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AMAZING TOYAMA写真部

フォトまち便り「Hello Local」vol.14 AMAZING TOYAMA写真部 ~いたち川のお地蔵さんと湧水を散歩しよう~


紀南、富山、郡山、下田の4つの地域写真部が日常を綴っていく連載企画「Hello Local」。今回は富山で活動するAMAZING TOYAMA写真部の青海さんによるフォトエッセイです。”鼬川”、皆さんはなんて読むか知っていますか?青海さんが今回紹介してくれるのは”鼬川”の地蔵尊巡り。ぜひ最後までお楽しみください。


いたち川のお地蔵さんと湧水を散歩しよう

観光案内所で「富山市清流散策 いたち川地蔵尊めぐりマップ」を見つけ、
”そういえば
いたち川沿いに延命地蔵の水ってあったよな”と思いつつマップを見ていると、
いたち川沿いには、大泉(立山道しるべ付近)から下流3kmの間(松川との合流口まで)に19体のお地蔵さまや仏さまが祀られていて、湧水が8か所、水神社が3か所もあるとのこと。

これは全部見てみたいなと思い、大泉から松川との合流地点まで、「いたち川」のお地蔵さまと湧水巡り散歩をしてきました。ぜひ、マップを見ながら記事を読んでみてください。


「富山市清流散策 いたち川地蔵尊めぐりマップ」(富山市観光協会公式サイト)

「いたち川」について

まず「いたち川」のことを知らないという方のために、簡単に説明します。

いたち川は落差日本一の称名滝から続く常願寺川の「常西合口用水」で取水され、田園地帯を通り、富山市の中心部に流れてきます。
さらに富山市北部にある工業地帯の脇を流れ、富山駅北の牛島閘門で富岩運河環水公園と結ばれ、やがて神通川へと繋がります。
「いたちが常願寺川の堤防にあけた穴が大きくなって川になった」という伝承があるそうです。
そして、いたち川周辺と清水は、「いたち川の水辺と清水」として、平成20年(2008年)平成の名水百選に選定されました。

大泉駅からスタート

かつて、富山市中心部からいたち川沿いに東南に向かい、大泉を経由する立山登山のルートがあり、
大泉のいたち川沿いにある茶屋の角に「右立山道」と書かれた「立山道しるべ」が現存します。
天保11年(1840年)に造られたそうで、子供の頃の自分にとっては祖母の家に行く時の道しるべでした。

見龍橋立山道しるべ

「立山道しるべ」からいたち川上流へ。
いたち川を渡る末広橋を渡ったところに、大きな欅の木と三面八臂(顔が3つ、腕が8つ)の「馬頭観音像」があります。
馬頭観音は交通安全の守護神なので、立山登山の安全の祈願のためのものだといわれています。
今回のお散歩が楽しく安全に行けることをお祈りし、いよいよ出発。

馬頭観音から見上げた欅。ここから立山連峰がくっきりと見える。

見どころ満載のいたち川

急に川の流れる音が激しくなってきました。
「ドンドコ」です。

ドンドコとは、河川に設けられている取水堰や落差工の通称のこと。
富山の方言で、水が勢いよく流れ落ちるさまや、その音から名づけられています。

石段によって激しい水音を響かせている

いたち川沿いには、ところどころに歩道から川に降りる階段があり、
川べりは遊歩道のようになっていて、川のそばを歩くこともできます。
川沿いの道を掃除している地元の方の姿もたびたび見られます。

川沿いの桜並木を見上げながら散策できる

いたち川は、宮本輝の芥川賞受賞作「蛍川」の舞台にされており、川沿いには映画ロケ記念碑があります。
また、直木賞作家 源氏鶏太の文学碑もあるなど、文学ゆかりの地としても楽しめる名水です。

霊水を汲みに集う人々

石倉町延命地蔵尊と泉町二丁目延命地蔵尊の2か所は、富山の人なら知らない人はいないんじゃないかと思うほど有名。
石倉町の延命地蔵の霊水は「龍の口」から、川向の泉町二丁目延命地蔵の霊水は「鯉の口」から湧き出ています。

そしてこの2か所は「延命地蔵の水」を汲みにくる人があまりにも多くてビックリ!
次から次へと人が訪れます。

石倉町延命地蔵尊

泉町一丁目延命地蔵尊

石倉町延命地蔵尊から少し下ったところに、「雪見橋」「月見橋」があり、
その中間に「福寿不動尊」と「慈母観音」、「水神社」が3つ並んでいます。

観音様の足元と、水神社の脇からも霊水が出ていますが、こちらは「延命地蔵の水」と違いひっそりとしています。

地元の方。週に何度も汲みに来られるそう。

今回のお散歩のゴールは「いたち川」と「松川」の合流点とします。
明治の頃まで、荷揚げや積み出しを行った船運の要衝だったそうで、その歴史を伝えるために現在も常夜灯が建てられています。

二つの川の合流点。花見シーズンにはたくさんの花見客が見られる。

マップを片手に「いたち川散歩」はいかが?

いたち川沿いに沢山のお地蔵さまが祀られているのは、安政5年(1858年)大地震によるいたち川の氾濫がきっかけでした。
犠牲になった人たちの冥福を祈り、生き残った人々の延命長寿や町の復興を願う気持ちから建立されています。

また、どのお地蔵さまのお堂も、地元の方が毎日掃除をしたり、花を供えたり、とても大切にされていることが分かります。

毎年7月23日・24日にはたくさんのお地蔵さまを祀る「お地蔵さん祭り」が開催され、
町内住民による地蔵おどりや灯篭流しも行われ、幻想的な光景を見ることができます。

「いたち川地蔵尊めぐりマップ」を片手に、いたち川のお地蔵さんと湧き水を巡るお散歩はいかがでしょうか?


青海正和(あおうみまさかず)
アメージングトヤマ写真部リーダーズ所属。富山生まれの富山育ち。
身近な場所や、普段見ている風景も、時間や光の加減でまったく別世界に感じさせてくれます。その時々に発見した、ちょっとした感動を伝えられればと、日々研鑽中。


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