御苗場2019 大西洋選出 受賞者インタビュー<オオタサトル>


2019年2月28日(木)~3月3日(日)までの4日間、横浜・大さん橋ホールにて開催された日本最大級の写真展イベント「御苗場2019」。270以上の写真好きによる個性豊かな展示のなかから選ばれた作品を紹介します。

本記事で紹介するのは、大西 洋さんが選出した、オオタサトルさんの作品です。

オオタサトル 『その存在の不確かなこと』

大西 洋(株式会社shashasha 株式会社case 代表取締役代表)選出理由

今回は写真集を出版している出版社としての立場から、作品を見させていただきました。これは後から気づいたことなのですが、多分オオタさんのブースには、写真と呼ばれるものが置いてないんですね。

私の中でオオタさんのブースは、「本がある」というのが最初の印象でした。そして、手に取って本の中身を見ていくと、そこにはバス停が写っていた。実はバス停や、あるいは自動販売機など比較的分かりやすい被写体を撮られている方はいっぱいいるんです。でも、それを50枚、100枚と続けて撮られている方はそんなにいない。

続けることにすごく価値があると思いますし、これを続けていってチャンスがあれば、一緒に本をつくれたらなと。そしてまた御苗場に戻ってきて、その本が展示され、販売される時がくればいいなと思い、今回の賞を差し上げることを決めました。写真がもともと持っている魅力を、作品をつくりながらもっと考えていただいて、より良い写真群を見れる日を楽しみにしています。頑張ってください。

オオタ サトルさんインタビュー

作品のテーマ、コンセプトを教えてください

地方の小さな待合室の風景から地方の過疎化を考える。以前は集落から街への足として重宝されたバス路線も、今では1日朝夕の2本しか来ないバス停や存続の危機になるバス路線も沢山ある。その存在は数年後にもあるかは不確かなのです。

さらに車社会となった現在、目の前を通り過ぎるだけで、待合室と認識されることも無くなっていく。認識されなければ、その存在はやはり不確かなのです。

この作品で一番伝えたいことはなんですか?

日本の風景・四季の美しさと、時代によって必要とされることは変わるということ。
 

この作品を撮影することになったきっかけを教えてください

車で新潟の山の路肩に小さな小屋がありました。最初それが何なのかわかりませんでした。近寄ってみたところバス停だとわかりました。

それから、行く先々で見るバス停の待合室は、地方や場所によって、形も大きさも違う。それが個性だとすればこれを集めたら面白くなると考えたからです。

作品をつくる上で苦労したことはありますか?

とにかく時間がかかる。事前に調べられないことが多く、現地に行って探すことが多いので、1日で2か所くらいしか撮れないこともありました。
 

作品に対する熱い思いを語ってください!

14mm単焦点という圧倒的な広角レンズを使い、風景の中の待合室をポツンとさせる。そして、日本の四季・風景・風俗が感じられるようにしています。

今後目指していることなどあれば教えてください。

今回は額に入れての展示ではなく、ブックでの展示をしました。この作品は、ブックで生きると思っています。なので、出来れば写真集まで昇華したいです。

オオタ サトル

1967年9月19日生まれ、東京都出身。約8年ほど前に、自分の飼い犬を格好よく撮ってもらったことがきっかけで写真をはじめる。2016年~19年まで横浜御苗場に出展。受賞歴に、ピクトリコフォトコンテスト 自由部門 三菱製紙賞(2013~14)、ピクトリコフォトコンテスト 自由部門 入選(2015~16)など。
オフィシャルサイト:satoruphoto.wixsite.com/satoru

他の受賞者のインタビューを読む