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HOW TO / 作品制作のヒント

押さえておきたいポートレート・撮り方のコツ!「光の見方」編


ポートレイト写真(人物写真)、「何気なく」「なんとなく」撮っていませんか?
伝えたいイメージ、見せたい表情を瞬時に見つけるコツを、
「プロワザ」が身につくストロボライティング基本講座』の著者である河野鉄平さんの写真でご紹介します。

※この記事は、PHaT PHOTOvol.75「変わる!私のポートレイト」を参照し、制作しています。

光の見方編

この記事では、「光」について学びます!

1.時間で光の質は変わる

朝と夕方は光の角度だけで考えれば同じような色になるはずですが、
実際には時間によって違った色の特徴があります。
日の出の赤い光から、7時くらいになると透明感があり柔らかさのある光になります。

昼は黄味や赤みがあり、濃度の高い仕上がりになります。
そして夕方は赤みの強い色合いに。
自然光で柔らかくふんわり撮りたいなら、朝9時~13時くらいまでの間がベストでしょう。

▼午前7時。肌の柔らかい質感を滑らかに表現

他の時間帯と比較してみましょう。

▼13時。午後はやや強くて黄色い光

▼16時。日暮れはコントラストが強く固い印象に

2.実は逆光がおすすめ!

逆光は顔が暗く写るからNG!と思われがちですが、実はポートレイトで撮りやすいシーンなのです。

ただし、プラス補正は必須。
日中の逆光は明暗差が大きくないので、プラス補正をしても背景は飛びすぎず、心地いい感じのライティングに。
また順光のように直接光が顔に当たらないので、背後からの柔らかい光で肌がすごくきれいに表現でき、まぶしくないので表情がつくりやすいです。

順光
▼影が上から下に入り、肌の色も飛びやすい

逆光
▼逆光に加え、プラス補正で柔らかで自然な表情に

サイド光
▼顔の凹凸があるので立体的に見える。

3.ストロボ の光

バウンス、ディフューズとは?

ストロボを直接被写体に向けて発光するのではなく、白い壁や天井にあてて光を拡散させ、写すのがバウンスです。

壁や天井が白以外の強い色だと、その色に影響を受けて色かぶりをしてしまうことがあるので要注意。

そんな時に便利なのが、ディフューザーと呼ばれるストロボの発光部につける白や乳白色の用品。光を柔らかくすることができます。

室内であると便利な クリップオン

目で見てそれほど暗く感じなくとも、フラッシュを付けずに撮るとこんなに暗く写ってしまいます。
またフラッシュを直接当てる方法はオーソドックスですが、近距離だと顔にはっきり影が。
平坦な固い光が被写体にダイレクトに当るので、柔らかい質感はなくなってしまいます。

▼フラッシュを付けないと こんなにまっくら

▼フラッシュを直接当てると不自然な光に

次に、ストロボをつけ天井バウンスして撮影した写真だと下のような写真になります。

上から光を拡散しているので、影ができずに柔らかい光のポートレイトが撮れました。

今回使用したクリップオンストロボは 発光部の角度を自由に変えられるので、壁や天井などさまざまな向きでバウンスさせて使うことができます。
いちばん使いやすいタイプの仕様になっています。

存在感ある日中シンクロ

逆光シーン+プラス補正がおすすめと書きましたが、逆光+ストロボで手前を明るくする方法もあります。
前者は柔らかい質感で撮れますが、 肌の質感にメリハリはなくなります。

しかし日中シンクロをすれば、肌の質感をきちんと描写して存在感ある印象にすることができます。
また夕方、日の暗いときに日中シンクロをすると、メリハリのあるかっこいい写真を撮ることもできます。

少しの意識で大きく変わる、人物撮影。
今回の記事と合わせて、「アングル」編も公開していますので、合わせてごらんください!

写真:河野鉄平/こうのてっぺい
1976年東京都生まれ。1999年明治学院大学卒業後、株式会社CMSに入社。テラウチマサトに師事。写真雑誌「PHaT PHOTO」 を経て2003年よりフリーとして活動。現在さまざまな書籍や雑誌で 撮影と執筆活動を行っている。
近著に、『「プロワザ」が身につくストロボライティング基本講座』(玄光社)

STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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まちスナ日和