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HOW TO / 作品制作のヒント

熊谷聖司・佐藤倫子・テラウチマサトがフォトコンテストでその写真を選んだ理由は?講評をチェック!


心に残るモダンアートのような作品

「移ろう春」浅岡義則


――次は、自由応募で浅岡義則さんの作品「移ろう春」。

熊谷 多重合成する表現は面白いですね。ただ、つくり込み過ぎて何を表現したかったのかがあまりわかりませんでした。「移ろう春」というタイトルですが、僕には秋っぽい色味に見えた。作者の意図したことが、見る側には伝わりづらかったかなと思います。

佐藤 こういうコンセプトで撮っているのであれば、シリーズにしてみるといいかもしれませんね。この作品と同じ考え方で撮っていく中で、何か見えてくるものがあると思います。独自のセンスをお持ちだと思うので、ぜひこれをきっかけにシリーズでの作品制作に挑戦してみてほしいです。

テラウチ 枠の色が微妙に違っていたり、6つに区切った画面の色を微妙に変えたりしていて、モダンアートのように思えました。心に残る写真ですね。

人によっては確かに秋に見えるかもしれませんが、僕の中では春のはじまりのイメージが重なりました。所々に配置された花も、いい差し色になっています。自分ならではの表現をこれからも突き詰めていってほしいと思いました。

ドラマが想像できる1枚

「探しもの」奥田晃介(京都府)


――次に、自由応募で奥田晃介さんの作品「探しもの」。

佐藤 こんな風にいくつもゴミ箱が連なっている場所があるんですね。このシーンを見つけて直感的にシャッターを切ったような、作者の素直な感覚がよかったです。色んなドラマがこの1枚から想像できるなと思いました。

テラウチ 間違って大切なものを捨ててしまったのでしょうか。右端のコーンの赤色も効いていますし、左側に写る男性の足が中途半端に浮いているところもよかったです。まさにスナップ写真という感じがしました。面白いシーンを見つけられたと思いますが、何かもうひとつ足りなかったような気もします。

熊谷 ゴミ箱が並んでいる様子をもっと見たかったですね。もう少し引いてみてもよかったかもしれません。

テラウチ 確かに引いてみると面白そうですね。作者が離れたところから冷静にこの光景を眺めているようになって、よりユニークさが強調されると思います。

組写真で活きてくる作品

「時の碇泊」根岸豊(東京都)


――最後は、自由応募で根岸豊さんの作品「時の碇泊」。
テラウチ 「氷川丸」という写真集の中の1枚だったらよかったかもしれませんね。「船であることがわからないようにフレーミングした」と撮影意図にあったのですが、僕にはなんとなく船であることが想像できてしまいました。

一体これは何が写っているんだろうとまでは思わなかった。この1枚だけだと、そこまで強く心が動かされなかったですね。単写真ではなく、この作品を起点として5枚組のPPC道場に応募してもらえたらよかったと思いました。

熊谷 テラウチさんが言われたように、何枚かある中で活きてくる1枚ですよね。船のそれぞれの描写をいくつか並べるような。単写真としては少し弱い気がしました。

撮影した後に、自分の作品が単写真に合っているのか、組写真にすべきなのか立ち止まって考えてみるといいと思いました。

佐藤 色や模様の面白さはありますが、それだけだと物足りない感じがしました。画面が暗くて、ポイントとなる光もどこにもないので単純に部分を切りとっただけのものに見えてしまった。どこかに光やアクションがあると、1つの作品として仕上がるのかなと思います。


いかがでしたか?
次回は「もうちょっとで入選」20点の講評をご紹介します!


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