【本誌連載】私が撮れなかった写真 Vol.1鈴木光雄



――サラ・ムーンの肖像――

 私がまだ、マレーシアで活動していた7年前のことです。所用で1週間ほど日本に帰国することになり、撮影のために六本木に出かけました。
 昼過ぎに、東京ミッドタウンを歩いていると、地図を広げて見ている白人の初老の女性が立っていました。黒で統一された服と帽子、それに丸いサングラスをかけた品格のある方。「あれ、どこかで見たことがある人だな…」と思いつつ、声をかけると、「森美術館に行きたいのですが、ここからはどう行くのですか?」と尋ねてきました。美術館への行き方を説明していると、私が肩に下げているカメラを見て、「あなたはフォトグラファーなのですか?」と訊いてきたので、「そうです。私の作品のウェブサイトがあるので、よかったら見てください」と名刺を差しだすと、「ありがとう。実は私もフォトグラファーなのよ。サラ・ムーンって知ってます?」と、その方は私に尋ねました。

――感銘を受けた写真家に意を決して「撮らせていただけますか?」と尋ねると…
---------
これより先はメンバーのみ閲覧できます。
※当Webマガジンは、富士山マガジンサービス(http://www.fujisan.co.jp)の
アカウントでのログインも可能です。