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T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2020 PRE 学生ポートフォリオ展グランプリ作家Ryu Ika スペシャルインタビュー & FUJIFILM X-T30撮りおろし

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首都圏で写真を学ぶ10の美術大学・専門学校から65名の学生が参加し開催されたT3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2020 PRE学生ポートフォリオ展。東アジアにおいて高い影響力を誇る写真のプロフェッショナルたちによって、グランプリに選ばれたのは、現在、武蔵野美術大学に通うRyu Ikaさん。

彼女は、第21回写真「1 Wall」のグランプリや、清里フォトアートミュージアムの2018年度「ヤング・ポートフォリオ」に選ばれるなど、注目を集めている。そんな、Ryu Ikaさんに受賞後のインタビューを実施。グランプリ受賞賞品として授与されたFUIFILM X-T30とXF18-55mmF2.8-4 R LM OISを使って撮り下ろした作品と共に紹介する。

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編集部:Ryuさんは中国北部の内モンゴル自治区出身ですが、どうして日本に来ようと思ったのですか? Ryuさんが写真を始めたきっかけと合わせて教えてもらえますか?

子供のころから絵を描くのが好きで、中学3年生の時から絵を学び始めました。写真を始めたのは高校1年生の時、部活で写真部に入ったんです。部活の宿題で、運動会の写真などを撮るんですけど、私だけ他の人と写真が違って。みんな動きのない記録写真のようなものを撮るのに、私が撮っていたのは、転んでいたり、笑っていたり、動きのある写真ばかりでした。

内モンゴルでは1年大学に通ったんですけど、面白くなくて自主退学しました。父方のおばあちゃんがモンゴル人なんですが、父からも祖母からも2人からモンゴルから出た方が良いって言われ続けていて。だから、いつか自分はモンゴルを出ないと、っていう環境で育ったんです。その当時から日本のバラエティ番組が死ぬほど好きで、めちゃくちゃ見ていました。「笑っていいとも」や「ミュージックステーション」とか。それで、日本に来たいと思ったんです。

本格的に写真で何かをやりたいと思ったのは、日本に来て、武蔵野美術大学に入ってから。暗室の授業をとって化学反応を体験してです。適正露出がつまらなく感じていた時に、当時の先生(飯田鉄さん)に、森山大道さんと志賀理江子さんの事を教えてもらった事がきっかけでした。

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編集部: 1 Wallでグランプリを受賞した「Big Brother is Watching you」のステートメントでは、想像していた日本と現実のギャップがすごかったと、書いてありましたが、どういうことでしょうか。

はい。テレビの中で見た日本人はみんな、笑ったり、怒ったり、涙を出したりすごく感情が豊かなのに、現実は全然感情を出さない。でもそれは、現実の社会での抑圧が強いから、きっとバラエティではその逆が表出されていたんだと思ったんです。アメリカ人やフランス人も、映画では少し上からの偉そうな感じがするけど、実際会うと違うのと同じかもしれない。

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1 Wall グランプリ受賞作品「Big Brother is Watching you」より

編集部:そのフラストレーションがあなたの作品の源泉のようなものになったと。

武蔵野美術大学に入って、1、2年目の時は退学したらビザはどうなるかそればっかりグーグルで検索していました(笑)。というのも日本に来て、日本語学校にいたときは、他の海外からの留学生がたくさんいたから、それほど日本を感じてなかった。

でも、大学に入ったら私以外ほぼみんな日本人で、日本人との接し方が全然わからなかったんです。授業で先生が何か言ってもみんな無反応。それは中国での授業とは全然違いました。「なんでお前ら喋んないの!」って言いたくて、でも言えない(笑)。そんな静かすぎる空気に対しての破壊欲みたいなのがあって、ストロボを使って写真を撮るようになりました。

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編集部:確かにRyuさんの写真には、現実の中にある何かを暴き出そうとするような衝動があるのを感じます。
でも、他のメディアもある中で、写真を選んだ理由って何だったのでしょうか?

2016年ぐらいに、初めてコンパクトデジタルカメラを買って、ベトナムに行ったんです。ベトナムってバイクの上に寝ている人がすごく多いんですけど、それを何百枚も撮りました。それはシリーズにもなっているんですが、現実に存在している風景を、画面の中のイメージに転換する行為がすごく面白いと思いました。

編集部:現実を虚構に変換させる行為への興味は面白いですね。
先日、Ryuさんがふげん社でやっていた個展「いのちを授けるならば」を拝見しましたが、海水に浸した和紙に写真をプリントしたり、インスタレーションにもこだわっていました。影響を受けた写真家はいますか?

はい。横田大輔さんです。一度、武蔵野美術大学の授業に来てくれたんですが、その授業がすごく面白かった。写真の物質性と写真という静止画の中でどれだけ時間の流れを感じられるか、という話をしてくれて。この2つとも今の私にとって影響がすごく大きかったです。

写真は、この天候ならばこう撮りなさいというようなルールがあるじゃないですか。適正露出だったり。でも、見たままに撮るというのは好きじゃなくて。カメラは道具であって、どう表現するかを決めるのは人の意識だから、人によってアウトプットも変わるべきだと思っています。

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写真展「いのちを授けるならば」展示風景

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編集部:Ryuさんの作品は、あえて粒子を荒く出していたり、色もかなりいじったりしていると思うのですが、今回撮りおろしをしたFUJIFILM X-T30はどうでしたか?

ふげん社で展示をした海辺の作品を撮影したのが、今年一番大きな台風が来た日の2日前ぐらいだったのですが、波がものすごく強い日で。持っていたカメラが波をかぶってしまい、しかも波の勢いで転んでカメラを砂浜に落としたせいで、カメラが壊れてしまったんです。だから、凄く良いタイミングで賞をいただきました(笑)。

今回使ったX-T30は、以前に使っていたカメラよりも、良いカメラで、手に持った時もモノとしての重みというか、魅力があります。だから、落ち着いてカメラを構えて撮るということをやってみました。

編集部:カメラが変わったことで、写真も変わった、ということですか?

はい。それは、フランスに留学していた影響が大きいかもしれません。去年の9月から今年の6月にかけて、武蔵野美術大学の協定留学で、エコール・デ・ボザール・パリ(パリ国立高等美術学校)に通っていたんです。そこでは、インスタレーション、エッチング、シルクスクリーン、本の編集などを学びました。フランスに行ったから、1 Wallの作品はまとめることが出来たっていうぐらい、凄く貴重な体験だったんです。今まで狂ったような写真ばっかり撮っていましたが、フランスに行ってから目が開いて、写真の撮り方と物事への見方が豊かになりました。

フランスはとても自由で、威圧感もなくて、楽しく生きていた。差別もないし、怒ったらすぐ喧嘩して、でもすぐ仲直りする。東京で感じていたようなプレッシャーがなくなった。そうやって、気持ちが落ち着いたら、風景や建物とかをしっかり見るようになって。今回も、だからこのカメラを使って、形や色、建物の組みあわせに反応した風景を撮りました。

でも、やっぱり現実っぽく見えないようにしたいから、たとえば、光が必要であればライトを当てて撮るみたいなこともトライしています。それと、電子ビューファインダーを使った撮影も新しい体験でした。撮影をしていて、バッテリーが長持ちするのも良かったですね。

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編集部:今後の活動や作品制作については、何か決まっていることはありますか?

1 Wallの作品「Big Brother is Watching you」は自分の内面から出発して社会と繋がっていったのに対して、ふげん社で展示した「命を授けるならば」は自分の内面についての作品で、その2つを繋ぎ合わせた作品をつくりたいと思っています。社会との接続と、自分自身の内面性、その2つが合わさって自分らしさだから。

展示としては、1月16日~19日にかけて武蔵美の卒展、8月の半ばに1 Wallのグランプリの個展があるので、それは是非見に来て欲しいです。

――――――

上記の展示以外にも、公募展やフェスティバルでの展示、ブックフェア等にもどんどん参加したいと語ってくれたRyu Ikaさん、彼女の今後の活躍に期待したい。

Ryu Ikaさんが作品を撮りおろした「FUFILM X-T30」
オススメポイントを編集部が紹介

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「手に持ったときのモノとしての魅力がある(Ryu Ika)」カメラ

FUJIFILM X-T30は「小さな巨人」というニックネームを持つ、中級モデルならではの快適な機能美が特徴。操作性に優れたダイヤルオペレーションや、写真家が常に持ち歩くことを念頭にバランスのとれた小型・軽量ボディなど、こだわりが細部に宿っている1台です。

「新しい撮影体験」を感じた電子ビューファインダー

約236万ドット、表示タイムラグは0.005秒、表示フレームレート100fpsの滑らかさを誇る電信ビューファインダー。明るく高精細で、被写体の動きやピント位置もノーストレスで把握できるほか、富士フイルムならではのフィルムシミュレーションモード等での撮影も、リアルタイムで結果を確認しながら撮影できます。

作家の作品制作をしっかり支える頼れるテクノロジー

X-T30はイメージセンサーに「X-Trans CMOS 4」を搭載。2610万画素を誇り、カラーフィルター配列によって光学ローパスフィルターなしでモアレや偽色を抑制。裏面照射型構造なので、低ノイズを維持したまま解像度が向上。また搭載された画像処理エンジンは「X-Processor 4」によって、センサーの性能を最大限に引き出し、あらゆる被写体を確実に捉える高速・高精度AFを実現しています。

■Ryu Ika 展示情報
令和元年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展
会場:武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
日時:2020年1月16日(木)~2020年1月19日(日)
時間:9:00~17:00
入場料:無料
詳細はこちら

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