決定! 東京国際写真コンペティション2017 受賞者と受賞作品を紹介
Erin Lee/ エリン・リー(ニュージーランド)
「Este Lado (This Side)」
“This country has no memory, it is an extremely racist country, discriminating within its equals and it is malinchista – always preferring foreigners. We do not work towards the common good.” ©Erin Holland
暴力に悩まされる地域で育ち、暮らす人々
About Este Lado (This Side)
「エステ・ラド」はメキシコ北部の国境にあるティフアナとシウダード・フアレスの間にある、様々な都市における住民との共同プロジェクトです。
このプロジェクトは、これらの地域に住む人々の生活、記憶、未来を描き、未だに、ひどい暴力に悩まされる地域で育ち、暮らしている人々がいるということに光を当てています。
“What scares me about living in a border city is the fragility of our human and civil rights, where we can all be suspected or accused instantly, or where something can happen to us and nothing or nobody is going to do anything.” ©Erin Holland
メキシコのカルデロン元大統領が薬物との戦争を宣言してから10年が経過しましたが、国境の両側の住民は、今もなお政情不安に直面しています。
国境のメキシコ側における現在の暮らしを映し出したイメージと、私の主たる感情を言葉にし、彼らの幼少時代を垣間見せるメッセージと歴史的なイメージを並べることで、過去と現在の間に、物語の架け橋を作り出しています。
Don’t run. ©Erin Holland
アメリカとメキシコの国境文化における固定概念や「アメリカン・ドリーム」という考えを分析し、解体することによって、また、そこで生まれ育った人々や、今もなおそこに住む人々を表現することによって、人生とはどんなものか、そしてそれがここ数十年にわたってどういったものだったのかを発見し、解釈することを目的としています。
作品は6組のディプティック(2点の組写真)作品により構成され、そこにはオリジナルの写真、アプロプリエーション(イメージの流用 /拝借)、テキストが含まれています。
Erin Lee/ エリン・リー
1985年ニュージーランド生まれ。ニュージーランドでプロフェッショナルとしての写真を学んだ後、10年間にわたり海外で活動。その後、メルボルンとニューヨーク市でキャリアをスタートした後、メキシコシティに移住。エディトリアル(雑誌)とドキュメンタリー写真家として活動する。キャリアを通じて、様々な側面から写真教育プログラムに携わり、メキシコシティの写真学校での講師や、子供のためのワークショップ講師などを行ってきた。www.erinleephotography.com
Justyna Mielnikiewicz/ ユスチナ・ミエルニケイヴィッチ(ポーランド)
「The Meaning of the Nation- Russia and its Neighbors」
©Justyna Mielnikiewicz
ロシア周辺に住む人々の暮らしの記録と歴史の再構築
About The Meaning of the Nation- Russia and its Neighbors
2016年12月26日。ソビエト連邦崩壊 -15のソ連共和国が独立国となった日-から25周年を迎えた。1991年以来、各国のポスト・ソビエトの政界エリートたちは国家と国家建設に従事してきた。
一部の国はロシアの勢力範囲にとどまっていたが、ジョージアやウクライナなどの国々は西ヨーロッパの一部になるために独立しようとし、2008年にジョージアでの戦争、そして2014年にウクライナでの戦争で彼らは自分たちの選択のために重い代償を支払うことになった。
©Justyna Mielnikiewicz
このプロジェクトは、ロシア周辺のこれらの国々に対する深い洞察を提供するものである。それはまた、近隣諸国の経験に反映されるロシア自体のプロフィールでもあり、ソ連崩壊後、国外に離れたロシア人のプロフィールでもある。
©Justyna Mielnikiewicz
プロジェクトは3つの主要な章からなり、地図上に表示される物理的な国境と、それと重なるように変化し続けるロシアの影響範囲の境界線を探索している。
それは、ヨーロッパの辺境における暮らしを記録し、象徴的な意味を掘り下げ、それらの境界線に住む人々の歴史的な物語を再構築するものである。同時に、国のアイデンティティを形成し、近隣諸国のイメージを形成するのに貢献している。
Justyna Mielnikiewicz/ ユスチナ・ミエルニケイヴィッチ
ポーランド出身。2003年よりグルジアをベースに活動している。主に旧ソビエト連邦に所属した国々に焦点をあてた作品を制作。彼女の作品は、これまでにThe New York TimesやMonocle、Newsweek、National Geographicなど様々な国際メディアに掲載されている。1999年にポーランドの日刊紙「Gazeta Wyborcza」でレポーターとして自身のキャリアをスタート。2001年よりフリーランスのドキュメンタリー写真家として活動している。www.justmiel.com
東京国際写真コンペティション2017
TOKYO INTERNATIONAL PHOTOGRAPHY COMPETITION 2017
審査員:
マイケル・マック / Michael Mack ―パブリッシャー / MACK(英国)
後藤由美 / Yumi Goto ―インデペンデントキュレーター(日本)
ヤン・ヨー(言由) / Yanyou ―パブリッシャー / Jiazazhi(中国)
菊田樹子 / Mikiko Kikuta ―インデペンデントキュレーター(日本)
ジェームス・ウェルフォード / James Wellford ―フォトエディター / National Geographic(米国)
ロベルト・ワルカイヤ / Roberto Huarcaya ―ジェネラルディレクター / Centro de la Imagen(ペルー)
サンドラ・マウナック / Sandra Maunac ―インデペンデントキュレーター(スペイン)
アン・ラコステ / Anne Lacoste ―キュレーター/ Musee de L’Elysee(スイス)
マイラ・メンドーサ・アビレス / Mayra Mendoza Aviles ―サブディレクター / Fototeca Nacional Del INAHA(メキシコ)
募集テーマ:「境界線」 有形、そして無形の「境界」をとらえ、考察する作品
募集対象 :全世界の写真家(但し、応募時の年齢が18歳以上)
tokyophotocompetition.com