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フォトまち便り「Hello Local」vol.11 下田写真部~会いたいあなたのいる街~


熊野、富山、郡山、下田という4つの地域で活動する写真部が週替わりで投稿するリレー式連載「Hello local」。今回は東京から下田に移住をされた宝田さんによる投稿です。皆さんは、特定の地域の街に「また行きたい」と思える理由は何でしょうか?景色、食、住みごこち…。さまざまな魅力があると思いますが最もなのは「人」ではないでしょうか。この記事では宝田さんによる”会いたい人”に焦点を当ててお話しを伺いました。都会から地方に移住したからこそ分かる、下田の人の魅力について紹介します。


下田の面白さの一つは店主が店頭に立つお店が多いところ。
このことが東京から下田に越してきた私にとって新鮮でした。東京で暮らしていた時は接客をされるのが実は苦手で、人との繋がりを求めていなかったし、時間に追われてお喋りする余裕や習慣もなかったので、店主しかないような小さなお店に入るのはあまり得意ではありませんでした。
ところが下田に来たらそんなお店ばかりなんです。最初はどきどきしながら小さなお店に入り、ささっと買い物を済ます。でも何度か行くうちに相手から顔を覚えてもらえるようになり、それが嬉しくて次第に「あの人に会いたいからそろそろお店行かなくちゃ」と通うようになりました。今回は私が下田で出会ったそんなお店と店主を少しずつご紹介できればと思います。

“開国厨房なみなみ”とんちゃんというあだ名で親しまれている徳島さん

鮮度抜群な地元の金目と伊勢海老。

ねじりはちまきがチャームポイント。開国厨房グループとして4つの居酒屋を経営しています。
お店の名物は金目を使った金目の串焼き。一匹だとどうしても高くついてしまう金目ですが、ひとくち串焼きにすることにより、金目だけでなく他のおつまみも一緒に楽しめるようにという徳島さんならではの計らい。熱々でふっわふわの金目の串焼きは外せない逸品です。

金目の串焼き、口の中でホロホロと崩れます。

初めてお話ししたのは、実はお店ではなく下田公園で催された「あじさい祭り」の露店でした。私と家族が露店を気まぐれに出させていただいていた時、私たちの隣で露店を出していたのが徳島さんを含む下田の飲食店組合の方達でした。
一向に商品が売れない私たちにこうしたらいいよ、ああしたらいいよ、とアドバイスをくれた徳島さん。見ず知らずの私たちにも優しい。そんな困っている人をほっとけない性格が下田の人たちから親しまれている理由です。

お菓子配りをしている徳島さんの息子さん、優しさは父親ゆずり。

今年は新型コロナウイルスの影響でお祭りが中止になってしまいましたが、徳島さん親子を中心に、他店舗と共同しながら子供たちにお菓子配りを企画したり、とっても下田のまち想いな人であることが分かります。
あっちこっちに引っ張りだこで多忙な徳島さんですが、彼を見かけると私まで気持ちが嬉しくなります。このどしっとした体格とこの笑顔に何度元気付けられたか。
彼に会いに店を訪れる人は後を絶ちません。ぜひ下田の夜を楽しみに”開国厨房なみなみ”へ。

開国厨房 なみなみ
〒415-0023 静岡県下田市三丁目3−26
営業時間17:00〜23:00 不定休

“Table Tomato/Books半島”のオーナー山田真由美さん

お料理を作るのも食べるのも読むのも大好きな真由美さん

ライター、編集者、Table Tomatoオーナー、セレクト本屋。真由美さんの肩書はたくさんあり、拠点も複数あります。メインの神奈川県ではライターのお仕事をされています。新聞の書評からローカルマガジンでの連載、ご自身の著書まであり、媒体は多岐に渡ります。
一貫しているのは、食文化を大切にしていること、住む街を大切にしていること。そしてここ、下田にいる時の彼女は自らキッチンに立ちTable Tomatoという酒場を営んでいます。下田ってなんてラッキーなのだろうと思います。お店に行けば真由美さんに会えるのですから!
(現在は不定期営業です)

“下田には金目鯛以外にも美味しいものたくさんあるんだよ〜“と、様々な伊豆の旬の食材を活かして作ってくれる創作料理とナチュラルワインは本当に美味しくて、口に入れたら飲み込むのがもったいないくらいです。肩書きが物語るように、真由美さんは経験豊か。そんな真由美さんの話を聞いたり、真由美さんの周りに集まるお客さんと交流するのがTable Tomatoの楽しみ方だと私は思っています。
下田に関係する人が集まり語り、出会い、より素敵な下田の未来を目指していく、それが真由美さんの作るTable Tomatoという場所です。今はお休みしていますが、「風街テーブル」という伊豆在住の専門家の話を聞きながら学び、最後に真由美さんの作る手料理を食べるという楽しい会も催されていました。

風街テーブルの後の懇親会、ところてんに使う”天草”は下田名物。

カウンターの上には真由美さん著書の「おじさん酒場」。

Table Tomato
営業日:不定期営業なためinstagramをご確認ください。
〒415-0021 静岡県下田市1-11-18
山田真由美著「おじさん酒場」(亜紀書房) 「おじさん酒場 増補新版」(筑摩書房)「女将さん酒場」(筑摩書房)絶賛発売中です。

下田駅の顔”下田時計台フロント”の長池茂さん
なまこ壁の建物に時計台がついている。下田駅の顔と呼べる存在の土産物屋「下田時計台フロント」。

伊豆急行線とともに歩み、創立60周年を迎えるフロント。

伊豆急下田駅ができたのと同時に創業したフロントは今年で60周年を迎えるのですが、このお店を受け継いでいるのは写真部のメンバーでもある長池茂さん。60年間下田を見続けたフロントですが、近年目まぐるしい変化を遂げています。

おすすめをセレクトしていただきました!

その一つは長池さんが強い想いを込めて作った「IPPIN」コーナー。「IPPIN」コーナーは長池さんが選んだ物品を集めたコーナーで、お土産物の域を超えて伊豆のおいしいものを集めたセレクトショップのようです。観光客だけでなく地元の人が普段使いに、プレゼントにと足を運びます。

ネット通販も開始、詰め合わせにして配送もしてくれます。

”フロントは旅の最後に寄る、駅前のお土産屋さん。それは旅の最後を飾る重要な場所なのだ”と言う長池さんは下田に来る人を楽しい気分で帰してあげようと弛まぬ努力をされています。私は宿泊施設を営んでいますが、旅の最後にもう一つ下田の人の素敵な笑顔を見て欲しくて、お客様にはフロントをご紹介します。今まで紹介した友人たちは必ずと言っていいほど良かったよ〜と連絡をくれますし、お客様は下田に来るたびにこのお店に寄ります。私にはこれはフロント、長池さんの魔法だと思っています。
また新型コロナウィルス感染症が流行る前はお店の2階を開放した”手作り市”を定期的に開催していました。小さなお店がひしめき合ってそれぞれの手作りのアイテムを販売するのですが、地元の方たちが集まる笑い声の絶えない場になっていました。

「手作り市」出店者の方達。

下田時計台フロント
〒415-0035 静岡県下田市東本郷1丁目5−2
営業時間売店 9:00~17:30
お食事 10:00~16:30 (16:00LO) 定休日:木曜日

今回は3名ご紹介させていただきました。
共通点は下田という街にとって一つのお店であるという以上に大事な役割を果たしているお店と人物だという事です。そんな彼らの魅力に惹かれて下田に訪れる方がたくさんいるのです。お店のことを隅々まで知っていて、商品にも一番思い入れのある方に直接接客してもらえるってとっても贅沢なことですよね。下田に引っ越してきてから学んだ田舎町ならではの楽しみ方でした。
皆さんもぜひ会いたい下田の人を発掘しにいらしてください!

text:宝田麻理子(たからだ まりこ)
photo:宝田麻理子、長池茂(ながいけしげる)


1981年 東京都生まれ、父親の仕事で海外、日本国内で引越しを繰り返す。20年前に親が下田へ移住したのをきっかけに下田と東京の往復生活が始まる。8年前に完全に下田へ。横浜国立大学大学院建築学コース修了後、ちょっぴり設計事務所勤務。現在は「ガーデンヴィラ白浜」という宿泊施設を親と営む。旅行が好き、人と会うのが好き。

下岡蓮杖の生誕地、伊豆下田で、写真好きな仲間が日々の暮らしを発信したり、高校生とのフォトツアーなどを開催しながら「写真のまち」を目指して活動中。現在、部員12名。
下田写真部公式Facebook https://www.facebook.com/shimoda.photo


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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