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決定! 東京国際写真コンペティション2017 受賞者と受賞作品を紹介

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Gowun Lee/ ゴウン・リー(韓国)
「I’m Here with You」

©Gowun Lee

韓国社会が拒絶する性的マイノリティ

About I’m Here with You
韓国の大半のLGBTQの人々は、同僚、友人、家族に真のアイデンティティを隠して生活をしています。近年、LGBTQの活動が急増する一方で、韓国は依然として非常に保守的な国にとどまっており、カミングアウトをした人々は家族から見放されたり、解雇に直面したりしています。

多くの韓国人はまだLGBTQの人々に対して激しい敵意を示し、その存在を否定しています。韓国軍はゲイの兵士を積極的に捜索し、同性愛者の出会い系アプリを使った洗い出し作戦を行うほどです。そして、誰かがカミングアウトをすると、多くの場合、親や家族はその真実を無視することを選択します。
©Gowun Lee

このプロジェクトは、韓国に住む性的マイノリティが、性的同一性を隠すように強制されている姿を文字通り、そして比喩的に、表現した作品です。撮影されたLGBTQの個人はカメラから遠ざかっていて、韓国社会がどのように彼ら/彼女たちを無視し、受け入れを拒否しているかを彷彿させます。
©Gowun Lee

これらの作品における私の意図は、韓国における、LGBTQのアイデンティティ容認に対する大きな拒絶を示唆すること、そしてより重要なこととして、私たち全員が行動を起こし、この姿勢を変えるよう促すことです。

Artist Bio
Gowun Lee/ ゴウン・リー
韓国生まれ。ニューヨークに10年間暮らしていた時に制作していた「in your words」というプロジェクトで、韓国に帰国していた際、赤の他人だった韓国籍のティーンネージャーと出会い、突然、同性愛をカミングアウトされる。その告白は、彼自身にとっても初めて本当の自分を打ち明けたものだった。そこから「I’m here with you」のプロジェクト制作を決意し、韓国へ帰国。現在も韓国にて作品制作を続けている。www.gowunlee.com

 

Daesung Lee/ テソン・リー(韓国)
「Futuristic archaeology」

©Daesung Lee

砂漠化により、脅かされる遊牧民の生活

About Futuristic archaeology
遊牧民の生活は、歴史を通して、伝統的なモンゴル文化の中核を成していました。
都市化の傾向はあるものの、モンゴル人のおよそ35%が依然として遊牧民として暮らしており、彼らの生活はその広大な土地に大きく依存しています。近年、彼らが暮らしている土地には深刻な変化が起こっており、伝統的な暮らしは脅かされています。

モンゴル政府の調査によると、およそ850の湖と2000の川や支流が枯れたとされ、これにより国土の約25%が過去30年の間に砂漠化しました。潜在的に75%の土地が砂漠化の危険に晒されています。これらの環境の変化は、何千年もの間、世代から世代に伝えられてきたモンゴルの遊牧民の生活様式を脅かすものです。
©Daesung Lee

このプロジェクトでは、モンゴルで砂漠化が起こった実際の場所で、そこに住む人々と家畜と一緒に博物館のジオラマの再現を試みています。これは、遊牧民という伝統的な暮らしが、将来、博物館のジオラマの中でしか見れないものになってしまうという想像から生まれたものです。
©Daesung Lee

ビルボード上に印刷されたイメージは、実際の景観や水平線に沿って配置されています。私はこの作品を通じて、遊牧民の生活が、今まさに現実と仮想空間である博物館の狭間に存在している、という感覚を伝えたいと考えています。
モンゴルの伝統的な遊牧民の生活様式は、将来、博物館にのみ存在するものになるかもしれません。

Artist Bio
Daesung Lee/ テソン・リー
フランスのパリを拠点に活動する韓国人写真家。2003年韓国のチュンアン大学で学位を取得後、商業写真家としてキャリアをスタート。その後、社会問題をテーマとした写真制作へと転向。グローバリゼーションが私たちの社会や自然に影響を与えているかをテーマとしたプロジェクトを生み出している。自身のヴィジョンやメッセージを伝えるために、コンセプチュアルなアプローチの作品を制作している。www.daesunglee.com

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