GWは京都へ。KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2018をまわってきた!<巡り方ガイド>
京都の町中に写真展示がされる、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2018」。
6年目となる今年は「UP」をテーマに、国内外から注目の作家の作品が集まっています。
いち早くKYOTOGRAPHIE(キョウトグラフィー)にかけつけた編集部員が、
展示のまわり方をダイジェストでご紹介させていただきます!
KYOTOGRAPHIEの展示場所は、こんな感じ。
「絶対行っておくべき、おすすめの展示ってどこ?」と他の編集部に聞かれたのですが、
「いや、全部見た方がいいから」と返しました。それくらい、内容の濃い展示ばかりです。
ということで、ここでは「どこがお勧めか」よりも、「どうすれば効率よく回れるのか?」を中心にご紹介します!
効率よく巡れば、今回ご紹介する展示を1日でまわることは可能です。
後悔しないためにも、プランを組んで効率よくまわってくださいね!
1.スタートはどこから?
2.烏丸御池エリア
3.四条河原町・祇園エリア
4.丹波口エリア
※今回の記事では、RELATED PROGRAMSはご紹介しません。(オフィシャルマップ上の16番~19番)
1.スタートはどこからがいいの?
いろんな周り方がありますが(見る順番は決まっていません)、効率よく回るなら(05)「NTT西日本 三条コラボレーションプラザ」からがお勧め。
▼場所はこちら
05. NTT西日本 三条コラボレーションプラザ
展示作家:クロード・ディティヴォン「パリ五月革命―夢みる現実」
上記展示と合わせてインフォメーションセンターが併設された場所なのですが、スタッフが常駐しており、チケット購入やショップ、情報収集ができます。さらに、レンタサイクルができるんです。
ちなみに、このレンタサイクルは1日中は借りれません。
10:00~14:00と、15:00~19:00の2回。ご注意ください。
また、実際に試してみると、こんな注意点も。
・駐輪できるスペースが限られています(こちらはスタッフによるレクチャーあり!)。
・サドル位置が高いロードバイクなので、背の低い人は少し乗りづらいかも。
・スカートなど足元のゆったりした服は、チェーンに巻き込まれる可能性があるので動きやすい服装で!
以上のポイントには少し気を付けながら、レンタサイクルを利用しましょう。
京都の町を自転車で走るのは気持ちがいいので、
いちばん距離のあるポイントだけ利用してみるのもアリですね!
もうひとつ、距離のある会場をまわるのに便利なのがシャトルカーです。
出展作家の宮崎いず美のラッピングカー。
巡回のシャトルカーは
・烏丸御池⇔丹波口
・烏丸御池⇔祇園
の2つのルートがあり、指定の停留所から無料で乗ることができます。
30分に一本出ているので、離れた開場に行く場合は便利。停留所に待っている人がいない場合、30分(混雑によっては+α)待てば必ず乗れるので、待機をお勧めします。
ちなみに3人乗りなので、3人以上の団体だと乗れませんのでご注意を。
烏丸御池→丹波口は、実際にタクシーを使って移動してみると1800円ぐらい。こちらはあくまで目安として。
あまり待ちたくない!もっと自由に移動したい!けど安くで済ませたい!という人は、京都市バスの利用がお勧め。
2.烏丸御池エリア
さて、最初に向かった(05)を起点に、烏丸御池エリアの
(06)京都文化博物館別館/ジャン=ポール・グード
(04)嶋臺ギャラリー/フランク・ホーヴァット
(01)京都新聞ビル印刷工場跡(B1F)/ローレン・グリーンフィールド
(07)誉田屋源兵衛(こんだやげんべい)竹院の間/深瀬昌久
(08)誉田屋源兵衛黒蔵/ロミュアル・ハズメ
(02)堀川御池ギャラリー/森田具海
(03)堀川御池ギャラリー/小野規
を回りましょう。
観覧時間としては、ひと会場あたり20分は欲しいところ。
三条コラボレーションプラザを出発する前に、05の目の前の大垣書店には、深瀬昌久のポスターも。こちらもお見逃しなく!
朝イチで行動する人への注意点は、
(02)(03)の展示がある堀川御池ギャラリーは一番初めに行かないこと。
ここの開場は11時!
ちなみに、基本的に10時オープンですが、変則的なものとしては下記の展示会場。
(09)の藤井大丸 ブラックストレージは10:30オープン。
(11)のASPHOTDELは11:00オープン。
(13)の三三九(さざんがきゅう)と、
(15-B)のKYOTO MAKERS GARAGEは12:00オープンです。
月・火・水はお休みの場所も多いので、
行く前に下記のページで事前にチェックしましょう。必ず!
https://www.kyotographie.jp/venues/
さて、では展示会場のご紹介です。
(06)京都文化博物館別館/ジャン=ポール・グード
写真家としてだけではなく、グラフィックデザイナーやアートディレクター、映像監督としても現在も活躍している、77歳のジャンポール・クードの作品。日本での本格的な個展は今回が初めて。
会期中毎日、ダンスと歌のパフォーマンスが実施されていて、写真という枠を超えた「体験」する展示です。
(04)嶋臺(しまだい)ギャラリー/フランク・ホーヴァット
銀座のCHANEL NEXUS HALLでも展示をしていた、ファッション写真家のフランク・ホーヴァットの展示。
嶋臺ギャラリーという倉を改築したギャラリーで、和と洋が合わさる展示空間。モデルのプライベートな部分を取り込んだファッション写真で、80年代のファッション写真の黄金期に活躍した作家です。
(01)京都新聞ビル印刷工場跡(B1F)/ローレン・グリーンフィールド
会場に入ると漂うインクの香りがする、京都新聞社の旧印刷工場跡での展示。約1000㎡もの広大な敷地内に、煌々と照らされた「GENERATION WEALTH(=富の世代)」をテーマにした作品が展示されています。富とはなにか?ということ同時に、「富があるようにふるまう」ことについても考えさせる作品。
会場は地下1階ですが、一度1階正面入口から入る必要があるので注意。
(07)誉田屋源兵衛(こんだやげんべい)竹院の間/深瀬昌久
(08)誉田屋源兵衛黒蔵/ロミュアル・ハズメ
まずは竹院の間の深瀬昌久の展示「遊戯/PLAY」。「遊戯」「寂寥」「私景」の大きく3つのテーマに分かれて展示される全254点(額装点数138点)の作品群は、深瀬昌久がどんな写真家だったかの一端を、しっかりと感じられるものになっています。
そして黒蔵で開催されている、アフリカのベナン出身の写真家、ロミュアル・ハズメの作品。アフリカの石油やゴミの問題を、そこに暮らす人々の生活を通して伝えます。
(02)堀川御池ギャラリー/森田具海
(03)堀川御池ギャラリー/小野規
堀川御池ギャラリーでは、昨年度KG+(KYOTOGRAPHIEのサテライト展示イベント)でグランプリを受賞した23歳の作家、森田貝海の展示が開催。1960年代に起こった「三里塚闘争」を、その闘争をリアルタイムで知らない20代前半ならではの視点でとらえています。
もうひとつの展示は環境科学を研究する小野規、震災以降にできた東北の防潮堤を写した作品。「海」に対して壁をつくる行為を見つめる冷静な眼差しが印象的。下の写真は「海が見えない」という意見を汲んだ防潮堤の窓。自然と人間の関係を考えさせられる写真です。
3.四条河原町・祇園エリアの展示
前述の烏丸御池エリアを見終われば、次は四条河原町・祇園エリアをめぐりましょう。
ちなみに、レンタサイクルの午前貸出は14時までなので、ここで返却してもOKです。四条通や河原町通をぶらぶら歩いて展示を回ってもいいでしょう。こちらのエリアは4つ。烏丸方面から歩いてきたのであれば、番号順に進むのでOKです。
(09)藤井大丸ブラックストレージ/ステファン・シェイムス
(10)y gion/リウ・ボーリン
(11)ASPHODEL/宮崎いず美
(12)両足院(建仁寺内)/中川幸夫
エリアマップはこちら。
では、順に見て行きましょう。
(09)藤井大丸ブラックストレージ/ステファン・シェイムス
大人気のMARVEL映画「ブラックパンサー」…ではなく、1960年代後半から、アメリカで黒人民族主義運動や、黒人解放闘争を展開していた政治組織の「ブラックパンサー党」を追いかけ続けてきたステファン・シェイムスの写真群。「過激な組織」と思われがちなブラックパンサー党ですが、現在の黒人解放運動にも通じる人徳的な活動記録が非常に印象的。
(10)y gion/リウ・ボーリン
写真の中に何が見えますか…?こちらは中国の作家、リウ・ボーリンが、現存する最古のシャンパーニュメゾンである「ルイナール」とコラボして生まれた作品。ワインが生まれるさまざまな行程の中で、自分の姿を溶け込ませる作品群。
屋上にはルイナールのシャンパーニュが有料で楽しめるルーフトップバーも。晴れた日は最高の気分。(15:00~21:00)
ただし、晴れた日中は日差しを遮るものが少ないので(ジリジリ暑い…!)、夕方以降がお勧め。
(11)ASPHODEL/宮崎いず美
PHaT PHOTOのvol.79の表紙を飾ってくれたこともある宮崎いず美の展示。
すべての作品がセルフポートレートで撮影をしている作品は、くすっと笑える要素もありつつとってもキュート。1階と3階は撮影OKなので、どんどん撮ってSNSにアップしましょう。
(12)両足院(建仁寺内)/中川幸夫
建仁寺の両足院で展示されているのは、華道家の中川幸夫の写真作品。この展示のために設えた黒い畳の上に、中川の作品がずらりと並べられています。「生と死」を花で表現し続けてきた中川の作品を、日本最古の禅寺でじっくりと鑑賞できる空間です。
4.丹波口エリアの展示
今回のKYOTOGRAPHIEで、もうひとつ注目のエリアが、京都駅からJRで一駅の丹波口です。
中心街(四条河原町エリア、烏丸御池エリア)から向かう際は、巡回シャトルを利用するか、市バスの利用がお勧め。
地下鉄とJRを利用して鉄道で行くことも可能です。
(13)三三九(さざんがきゅう)(旧貯氷庫)/ギデオン・メンデル
(14)三三九(旧氷工場)/アルベルト・ガルシア・アリックス
(15-A)京都市中央市場関連10・11号棟南壁面/K-NARF
(15-B)KYOTO MAKERS GARAGE/K-NARF
(15-C)株式会社マツシマホールディングス Kyoto BMW 本社/K-NARF
エリアマップはこちら。
京都市中央卸売市場の場外に位置する三三九は、記載の通り市場で使用する氷をつくり、保存していた古い倉庫。50年使用していなかったこの場所を、展示場として利用しています。
(13)三三九(さざんがきゅう)(旧貯氷庫)/ギデオン・メンデル
世界13ヵ国で発生すした洪水災害を、被害直後に訪れ撮影を続けているギデオン・メンデル。ポートレート作品と映像作品に加えて、現地で収集した水没写真にて構成されています。遠くの世界で起こる出来事を、映像を通して身近に感じ「共感」してもらうことが作家の狙いだそう。
(14)三三九(旧氷工場)/アルベルト・ガルシア・アリックス
スペインの国民写真賞を受賞し、ヨーロッパを中心に活躍するアルベルト・ガルシア・アリックスの日本初の本格的な個展。スペインの路上で撮影されたアンダーグラウンドな若者たちの、生命力あふれるポートレートは必見。40年間撮り続けられたこのシリーズは、長い年月を経た後の「若者」の姿も描かれています。
(15-A)京都市中央市場関連10・11号棟南壁面/K-NARF
(15-B)KYOTO MAKERS GARAGE/K-NARF
「HATARAKIMONO PROJECT」と題されたこの作品は、東京在住の作家K-NARFが2016年から1年間で約100名の”働き者”に声をかけて撮り続けた作品。仕事現場でプロフェッショナルとして働く人々の写真からは、テクノロジーの進化で急激に変わる働く「仕事」の在り方や、文化的な側面も示してくれます。
また、今回の展示に合わせ、京都中央卸市場エリアで働く人々を同プロジェクトの一環として撮り下ろした原寸大の80枚の作品が市場の関連棟の壁面に展示されています。
このほかにも、林典子や蜷川実花、リー・フリードランダーの作品があるRELATED PROGRAMや、70か所近くのサテライト展示、KG+など、見どころたくさんのKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭。
すべてをご紹介できないのは非常に心惜しいですが、自身の眼で確かめて、「これが良かった!」という作品を見つけて下さいね!