豪華審査員なのに参加費無料!雑誌「New York Times」のポートフォリオレビューに行ってきた!



毎年4月にニューヨークのCUNY Graduate school of Journalismで開催されているNew York Times主催のPortfolio Reviews。レビュアーとして参加してきたT3PHOTO FESTIVAL TOKYOファウンダーの速水惟広が、同ポートフォリオレビューの模様をお届けします。

ポートフォリオレビューとは
作品(ポートフォリオ)に対し、レビュアーから直接講評を受けられる機会のこと。他のアートではあまり見ることがない、作家と決定権者たちが直接会って繋がりをつくるミーティングの場です。

●ポートフォリオレビューの基本って?なにを準備したらいいの?
もっと詳しく知りたい方は、こちら

 

New York Times Portfolio Reviewsとは?

毎年4月にニューヨークのCUNY Graduate school of Journalismで開催され、今年で6回目を迎える国際ポートフォリオレビュー。
参加資格は18歳以上であることのみで、写真のジャンルなどは問われません。

レビューの募集人数は160名で、参加するには運営による事前審査が必要。レビュアーは、業界のトップ編集者や出版社、ギャラリーオーナー、キュレーターなど世界各国から総勢75名が参加しています。
 

なんと参加費は無料!

New York Times Portfolio Reviewsが他と大きく違うのは、参加費が無料ということ。
参加者は無料で直接、第一線で活躍する写真のプロや専門家から講評を受けることができます。

イベントは2日間に分けて開催され、初日は21歳以上の写真家を対象として、一人当たり6人のレビュアーとのセッションを受けることができます。2日目は若手写真家を対象としたレビューになっていて、18歳から27歳の作家のみが参加でき、こちらは一人当たり最低4人のレビュアーとのセッションが用意されています。

年齢別に枠を設けている点が特徴で、写真家としてスタートする時のアドバイスを受けられる点など、若い作家でも参加しやすいところが大きな魅力。
初日の対象者は100名、2日目は60名でした。

 

参加費無料なのに、錚々たる審査員たち

参加費が無料にも関わらず、講評をする審査員は錚々たる顔ぶれ。
会場に貼りだされたレビュアーの一覧がこちら。
コレクターから美術館キュレーター、出版社、メディアの編集者と多岐にわたります。

私はロンドンで開催されていたSony World Photography Awardsの授賞式のため2日目のレビューから参加。(ソニーSWPAの様子はこちらでご紹介)
1日のみの参加でしたが、各会場の外でもカジュアルなレビューが行われているシーンをいくつも見かけ、活発に作家とレビュアーの交流が行われていました。

レビュアーに配られた当日の予定表

参加した2日目は、午前中に8本のレビュー。プレゼンテーションのための参加者限定ワークショップも開催されており、盛りだくさんの内容でした。

2日目の午後に開催されていたワークショップの様子

2日目に参加していたレビュアーは、雑誌「APERTURE」の編集長マイケル・ファミゲッティや、「VOGUE ITALIA」のシニアフォトエディターで同誌のフォトフェスティバルもオルガナイズしているアレッシア・グラヴィアーノ、Magnum Foundationのエマ・レイズなど。
「New York Times」というとジャーナリズムのイメージが強いかもしれませんが、そればかりに限らないのが、レビュアーの顔触れからもわかります。

他にもコレクター、美術館キュレーター、フォトフェスティバルディレクターと錚々たるレビュアーが並びますが、今回のポートフォリオレビューでは、参加する写真家から費用をとらないのと同じように、レビュアーへの謝礼も一切ありません。
それでも、前述のマイケルやアレッシアが「毎年参加している」、「今年も最高の体験だった」と口を揃えて言うのは、理由があります。

 

審査員たちが無償で参加する理由は?

レビュアーたちが無償でも参加したくなる、New York Times Portfolio Reviews。
同ポートフォリオレビューが選ばれる理由は2つあります。

1つは、選出される写真家たちのレベルが極めて高いこと。
そして2つ目は、参加する写真家の人種、ジェンダー、民族的背景、性的指向などが多様なところです。

写真家のレベルの高さはわかりやすい部分ですが、重要なのは2つ目として挙げた多様性。
米国の写真業界では圧倒的に白人の男性写真家が支配しているのが現状です。そのため、メディアや企業では、異なるジェンダーや人種、民族背景をもった写真家を充分に起用することが社会的に強く求められているのです。
これは、もしかすると日本ではわかりづらい問題かもしれません。

今回のNew York Times Portfolio Reviewsでは、社会の枠組みがある特定の層(たとえば男性)を優遇し、そこに属さない人たち(たとえば女性やLGBTQ)を社会的に抑圧している状況に対し、個人や団体が無関心であるということが致命的になる現代社会を反映しているようでした。

私がレビューした写真家も、年齢は若い作家でしたが、国籍も性別も人種も多様な組み合わせになっていて、レベルの差はありましたが、似たようなプロジェクトを持ってくる写真家は1人もいませんでした。

育った環境や文化の違う作家たちと興味深く会話をすることができ、例えばその中でもTania Franco Kleinのような日本でもぜひ紹介したいと思える作家との出合いは、大きな収穫になりました。

New York Times Portfolio Reviewsの応募方法

応募は、例年、年末から1月末ごろまで、New York Times Portfolio ReviewsのHPで受け付けています。1つか2つのシリーズから合計20枚以下の写真を送るだけ。(ファイルはjpeg、1200pixel・72dpiで提出)

無料で海外のプロや専門家に写真を見てもらえるNew York Times Portfolio Reviews。
興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

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