかりとしたものを残したい」という思いから、額を使用しました。また、自分の作品が多くの人の目に留まるように、壁ギリギリに入るサイズで展示しようと考えました。
実は、もともと横位置の額で展示するつもりだったのですが、学生ブースは一般ブースよりも幅が狭くて横位置だと展示スペースが足りないことに制作途中で気が付いたんです(笑)。結果、出展時に一緒に設置したアルバムと同じ縦型の額装で展示することにしました。ちゃんとした額で飾ることで、こんなにもしっかりとした表現性がある「作品」になるとは思ってもいなかったです。マットの余白も作品の一部だと考えているので、結果論ではありますがアルバムと同じフォーマットで展示したことは、サイズ感も含め収まりが良く感じました。
また作品の並べ方も、人の目の高さに合わせてインパクトのあるカラー写真を置き、目線の下の方には色味がおとなしい作品を置くなど、作品を見てもらうことを意識しました。

――壁ギリギリということは、限られたスペースの中でできるだけ大きく見せようと考えたということでしょうか?

はい。もともと大きくプリントしたり、プリントサイズは小さくても額装込みで作品を大きく見せたいという意識があります。見やすい形を保ちつつ、見る人を引きつけるために大きさで存在感を出したい。展示場所に制限がなければ、大判プリントでの展示にも興味があります。ラボでA2サイズをプリントすることもありますね。
自宅でのプリントに関しては、エプソン賞の副賞としていただいたプリンターPX-5V(注:後継機はSC-PX5VⅡ)で、A3サイズをよく出力しています。

――御苗場でのレビュアー賞やエプソン賞の受賞、そして夢の先プロジェクトへの参加などから、何か心境の変化などあったのではないでしょうか?

心境の変化として一番大きかったのは、自信が持てるようになったことです。きっかけは夢の先プロジェクトへの参加でした。
vol.12の御苗場でレビュアー賞を頂いた時は「マグレだろ…」と疑心暗鬼だったのですが、プロジェクトを通して自分の作品制作について振り返ることが出来たし、プロジェクトに参加しているメンバー同士熱く語り合ったことで自分に自信をつけていくことができました。
vol.14への出展に関しても、その時の経験を活かして自分のメッセージ性を前面に出し、来場者全員に納得していただけるよう、自信を持ってコンセプトを伝えることができたと思います。また、そのことで多くの方に作品に対して共感をしていただけたと思っています。

――次回は、展示作品の見せ方を大きく左右するプリントのサイズとその重要性を、エプソン販売株式会社のプロフェッショナル・アート・プリンターの小澤貴也さんに教えていただきます。お楽しみに!

★こちらもお勧め!
知ればチャレンジしたくなる! 展示に大判プリントという選択

 本連載の他の記事を読む!

吉田翔太郎
1991年東京生まれ。専修大学経済学部経済学科卒業。2013年御苗場vol.12横浜にてBankART1929代表池田修レビュアー賞を、2014年御苗場vol.14横浜にてエプソン賞を受賞。2015年6月にフォトニコに招待作家として参加予定。blog.livedoor.jp/shohphoto