【特別公開中】タカザワケンジ文章講座 第1回
自分にとっての写真の「師」をつくれ!


ツイッターやFacebookなどのSNSやブログで写真展や写真集の感想を書いてみたい!
写真展に行った後、記録として感想を書いているけど、うまく書けているかわからない。
そんな風に思ったことはありませんか?

本記事では、写真評論家のタカザワケンジさんに、写真についての魅力的な文章を書くコツを教えていただきます。

今回は、面白い文章を書くためのヒントから、写真評論とは何か、また実際にタカザワさんがどのようなプロセスを経て書評を書いているのかについて教えていただきました。

※本記事は、写真評論家・タカザワケンジさんによる文章講座・4期生(オンライン開催)募集開始に伴い、1期開催時の内容をまとめたものを公開しています。4期はオンラインにて、7/29(水)よりスタートします。詳細はページ下部をご確認ください。

目次
1.面白い文章を書くためのヒントとは?
2.写真評論とは何か
3.解説! 書評を書くプロセス
4.読むべき書籍リスト

 

1.面白い文章を書くためのヒントとは?

日常生活ではふつうに書いたり、メールを打ったりしているのに、いざ作品に対して感じたことを言葉にしようとすると難しいと感じる方は多いのではないでしょうか。

そういう方に意識してほしいのは、自分がどういうものに影響をうけて生きてきたかということです。写真について考えること、言葉にすることに正解はありません。

それぞれのバックグラウンドをもとに、実感がこもったことを書けるようになると文章は面白くなると思います。

師を3人つくる

写真の考え方が幅広すぎて、どこから手をつけたらいいかわかならいという人は、自分にとっての写真の「師」をつくってみてください。

私にとっては、「ライカな眼」を一緒につくった高梨豊さん、ワークショップに参加した金村修さん、アサヒカメラで「今日の写真」という連載をしたホンマタカシさんが師匠。この3人によって写真の考え方がインストールされたと思っています。

一緒に仕事をしたり、ワークショップに参加する機会がなくても、3人くらいに興味を持って、集中して研究してみるといいと思います。その人たちの考え方に刺激を受けて、自分にとって「写真とは何か」を考えることで、基準をもてるようになると思います。
1人ではなく3人というのは、偏りを避けるためです。私の場合でいえば、高梨さん、金村さん、ホンマさんには共通点もありますが、違う点もたくさんあります。その違いが写真の見方の幅をつくってくれると思います。

2.写真評論とは何か

具体的な書き方に入る前に、「写真評論」について、私の考えをお伝えします。
写真評論は、単なる解説ではなく、

●写真がもつ背景や歴史的なことがふまえられていること
●写真表現としての魅力や可能性に触れられていること

が必要だと考えています。

そして、新しい表現と歴史的な関連性を指摘するには、

●写真および社会の歴史性(縦軸)
●国際的な同時代性(横軸)

が必要になります。

これらを意識しながら、専門的な知識をもとに有益な情報と、鑑賞のヒントを与えるのが写真評論だと考えています。

3.解説! 書評を書くプロセス

私が書評を書いた、井上雄輔さんの写真集『Containers in Tokyo』を例に、書評を書く際に実際にしていることをお伝えしていきます。

井上雄輔『Containers in Tokyo』
case-publishing.jp/jp/publication/containers-a

井上雄輔作品 『Containers in Tokyo』

井上さんの作品は首都高を走行する「コンテナ」を高速シャッターで捉えた作品なのですが、どういう書評を書いたか、少しだけお見せします。

長方形、それが最初の印象である。ページをめくると色が違い、描かれたロゴが異なり、さらには違う形のものが現れる。
この写真集 『Containers in Tokyo』は日本の写真家、井上雄輔のものである。
(中略)
井上が撮影したのはコンテナの物体であると同時にわたしたちの生活を支える物流という大動脈を流れる血球だと言える。
写真家の役割のひとつは、私たちがよく目にしていながら、全く意識していないものにレンズを向け、写真にすることで考える材料にすることだ。井上もまた、はじめての写真集でその役割を担うという態度を表明したのである。

タイトルは「瞬間のタイポロジー」。
はじめに「写真の印象」からスタートし、「コンテナ」という被写体について言及。
それらを読み取ったうえで、「コンテナ」の見え方を変える情報を入れていくという構成になっています。

書評を書くときは、大まかに下記の流れがあります。

1.リサーチ
2.執筆
3.推敲・校正

 

1.リサーチ

リサーチするときは3つのレベルでリサーチをします。

1つめは「作家レベル」
写真家が受けたインタビューを読んだり、過去の作品についてリサーチをします。

2つめは「モチーフレベル」
題材に関するリサーチです。『Containers in Tokyo』の場合は「コンテナ」「物流」「都市と物流」などのキーワードが含まれる本や、写真作品、ウェブサイト、写真(画像検索)などを収集し、調べます。

3つめは「技法レベル」
写真技法、編集方法、コンセプトが共通する歴史的な作品、同時代の作品で同じことをやっている作家を探します。
井上さんの技法はいわゆる「タイポロジー」の方法をとっているので、過去および現在のタイポロジーの写真作品をリサーチしています。

2.執筆

続いて執筆ですが、2つのフェーズに分かれます。

執筆1

まずは、資料を脇に置かず、記憶だけを頼りに最後まで書きます。
書き出しは後で書いてもいいので、構成は考えず、書きやすいところから書く。書きあぐねたときは「誰か」に口頭で説明するという設定でその説明をそのまま文章にしてみます。書きたいと思ったことを、とにかく最後まで書くのが「執筆1」になります。

執筆2

できれば1日くらい空けて、「執筆2」に移ります。
1日空くと客観的に読むことができ、何を言いたいかもはっきしりてくるので、頭から文章を直していきます。年代や作家名など、不明確な部分を資料をもとに修正・補完し、段落の入れ替えや新たな文章の追加、削除などを時間を空けながら繰り返していきます。

3.推敲・校正

原稿が書きあがったら、ひと晩寝かせて、もう一度最初から読み、気になった部分を手直ししていきます(推敲)。
出版の場合は、レイアウト済みの「ゲラ(校正)」があがってくるので、編集者からの指摘もふまえて赤字を入れて戻します。

このように、できるだけリサーチして情報量を増やしたら、資料は見ずに書いて、その原稿を資料と突き合わせて修正し、校正をかけて完成という流れになります。

最初から資料を脇に置いて書いていくと、資料にしばられてしまい新しい発想が生まれません。結果的に常識的でつまらない文章になってしまうことが多い(経験的に)。自分の中にある無意識に沿って書いていくと新しい発見があるので、資料を見ずに書いてみるといいと思います。


【オンライン開催&添削あり】写真の見方がわかるようになる!写真好きのための文章講座がオンラインで開講します!

写真評論家・タカザワケンジさんによる、写真好きのための文章講座。好評につき、第4期生を募集します。今回はオンライン(ZOOM)にて開催!今まで遠方で参加ができなかった方、タイミングが合わなかった方。この機会にぜひご参加ください。

■日程:
1回目[7月29日(水)] 文章を書くための心構え
2回目[8月21日(金)] 伝わる書評を書くための実践練習
3回目[9月18日(金)] 写真集の評論を書こう!
4回目[10月16日(金)] 実践! 公開写真家インタビュー
5回目[11月27日(金)] 文章添削講座
■時間:19:30~21:00(欠席者には1週間限定でレコーディングを共有予定)
■定員:15名(最少催行人数5名)
■料金(税込):
・PHaT PHOTO写真教室生徒(※)の方
各1回 5,400円/全5回 一括払い 23,800円
・一般の方
各1回 6,500円/全5回 一括払い 29,100円

あわせて読みたい

【岩根愛インタビュー】がむしゃらに走り続けた12年間の軌跡―今ここにいることの意味―

静かなる革命 インベカヲリ★という星型多面体