単写真としても成り立つ組写真 フォトコンPPCVol.107 総評
「PHaT PHOTO」の人気コンテストPPC。vol.107の総評をWebでもご紹介。
5枚の組写真で応募する、PPC道場の審査も行ったvol.107。
「組写真」と「単写真」の違いや、「組写真」はどのように評価し、選出したのかについて、講評ではおさまりきらなかった審査員の声をお届けします。
<今回の審査員>鈴木理策、中藤毅彦、テラウチマサト
5枚のバランスを見て組むか、写真の面白さを優先して組むか
――今回は組写真の審査もありましたが、どのように選ばれましたか。
中藤 最終的には強さで選びました。1点1点の写真の放つ気のようなものや、それが5枚になったときの強さです。
中藤さんが1位に選んだ作品(船見征二「母の日々」/PPC道場 総合3位)
鈴木 今回は5枚の組写真でしたが、最初から5枚の為に写真を撮っている人はいないですよね。たくさん撮った中からどれを選んで構成するか考える。
5枚のバランスを見て組む人と、写真の面白さを優先して組む人がいて。どっちに価値があるかというと、これはなかなか難しい。個人的には、ぱっと見たときの5枚のバランスがどうしても気になってしまいました。
テラウチ 私は今回、起承転結でないものを選びました。起承転結が悪いわけではないのですが、それでいいドラマもあれば、予想がついてしまって面白くなくなるドラマもある。
1枚1枚の写真の力と、その写真の力に引っ張られて、見ている人に与えてくる感情の起伏みたいなものが新鮮かどうかということが大切なのだと思います。
1位に選んだものは見ているとすごく心が揺れて面白かった。
テラウチさんが1位に選んだ作品(村井文衛「帰路」/PPC道場 総合1位)
単写真と組写真の違いとは?
中藤 単写真と組写真は違うと、今日改めて感じました。1枚写真にはある程度限界があって、目を引く力が必要なんだなと思います。
組写真は読みといていくものだからコンセプトやストーリーという部分が肝になってくる。5枚の繋がりに何を込めるかということだと思います。
組写真から抜き出しても単写真として成立するかどうか
テラウチ 鈴木さんが組写真1位に選んだ「明日を育てる」。あの写真は、お2人とも写真は甘い、緩いと言われていましたね。
鈴木さんが1位に選んだ作品(丸井みのる「明日を育てる」/PPC道場 総合3位)
中藤 そうですね、いま自分が言ったことと矛盾しているかもしれないのですが、1枚1枚の写真が少し弱いと思いました。
光の使い方はきれいで、組写真としてはいい。あとは個々の写真の力かな。
鈴木 緩いのは結局、1枚で撮ろうとしてないからなんですよね。複数で見せるとき、緩くてもいけるかなとなってしまった。
テラウチ 複数で見せるとき、緩くてもいけるかなと思ってしまうのは同感ですが、組写真であっても、最終的には素晴らしい単写真で終わってほしいなという気持ちがあります。
鈴木 1枚だけねらっていくと、その1枚の強度みたいなことをどうしても求めていくところがあって。
シャッターチャンスというある種の強さは写真を見る人と共有しやすい。でも、それと実際に我々が世界と出会うときのピークは、必ずしも一致しないですよね。その差は絶対にある。
1枚の強度をねらいながらも、あたりはずれは生まれるし、そうでなく撮ってしまうことで曖昧な緩い写真が並び続けるということも起こってしまう。非常に難しいです。
中藤 理想を言えば、組写真から抜き出しても単写真としても成立しているものであればいちばんいいですよね。
テラウチ 僕が1位にした組写真の2枚目の写真は、単写真でも選んでいたと思います。
テラウチさんが1位に選んだ作品の2枚目(村井文衛「帰路」/PPC道場 総合1位)
いかがでしたか?
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