フォトまち便り「Hello Local」vol.37 郡山写真部~郡山の魅力を共に創る「逢瀬の風」~
紀南、富山、郡山、下田の4つの地域写真部が綴っていく連載企画「フォトまち便りHello Local」。今回は郡山写真部のたじまさおりさんに郡山市内の逢瀬町で開催されているマルシェ「Chill out Market 逢瀬の風」についてお話しいただきます。人と関わることが少なくなっている今、出来るかたちを模索しながらも郡山の魅力発信にチャレンジする方々がいます。ちょうど1周年を迎えたイベントのようすと彼らの想いをみなさんに届けます。
こんにちは、郡山写真部たじまさおりです。家で過ごす時間が増え、人と人の関わりが少なくなっている今日。
2021年に逢瀬の風というマルシェイベントが開催されました。
コロナ禍の厳しい世の中で前向きにチャレンジされている方々に興味を持ち、実際に会って話を聞いてみることにしました。
そこには日常を明るく前向きにとらえている方々の想いが詰まっていました。
自宅から現地まで約30分、何度も通った逢瀬町までの道。
のどかな風景を想像しながらどうぞお付き合いください。
舞台となるのは郡山駅から車で約35分。郡山市の西部に位置し、猪苗代や額取山の雪解け水にめぐまれた逢瀬町です。
また逢瀬(おうせ)町には「逢」の文字があることから良い出逢いがあるのではないか?と本来の意味とは違うけれど、郡山市に移り住んだ時から気になっていた地名でした。
逢瀬ワイナリーとは
2015年に農業第六次産業化と果樹農家の支援を目的にふくしまワイナリープロジェクトにおいて醸造施設「ふくしま逢瀬ワイナリー」が完成しました。
ワイナリーには芝生が広がり、遮るもののないとてもシンプルかつスマートな建物。店内での試飲はもちろん郡山市の名産・特産品の販売も行っております。
実はワイナリーという名称なのでお酒を嗜む方だけが行く場所だと思い、ノンアルコール派の私には縁遠い場所だと思っていましたが、今回の逢瀬の風といったワイナリー内でのイベントがたびたびメディアにも取り上げられていて、敷居がぐっと低くなったような。イベントを通して自然と逢瀬ワイナリーへの興味が高まってきたのです。
逢瀬の風プロジェクトが始動
ワイナリー完成から6年の2021年、世の中はコロナ禍の影響で飲食店はじめ多くの催しが中止・延期という状況でありましたが、7月4日に第一回「Chill out Market 逢瀬の風」がスタートします。
そして月に一度開催すること12回。2022年7月1日の今回、Chill out Market 逢瀬の風は1周年を迎えることができました!
そして今回は逢瀬の風実行委員のおひとり「BOA bridge of ability」の小林修さんにお話を伺い、なぜ逢瀬ワイナリーという場所で開催しようと思ったのか聞いてみたところ。
第一声が「かっこいいんだよね!」と。
ここからみえる季節ごとの景色、広い芝生に建物。そして郡山市内中心部を走る通称「文化通り」。その道を真っ直ぐ進むと到着する立地に魅力を感じ、ここから新しいことをスタートさせたいと思わせる要素が満載だったと教えていただきました。
「逢瀬の風」という名前の由来は逢瀬町の風は相当な強さだと言われています。その風の強さのように、このイベントが街を巻き込んで話題になることから名付けたそうです。
同じく逢瀬町にある里山体験ができる「なんだべ村」という場所があって、そこはたとえるなら『土』。僕たちは『風』となり地域の皆さんと逢瀬町を盛り上げて行きたいと語る小林さん。
逢瀬の風を開催するにあたって、逢瀬ワイナリーさんに場所の共有、マルシェの概要など相談されたのが2021年3月~4月のこと、そこからとんとん拍子に話が進んだそう。
これまで数々のイベントを後ろから支えてこられた小林さんの実績と経験があってこそだと感じました。
きっかけは「同じお店の人を応援したい気持ち」から
ご自身も【作り手】であり、キッチンカーで営業をされている方との交流も深い小林さん。また逢瀬の風プロジェクト立ち上げのきっかけも、キッチンカーで独立をされた身近な人の存在を応援したい想いからだそう。
「つまりは推しですか?」とつい私が聞いた言葉に「そうなんですよ!」と即答されました。
誰かを推す、応援すること。
はじめは一人でも、その熱意が広がりイベントに出店してくださるお店の方々が参加し、現在は約60の店舗、作家さん、企業などが逢瀬の風を盛り立ててくださっています。
そして、小林さんとお付き合いが深く、「家具と灯りと雑貨のお店nanotte」の遠藤さんと共に、飲食店や雑貨、作家さんとのワークショップなどが加わり、逢瀬の風は
逢瀬ワイナリーで開催される月一イベントとして広く知られることになりました。
共に実行委員をつとめていらっしゃるnanotte遠藤さんは郡山市内に今年の4月に店舗を拡大リニューアルし、逢瀬の風はじめ各地のマルシェなどでも人気のお店です。
小林さんとはお互いの意見を加味しあいながら尊重しあえるお仲間と伺っており、お二人が企画されるマルシェの多くが柔らかな雰囲気で行われていることにも大きく頷けます。
そこで小林さんが応援したいと仰った推しの「nicocoffeebeans」鈴木篤さんにもお話を伺いました。
コーヒーを通じてお客さんとの出会いやかわす一言を大切にいつも楽しんでいらしゃるというnicoさん。
小林さんとは、産院も一緒で誕生日も一か月違い。物心ついたときから一緒に遊んでいたという幼なじみだそうです!
小林さんの気持ちについて、どうお思いになったのか聞いてみると
「正直嬉しかったけれどもそこまで考えてくれるとは思わなかったですね(笑)」と。
キッチンカーでの独立から近くで見守ってくれた小林さんのことを考えながら笑顔で答えてくださいました。
きっとお二人はこれからも強い信頼関係でつながるのですね、幼なじみっていいなって
ちょっとうらやましく思いました。
小林さんが考える逢瀬の風プロジェクトの良さ
私は逢瀬の風でお店の方々とお話をするのですが、出店者さんがよく仰る言葉に「逢瀬の風は自分たちも楽しむことのできる場所」ということ。
売り上げも大事ですが、ここの雰囲気、人との出会いがとても貴重なんだと感じます。
小林さんが、営んでいる以上売り上げはとても大事なのは分かっているのですが
「月に1回、ここでの時間はゆったりと人とのつながりをより大切にして過ごしてほしいんだ。この場所で出会った縁が永く続いて、出店する人がそれぞれの生きる糧となって、逢瀬の風卒業っていうのもいいね。」
と、ある意味成長をみつめる縁辺のような表情で仰っていたことを思い出しました。
相手に楽しんでもらうには自分たちがまず楽しむ。
ここ数年のコロナ禍において少なからず影響のある飲食業やお店の皆さんも、ここでの一日をChill out してほしいのです。
そんな想いが穏やかな空間を作り出すのだと感じました。
また、私が特に感じている穏やかな瞬間、chill outだなとおすすめするのは、年に数回夜の時間帯に(~20:00)開催される逢瀬トワイライトです。
焚火のゆらぎを眺めながら日が落ちる寸前の夏なら青、秋はもっと深い青に包まれる時間を感じることができます。
Chill out Market 逢瀬の風1周年の今回
逢瀬の風一周年の記念して今回はイベントが行われました。
DJブースが設けられスペシャルゲストとしてスチャダラパーのDJ SHINCOさんが登場
35度超えの暑いなかミストシャワーと音楽と、柔らかな芝生で遊ぶこどもの声。
テントでワインを楽しむ大人たち。
日差しを遮りながらリズムをとり寛ぐ姿。
また新たな逢瀬の風のちからを発見しました。
逢瀬の風1周年のイベントが終了して数日後、再び小林さんに一周年という一つの区切りについてお話を伺いました。
記念企画としてDJブースを設けたことで初めて来場してくれた方も多く、逢瀬ワイナリーの魅力を知ってもらえたとのこと。そして子供から大人まで幅広い年齢層の方々に逢瀬の風という存在をきっかけに、逢瀬町に来て楽しんでもらいたいという気持ちをさらに強く感じられたそうです。
そして、これから二年目の逢瀬の風については「古き良き」を融合させてまたあらたな展開を考えているそうです。
常に目標値を掲げていらっしゃる小林さんとの会話は聞いているこちらまで気持ちが前向きになります。
これからも
新しい生活様式という言葉がうまれてから人とのつながりも減り、お店の方にとっては販売の形も多様化してきました。
そんな中でも今回、人と地域との関わりを大切にしている方々とのお話を伺うことで感じたこと。
それはたくさんの考えを取り入れながら新しいものへ飛び込む勇気も必要であること、多くの人との関わりを丁寧に繋ぐこと。
伺ってきたなかでとても心に響くものがありました。
Chill out Market 逢瀬の風。
逢瀬ワイナリーを基に郡山市内、必要とされる場所があればどこでも。
イベントを通じて出店者皆さんの笑顔に会うことができます。
これからもひとりひとりがそれぞれの愉しみ方で、ここ郡山市の逢瀬町から発信される新しくもあり懐かしくもある心地よい刺激を受け取っていただきたいと思います。
たじまさおり
1973年福島県会津若松市出身。2020年から郡山写真部に入部。子育て卒業を機に犬とカメラとミシンと仕事、4本の柱でバランスを保つ日々。様々な機会を見逃さないよう心掛けている。日日是好日なり。
郡山に住む写真好きの仲間が集まり、2018年から活動をしている「郡山写真部」。
郡山のまち、人の魅力を「写真」を通じて見つめ直し、「#郡山写真部」で発信しています。
郡山写真部が取材・記事を書いて作ったデジタルフォトマップ「郡山フォトスポットガイド」はコチラ