内藤由樹の海外武者修行ログ
vol.19 神様みたいになってしまった話


2012年関西で行われた日本最大級の写真イベント「御苗場」でレビュアー賞を受賞した注目若手作家・内藤由樹。
世界各地を巡り、現在ペルーにある「Centro de la imagen」のマスタークラス在籍中。
http://yuki-naito.tumblr.com

引き続きジャングルの話です。長いなあジャングル編。いろいろあったのです。
なんだか、文章に書くと恥ずかしいのですが、数年前から瞑想に興味がありました。
インドの瞑想センターに行こうかなあとか考えたこともあるけど、
んー、わざわざそのために何かするのほどのモチベーションはないなあ。
と、特に何もしませんでしたが、
旅行の移動中の暇な時間に、手塚先生のブッダも読んだし、なんかそろそろいける予感がしたので、
自然の多いところに居ることだし今こそ瞑想の時がやってきた!と、思い立ったのですが、
ジャングルの中では蚊が多くて初心者のわたしは3分も座っていられませんでした。
なので、座る場所を探して自転車でプチ冒険に出ました。

村の近くのビーチはリゾートなので、
看板とか、音楽とか、人とかいろんなものがあって集中できそうにない。
何もない、を求めてペダルをこぎました。
疲れてもう動けなくなるまで行ってみようとずっとずっと進んで行きました。
エネルギーが切れそうになると、その辺にある樹からマンゴーをもいで食べます。
1時間半くらいこいで、暑さでふらふらになって来た頃、
ちょうどいい日陰を見つけてそこに腰をおろして座禅を組みました。
目をつぶると何にも無くなって、波の音だけになって、その音もどんどん遠くなって来て、
お。これか!?となりかけた時、
あんたなにやってんの?
とその集落のおばさんに声をかけられました。
瞑想というスペイン語が出てこなかったので
えっと、世界のことを熟考しています…
と貧しいボキャブラリーを振り絞って瞑想というのを説明すると変な顔をして行ってしまった。

その日しばらくそこにいてまた次の日も行くと、
変な外人がいるという噂を聞いたのであろうおばさんたちが見に来てひそひそ話をしていました。
あんまり外国で冷たい対応をされたことが無いので、少し悲しくなりながら座り続けました。
3日目の朝またそこに行くと、女性が1人立っていて、いきなり私の手を取り
あなたの祈りのおかげで私の子どもの病気が治りました。ありがとうございます
と言われました。
なんのことやらわからなかったけど、数日前から熱の下がらなかった子どもが
私がそこに座り始めた日からどんどん良くなって遂に3日目の朝全快したそうです。
そして、きっとあの外人には何やら力がある、ということになったらしく、お礼を言いにやって来たそうです。
たぶんそれは、絶対わたしの仕業じゃないと説明しても引かず、
差し入れ?のマンゴーを有り難くいただきました。
その日、別の村人からもお供え物的にココナツや果物をもらい、
4日目には、肩が痛いので治してくれ、と少し離れた集落から年寄りが歩いてきました。
無理です、わたしはただの旅行者です。
と断っても
見てくれるだけでいいから
と押し切られ、
触ってみると単に凝っているだけっぽかったので揉んであげるとよくなったそうで喜んでいた。
よかった。

次の日は他にも身体が痛い人が来てマッサージ屋さんみたいになってしまいました。
日に日にお供え物?も増えて来たので1人では処理できず治療?に来たお年寄りと食べました。
どんどん人が増えていき、なんだか崇められかけていました。
宗教って、こういうところから始まるのかもしれん。

瞑想したかったのにな。
結局瞑想って何かわかりませんでした。
写真の修行の旅として始まったこの旅行ですが、いったいなんの修行をしているんだろう。
写真は、座っていた村の子供です。
毎日一緒に泳いでいた。

内藤由樹 / ないとうゆき
1987 年大阪府生まれ。2013年 キヤノン写真新世紀 佐内正史選・佳作/第2回御苗場夢の先プロジェクトグランプリ/キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト/2012 年 御苗場vol.11 関西 レビュアー賞/写真集に「being」(2013年・TIP BOOKS)がある。

本連載の他の記事を読む!