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フォトまち便り「Hello Local」vol.17 紀南フィルム 【宣戦布告】下田人に告ぐ!金目鯛だけがうまいんじゃない。那智勝浦をくらいやがれ❤


紀南、富山、郡山、下田の4つの写真部による連載企画「Hello Local」。過去16回にわたり平和に続いてきた連載に異変が!?

きっかけとなったのは下田写真部のメンバーで人気宿泊施設「ガーデンヴィラ白浜」を運営する宝田麻里子さんの記事「会いたいあなたのいる街」。その記事に、紀南フィルムのメンバーで、那智勝浦で「民宿わかたけ」を営む花井清州さんが反応。編集部も想像しなかった、伊豆半島と紀伊半島による、食自慢合戦(?)がここに勃発する。


この世は地方創生戦国時代。
10年後20年後には地方の人口はどんどんと減少していき、町に人はいなくなる。都会のお偉いさんたちは紛れもない現実を語り不安を煽る。生まれ育った町、好きになって移住してきた町で未来への何かの役割を担いたいと願う。その思いはぞれぞれのやれることで立ち上がり地方を盛り上げようとする若者たち。

我々紀南フィルムもそんな思いが内包されてできた団体だ。
たぶんそう。みんなには確認してないけど。たぶんそうだと思う。

俯瞰的にみるとたぶんどこの地方もこんな感じの状況で、この町にもっと移住者が増えてほしい。観光客が増えてほしい。思いは大体みんな一緒なんじゃないかな。

そう、人の取り合いだ。じゃあ他の写真部なんかに負けてらんねぇ!他は知らん!敵だ!もっと紀南だけが注目されればいいのに!と野心に燃えながら他写真部のフォトまち便りを偵察してみたら、そしたらどうだ。あっぱれだ。あっぱれ、開国厨房なみなみに訪ねたくなった。なにあの金目の串焼き。めっちゃうまそう。ふわっふわっそう。ひとつ白ネギ挟んでそれも憎い。おいしそう。金目鯛食べながら日本酒飲んで下田の夜に沈みたい。。もう下田に住みたい。いや、さすがにそれは言い過ぎか。けれど、他地方と交流してみたいよ。思いをぶつけたいよ。そんな気持ちになりました。そんなこんなでまち便りを綴らせて頂きます。

というわけで初めまして、和歌山県は、まぐろの町「那智勝浦」で「民宿わかたけ」を営む花井と申します。


民宿わかたけは昭和29年創業で私は3代目です。子供は3人います。民宿ってちょっと時代遅れでださい感じがする。その点、ゲストハウスはかっこいい。わかる。そんなイメージ。

実際民宿って当たり外れがある気がする。廃れた宿泊施設。けれど私は代々続く、そんな民宿を継いじゃったものだから使命として次の世代(子供たち)へ民宿を新しい文化として繋ぐことを目標に日々を過ごしているのです。そういったわけでハード面は他施設に勝てないからお料理を充実させて「当たり」の宿になれるように頑張っています。

まぐろ料理をメインとした紀南食材の料理の数々と”唎酒師“として60種取り揃えた和歌山の日本酒から、そのお客様に合った一杯をお出しする。旅行会社さんの口コミでの夕食評価なんかは大体5点満点中4.8点をキープしていてるのはちょっと自慢できるところでしょうか。宣伝っぽくなりましたが今回は紀南の食材にこだわる料理宿の店主として那智勝浦町の食についてご案内します。

まずは那智勝浦といえば「生まぐろ」
近海で穫れる、まぐろは一度も冷凍されることなく町内に出回っていて気軽に新鮮なまぐろを買うことができます。食感は都会で見るそれとは違い弾力がよく、プリッと歯ごたえが良きです。旬は寒くなるこれからで、まぐろ全身に脂がのってきてきます。

まぐろの種類で言えばめばち、きはだ、びんちょうまぐろが主に水揚げされ、みんな大好き本まぐろは都会に出荷されていくのがほとんどです。なんだよ!本まぐろじゃないのかよ。やっぱり大間かよ。って思われてそうですが旬を迎えた他のまぐろも本まぐろに負けないむしろ勝ってる美味しさがあります。これは那智勝浦で食べるこその鮮度の良さなのです。まじでうまい。いつも食べてるけどいつもうまい。いや本まぐろも美味しいけど。

まぐろを買うとなると推しの仲買さんなんかもいてまして、左の推しは同級生のしげー。片原魚店を営む生粋のまぐろ好きの日本酒好き。目利きもしっかりしてて、なんていうか愛だね愛、まぐろ愛の人。彼からまぐろや日本酒のことを色々学びました。彼から出る、うまいまぐろは最高にうまい。信頼のしげー。

右の推しは北郡商店の北郡さん。元は某有名アパレルメーカーの某青山店の店長をやってた人。ハイカラな街からなぜこんな田舎町に?それは奥さんの実家の魚屋さんを継ぐため移住してきて服から包丁に物を持ち替えたから。かっこいい北郡さんはとにかくいい魚をクールに買う。颯爽と買っていく。帽子のかぶり方もかっこいい。「北郡商店にいい魚がなかったら諦めろ。それは天候だ。仕方がない。」と宿泊のお客さんには説明しています。

片原魚店
住所 〒649-5331 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字天満878-8
電話番号 0735-52-1065
営業時間 9:00〜17:00
定休日 不定休
駐車場 無

北郡商店
住所 〒649-5331 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字天満133-1
電話番号 0735-52-0826
営業時間 9:00〜18:00
定休日 日(連休の場合営業の時あり要TEL)
駐車場 4台


そしてそして、みなさんはジビエ料理を食べたことはありますか?クセが強そうなイメージはありますが意外やクセもなく鹿や猪はおいしいものですよ。特に猪は甘い脂と旨味と豚とまた違う歯応えのある弾力はたまらなくおいしいです。ヨダレが出ちゃう。冬なんかは赤味噌の牡丹鍋なんかもいいですね。けれど、町であまり見かけることはありません。それはなぜか。それはこの町の環境問題の話になります。


色川地区という町内の深い山奥に集落があります。その山で獲れる鹿や猪が市場に出回りますが町の主な産業は農業です。そう、田畑を荒らす獣たちが問題になっています。昼は猿・夜は猪や鹿などに荒らされます。困っているのはおばあちゃんやおじいちゃんです。為す術もありません。

獣が増えた原因は地方の人口減少に起因しています。農業をやる人が少なくなり耕作地が荒れ地になり、それはいずれ森となる。山と里の境はなくなっていき、その結果、元々、山に住んでいた獣たちが里に近づくようになったのです。そのため人間様が作った畑のために獣害対策が行われ鹿や猪が捕獲されます。誰が悪いのか。もともとはそこ獣たちの場所だったのでは?単純に獣たちが悪いとは言えない難しい問題です。

そして捕獲された獣たちは町内へ食肉として流通します。元はお金儲けのためのものではありません。本来は誰も無駄な殺生はしたくはないのです。そういった背景があるから、おいしい鹿肉や猪肉はいつもあるわけではありません。残念です。こんなにおいしいのに。ちゃんとしっかり食べてもらえない。わかたけでもちゃんと出せてません。しかし、その物事をしっかり理解し有り難く頂くことも一つの美味しいスパイスです。機会があればどうぞお越しください。あったら出しします。あったらね。

しかししかし、
まだまだ日本酒の話や鯨の話。推し農家の話など尽きないけれど長くなりそうだから今日はこのへんで失礼します。さようなら。またお会いしましょう。あぁ、きんめ食べに行きたいなぁ。。

花井清州
1980年、和歌山県那智勝浦町生まれ
25才のとき、失恋し酒浸りの毎日の自分を変えようと写真を撮り始める。サラリーマン時代に母親からの熟年離婚宣言の一報を機に実家に帰る決意をし30才で結婚。家業であった民宿を継ぎ3人の子供に恵まれる。(親も今は夫婦円満です)

民宿わかたけ
〒649-5332
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町朝日3-34
電話:0735-52-0155
HP:わかたけ.com


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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