東京都写真美術館がいま注目の作家を紹介する「あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17」展が開催
自身を取り巻く世界と向きう5組の写真家
将来性のある作家を発掘し、新たな活動を紹介する場として2002年より東京都写真美術館が主催する「日本の新進作家」展が、9月22日(火・祝)まで同館で開催されている。今回選出されたのは、作品テーマや活動フィールドの全く異なる5組の写真家だ。
ハワイと福島という二つの土地の歴史と文化をたどり、過去と現在を生きる人々の営みを重ね合わせた作品シリーズ〈KIPUKA〉で2019年第44回木村伊兵衛写真賞、第44回伊奈信男賞をダブル受賞した岩根愛。
2011年に作品〈風を食べる〉で第34回写真新世紀グランプリ受賞し、独自の世界観を物語にして写真で表現する赤鹿麻耶。
写真家・映像ディレクターとして活動し、2017年に南北朝鮮の人々をとらえた写真集『border|korea』(リブロアルテ)を発表して話題となった菱田雄介。
SNSを通じて世界でも人気となった〈本日の浮遊〉シリーズの共同制作を経て、2014年に東京から大分に拠点を移し、今回は写真家ユニットとして制作した作品を紹介する原久路 & 林ナツミ。
そして2011年の東日本大震災をきっかけに故郷の宮城県女川町と被災した実家の写真館をテーマにしたドキュメンタリー作品を制作し、欧州の写真アワードでも高く評価された鈴木麻弓。
今回の展覧会では、写真作品だけでなく、映像作品やメイキング映像、制作に至るまでの手書きのシナリオなども一部展示されており、作家や作品をより深く知る手がかりとなるだろう。
毎年、選出が楽しみな本展覧会。2020年もぜひチェックしておきたい。
岩根愛
岩根愛/いわねあい
1975年、東京都生まれ。1991年米ペトロリアハイスクール留学。帰国後96年に独立。2006年以降ハワイにおける日系文化に注視する。13年福島県三春町に拠点。ハワイと福島という二つの土地の歴史と文化をたどり、過去と現在を生きる人々の営みを重ね合わせた作品シリーズ〈KIPUKA〉で2019年第44回木村伊兵衛写真賞、第44回伊奈信男賞をダブル受賞。ドキュメンタリー映画『盆唄』(中江裕司監督作品、2019年)のアソシエイト・プロデューサーも務める。
赤鹿麻耶
赤鹿麻耶/あかしかまや
1985年、大阪府生まれ。2008年関西大学卒業。10年ビジュアルアーツ大阪写真学科卒業。11年作品〈風を食べる〉で第34回写真新世紀グランプリ受賞。大阪を拠点に海外を含む各地で個展、グループ展を開催。
菱田雄介
菱田雄介/ひしだゆうすけ
1972年、東京都生まれ。写真家・映像ディレクターとして、ボーダー(境界線)が日常生活にどのような影響を与えるかをテーマに、国境や紛争地域を取材したドキュメンタリー写真を手がける。2008年および10年写真新世紀展佳作入選。17年に南北朝鮮の人々をとらえた写真集『border|korea』(リブロアルテ)を発表、コンセプチュアルで象徴的な表現によって大きな評価を得た。
原久路 & 林ナツミ
原久路 & 林ナツミ/はらひさじ&はやしなつみ
2013年結成。原久路(1964年、東京都生まれ)と林ナツミ(1982年、埼玉県生まれ)による写真家ユニット。2011年以降〈本日の浮遊〉シリーズの共同制作を経て、14年、東京から九州へ移住、大分県別府市を拠点に活動し、コラボレーション作品を制作。
鈴木麻弓
鈴木麻弓/すずきまゆみ
1977年、宮城県生まれ。日本大学藝術学部卒業。2011年の東日本大震災をきっかけに故郷の宮城県女川町と被災した実家の写真館をテーマにした広義のドキュメンタリー作品を制作する。17年に作品集『The Restoration Will』(CEIBA EDITIONS)を出版。
会期:2020年9月22日(火・祝)まで
会場:東京都写真美術館 2階展示室
住所:東京都目黒区三田 1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館:毎週月曜日(9月21日は開館)
観覧料:一般 700円/学生 560円/中高生・65歳以上 350円
※小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
www.topmuseum.jp