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[優秀作品発表!]テラウチマサト特別講座「今いちばん見たい写真、見せたい写真2017」

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2017年10月に開催された、特別講座「今いちばん見たい写真、見せたい写真2017」
写真家テラウチマサトが講師となり、参加者の作品を講評するこの特別講座は、
自身の作品の講評だけでなく、参加者全員のプレゼンテーションや講評を聞くことで
作品作りのヒントや刺激が得られたと好評の内に終了しました。

今回の講座では参加者の中から優秀者7名を選出。
2017年12月13日(水)~24(日)迄、東京・京橋のT.I.P WHITECUBE Galleryにて展示を行います。本記事では、優秀者の作品とテラウチマサトの講評をいち早くお届けします!

山本大介 「no title」

被写体の人生が写っているポートレイトで、誰でも撮れる写真ではないと感じました。皺や眼鏡の位置、目に光が無く少し虚ろな感じがすることも含めて味になっています。襟に付いているバッヂも面白いですね。単純にじっとこちらを向いている写真ですが、こういうポートレイトは撮れそうで撮れない。沢山ポートレイトを撮ってきた結果、行きついた作品だと思いました。

山下雅実 「おまえを離さない」

スナップポートレイトとしてタイトルの付け方もシャッターを切った瞬間も、被写体の動きもいいですね。これぞ写真という感じがします。文句なしに、この方の凄さを感じました。メインのカップルの手の動きもいいですが、右側にもカップルがいて、連続性があるのも面白いです。いい写真にはこういう偶然性が出てきます。真っ先に選んだ作品でした。

中島啓介 「『Poisson Rouge(ポワソンルージュ)』スライド・空間・魚雲」

色彩的に美しく、目には見えないものが写真によって写し出されています。水槽の中の金魚が巨大な雲や竜、不思議な生き物の様に見えるところが面白いです。黒い背景に横から照明を当てており、映像的な工夫も感じられます。あえて辛口で言うと、シャッタースピードの選定や金魚の泳ぐ速度などをいま以上に見極めることで、このシチュエーションでさらにいいものが撮れるはずです。プロの目で見れば、まだまだいける写真。この手法に徹して、撮り続けてほしいです。

村上信道 「Surnaturalisme」

視点が独特で切りとり方が素晴らしいです。被写体との距離感がすごく良く、日常の中のちょっと変わったシーンをうまく捉えていると思いました。普通に見ているものが、冷静に見たらちょっとおかしくない?と言われているような気がして、そのテーマへの迫り方が面白いです。単純に風景を切りとっている訳ではなく、この方が感じている違和感が3枚の写真から伝わってきました。

井上亜紀子 「ぼくのせかい」

いいシャッターチャンスで撮影できています。カメラの使い方やぼかし方、レンズの活かし方も上手いですね。ただ、写真には情が写るので子どもへの愛をもっと入れてほしいと思います。我が子への愛おしさを、どうやったらこの写真にもっと入れ込めるかを考えて、ここからもう一段頑張って撮ってみて欲しいと思います。

鈴木郁子 「並行世界」

一見、合成写真の様に見えますが、造形物の中に写り込んでいるものとリアルな風景をうまく切りとって、逆さにしている面白さがあります。赤い服の人をポイントにするという工夫も見られます。ただシャッターを押しているというだけでなく、作品をつくるということへの強い気持ちを感じました。写真に果敢に挑んでいる点において、少し嫉妬さえする程の気持ちの向かい方が素晴らしいです。

江口直宏 「灯りに集う人々」

広角レンズの使い方が上手いですね。異国の、これだけの群衆の中に入り込んで撮られていることが素晴らしいと思いました。光が入り込んで、全体の色がアンバーになっているところも異国感があってよかったと思います。通り一遍にシャッターを切っているのではなく、踏み込んで撮影されているように感じたので色んな人に見てもらうべきだと思いました。

ご紹介した作品は12月13日(水)より、東京・京橋のT.I.P WHITECUBE Galleryにて展示。A1~A2サイズでの展示が予定されていますので、大きくプリントされた作品を観ることができます。ぜひ会場へ足をお運び頂き、優秀者のみなさんの力強い作品を味わってください。

テラウチマサト講評講座 入選作品展

日時:2017年12月13日(水)~12月24日(日)12:00~19:00
※18日(月)・19日(火)は休廊、24日(日)は17:00迄
会場:T.I.P WHITECUBE Gallery
東京都中央区 京橋 3-6-6 エクスアートビル1階(東京メトロ銀座線[京橋駅]下車徒歩1分)http://tip.or.jp/

◆プロフィール
テラウチマサト
写真家。1954 年富山県生まれ。出版社を経て1991 年に独立。これまで6,000人以上のポートレイトを撮影。ライフワークとして屋久島やタヒチ、ハワイなど南の島の撮影をする一方で、近年は独自の写真による映像表現と企業や商品、及び地方自治体の魅力を伝えるブランドプロデューサーとしても活動中。2012年パリ・ユネスコにて富士山作品を展示。主な写真集に、「ユネスコ イルドアクトギャラリー」でも展示した富士山をとらえた『F 見上げればいつも』や、NY でのスナップ写真をまとめた『NY 夢の距離』(いずれもT.I.P BOOKS)がある。www.terauchi.com

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