ZOOMS JAPAN 2017 受賞者と行く
パリ写真旅レポート!


2.若手作家を応援するパリのギャラリー&美術館で作品を見てもらう!

さて、冒頭でもお伝えした通り、ZOOMS JAPANの受賞特典の大きな特徴は、フランスで展示ができるだけでなく、写真関係者に写真を見てもらい、アピールする場が設けられていること。海外でポートフォリオを見ていただくという、なかなかない機会が設けられています。

パリ最古の写真ギャラリー アガット・ガイアール・ギャラリー

1975年にオープンした本ギャラリーは、パリで最初の写真専門ギャラリー。
こけら落としはフランスを代表する写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソンだったとか。

その後、別会社がギャラリーを買い取り、2017年9月21日に再オープン!
著名な写真家のヴィンテージプリントから、若手作家の作品まで幅広く扱っています。

ではさっそく、キュレーターのフィオナさんにポートフォリオを見てもらいます。
まずは片上さんの作品から。

「傘という一貫したテーマがありますね。きれいな色使いです。日本らしさを感じて、日本を知らない人にとって、とても興味深い作品だと思います」

続いて、山田さんの作品。山田さんは受賞作と、いま制作途中の作品を見ていただきます。

フィオナさん
「植物とお母さんはどんな関係があるのですか?」

山田さん
「夜の植物の無防備な感じや、静かにそこにあるイメージが、自分の母親と重なった部分がありました」。

フィオナさん
「虚無という、不在のものを表現するその素晴らしさを感じます。引用がこもった内容と、かなりダイレクトに理解できる部分の両面がありますね。成長していく段階を見ている気がします。本当にきれいです。エディションはいくつですか?」

エディションとは、作品ごとに決めるプリントの販売枚数のこと。特にエディションを決めていなかった山田さんの作品に対してフィオナさんは、

「提案ですが、エディションは10以上は作らないほうがいいと思います。希少価値を高めたほうがいいですね」とアドバイス。

「感動しました」と、山田さんの作品をかなり気に入った様子です。

パリの老舗ギャラリーに写真を見せに行くなんて、相当な勇気が要りそうですが、

「持ってきてくれた作品は、都合が合えば喜んで見ますよ」、と気さくなフィオナさん。

「毎日、本当にたくさんの訪問者が来ます。作品を見に来る人もいれば、先日、京都の若い青年がポートフォリオを持って来ました。アートに携わっているものとして、私もまだ若いので、謙虚な姿勢で拝見させていただきたいと思います。若い作家の作品も、気に入ったら、展示することもあります」。

フィオナさんの言葉に勇気づけられたふたり。次はヨーロッパ写真美術館へ向かいます!

 

世界の著名な写真家の展覧会を開催する ヨーロッパ写真美術館

ヨーロッパ写真美術館(MEP)は、1706年に建てられた個人邸宅を改築し、1996年に開館した趣ある美術館です。


ロバート・フランク、ウィリアム・クライン、セバスチャン・サルガド、アンリ・カルティエ=ブレッソンなど数多くの著名な写真家の作品を展示してきました。
地下には2万5千冊の写真集やカタログが収蔵されている図書館、最上階には写真の修復室などもあります。

美術館の庭園は、館長のモンテロッソ氏と交友があり、惜しくも2017年に逝去された日本人の写真家、田原桂一氏が手がけた作品「庭園Niwa」。庭園には田原氏のポートレイト写真が飾られていました。

 

まず一行は展示室へ。中国の写真家、ZHOMG WEIXING「FACE A FACE」を鑑賞。

世界を旅して、作家が尊敬する著名フォトグラファーのポートレイトを撮影しているプロジェクトです。

写真好きならおなじみの、ロバート・フランク、ウィリアム・クライン、サルガド、サラ・ムーン、JRなどなど、そうそうたる写真家たちが登場します。

たとえば…。イギリス人らしく、ティーカップを持って写るおちゃめなマーティン・パー。

この作品のユニークなところは、ひとりひとりと対話の時間をたっぷりとって、相手のことを知って撮影をしていること。写真家同士のコラボレーション作品ともいえるでしょう。

それにしても、この強者ぞろいの写真家たちに撮影OKをもらえたことが、まずすごい…。

そのほか、マレーネ・ディートリッヒなど、アメリカで活躍した大スターの写真コレクション展や、

ユニークだったのが、クロード・モラール氏の展示。

か、顔? 怖い…。

自然の中で見つけた「顔」の写真。よく街中で建物やオブジェなどが人の顔に見える!と思って写真を撮ることがありますが、

こちらはかなり手ごわい面持ちです。SF映画に出てくるキャラクターみたい。

さてたっぷり鑑賞した後は、いよいよ、MEPの学芸員さんにポートフォリオを見ていただきます!

まずは山田さんの作品。

「英語のステートメントがあってとても助かりました。全てがパーソナルなことだとよく感じられます。写真の穴もひとつひとつ心を込めて空けたものだとわかりますし、とても純粋な作品だと思います。アドバイスは…特にありません。このまま続けていけばいいと思います」。

続いて、片上さん。

「傘がダンスをしているようでとてもかわいいと思います。意図的かどうかわかりませんが、ユーモアや軽快さを感じることができます。雨の日の写真だけれど、明るい雰囲気を感じることができますね」

そして本日、都合が合わずに同席予定ではなかった館長のモンテロッソ氏も、時間を見計らい、会いに来てくださいました。

作品を買い上げていただいた御礼を言うために、一緒に同行していた2016年の受賞者、山本雅紀さんが館長に、出版したばかりの写真集を贈呈。

館長モンテロッソ氏にお礼を言うことができました。


そして一行は、山本さんの個展が開かれているエイドリアン・ボンディ・ギャラリーへ。

日本人若手作家の展示も行う エイドリアン・ボンディ・ギャラリー

 

2016年11月、写真家の白石ちえこさんが写真展を開催していた同ギャラリー。前年度の受賞者たちが作品を観に訪れた際に、オーナーのエイドリアン氏が山本さんの作品を気に入り、訪問からちょうど1年後の2017年11月、パリフォトの時期にあわせて個展を開催することになりました。

ちなみに山本雅紀さんは、2017年9月にZEN FOTO GALLERYより写真集『我が家』を出版。さらに、2018年1月12日(金)~2月3日(土)には、同ギャラリーで個展の開催も予定しています。

そして、恒例の作品プレゼンタイム!  オーナーのエイドリアン氏に、2017年の受賞者たちの作品を見ていただきました。

 

山田さんが制作途中の作品を見せたところ、

「制作途中のものを見ても、この作品がどこに行くのか、まだわからない(のでなんともいえない)。詩のようにきれいに撮れているけど、どういうかたちでどう完成するのかまだ見えていないですね。しかし文章がとてもきれいで、感動する文章でした」。

そして片上さん。

「カラーの少ない写真のほうが好きですね。ただ、ポートフォリオの枚数が多すぎます。気に入った作品は何点かありましたが、似たような写真が多すぎました。もっと絞れば迫力が出てくると思います」

ふたりとも、具体的なアドバイスをいただけました。

最後にみんなで記念撮影。

2017年の受賞者ふたりも、いつかパリで展示できることを夢見て…。

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