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みんなのポートレイト展2018 受賞作品と選出コメント発表!

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ポートレイトに特化した新しい写真展「みんなのポートレイト展」。
記念すべき第1回開催で、レビュアー賞を受賞した作品とその選出コメントをご紹介します。


「装苑」副編集長:玉利亜紀子 選出

Taiga Hamada 「NOBODY´S HERO.」

選出コメント

ギャラリーに入ってすぐに目についたのが、浜田さんの作品でした。
まず気になったのは、展示方法やプリント。そのあと、写真を始めたきっかけなどプロフィールを見て、彼がごく自然な衝動で、この写真を撮りたいと思ったことが伝わってきました。

大胆にアップに切りとった写真から、被写体の人となりが感じられ、しわひとつとっても、その人の魅力と感じました。
浜田さんと被写体とのいい距離感が感じられるポートレイトでした。

Taiga Hamada 「NOBODY´S HERO.」

“私達は此処にいる.” と私は伝えたい。

私達は特別ではないし、日々溢れる情報の中で自身の存在を見失う事もあります。一人は多忙な毎日を、一人は路上で生活を、一人はお金だけでない価値観の中で生きている。そんな人々の一瞬に、どんな場所にいても私達が、様々な表情をもつ世界の一部なんだと感じます。

美しいと一概には言えないけれど、叫びにも近いこの情熱を私は撮り続けます。

今回の展示として、和紙(Awagami Factory)のプリントを使用

<作家プロフィール>
1989年生まれ。鎌倉在住。大学時代に自転車で仲間と日本各地を旅した経験から、旅や人物写真に興味を持つ。自身の宿を開くため、2016年より1年間を海外NZで生活、その後4ヶ月間オセアニア・アジアを旅し帰国。現在は、箱根のゲストハウス(TENT&天幕)を拠点に活動するバックパッカー。他作品:instagram.com/taiga_travel

株式会社ヒーコ代表取締役:黒田明臣 選出

Tatsuo Suzuki 「Carin」「Oto」

選出コメント

シンプルな話ですが視覚的、印象的にもっとも引き込まれました。
鈴木氏とは友人関係もあるので、自分が選ぶというのは非常に恥ずかしい気持ちもあり、本来はあえて選ばないという風に考えていたのですが、そこにある以上これはもう選ばないと嘘になる。という風に考えました。

この写真を面白いと思った点については、日頃の彼の作品であるストリートスナップを私がよく知っているからという点もあるかもしれません。
彼はときに、道行く見知らぬ人々を本作品と変わらぬ距離感で迫って作品としています。そのうえで、ポートレートとして撮影されたと思われる本作品を眺めていると、これらがストリートスナップであるかのような錯覚にも陥ってきます。
彼にとってのポートレートとストリートという両輪そのものが、写真のもつ虚構性を存分に表現しているように感じられて、何だかにやりとしたのでした。
Tatsuo Suzuki 「Carin」「Oto」

ストリート写真の文脈に基づくポートレート撮影。
このプロジェクトもまた継続してひとつのかたちにしたい。

<作家プロフィール>
1965年生まれ。東京都出身。2008年よりストリート写真を中心に鋭意撮影中。本年、ドイツ Steidl社より写真集刊行予定。2018年 Urban Photo Awards (イタリア、トリエステ)審査委員長。

ゲッティイメージズ:シニア・アート・ディレクター:小林正明 写真家・みんなのポートレイト展主催:テラウチマサト

大田綾花 「野生児将軍」

選出コメント(小林正明)

いいですね!元気の輸血をされました。ナンセンス&オフビート。大田さんはこの「行き先」を撮影前に詳細まで決め込んでいたのでしょうか?
大筋は作家の意図があったものの、ディテールについてはモデルの「野生児将軍」達が「このポーズを撮ってくれんか?」的に作家を挑発し、思いがけない絵面に行き着いたのではないでしょうか?
そんな、作家とモデルが50/50(フィフティ・フィフティ)の突き抜けた自由さ・共犯者的・自然偶発がもたらした強い力を感じました。
選出コメント(テラウチマサト)

展示作品は多様な作品が多く揃い、皆、力が入っていた。
ライティングなど凝ったものがある中、大田さんの作品は特にライティングに凝った作品ではなく、真正面からストロボを当てたような撮影方法をされていた。

スタジオではなく、屋外で撮られているので、お金をかけて作った作品でもなければ、新しいテクニックがある作品でもなく、どちらかといえば、シンプルでテクニックとしては初歩的な作品ではある。
ただ、ストロボの光が届くところと届かない場所を選んで、背景を真っ黒に落として撮っているところに興味を持った。それが、中学生の年代に特有のパワーを与えている。そして小物も効いている。

シンプルだけど力強さもあって、中学生が持つ「生きる強さ」を感じさせてくれた。そして、この世代が持つ「溢れ出てくるパワー」も感じさせてくれた。
ちょこっとユーモアもあって、撮影者の個性も出ていたと思う。
大田綾花 「野生児将軍」

怖いものなど特にない
テストとあの先生とお母さんくらい。
あの子は今日も俺になびかない
こんなに良い男居ないのに
あいつのどこがいいんだろう
教科書の落書きは意味もなくパラパラ
どうでもいい愛しい時間が過ぎていく
…まあそんなことは差し置いて!
今日も僕らは元気です!

<作家プロフィール>
1996年生 大阪府在住。2014 キヤノン写真新世紀 佳作。2015 キヤノンフォトグラファーズ セッション ファイナリスト。2015 関西御苗場 レビュアー賞。2017 横浜御苗場 レビュアー賞
TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD 贈呈!
みんなのポートレイト展主催者であるテラウチマサトが選出した大田さんには、本展協賛企業・株式会社タムロンのレンズ「SP 35mm F/1.8 Di VC USD」が贈呈されました。

写真家:山岸伸 選出

タカオカトモアキ 「hidden」

選出コメント

写真から作家の顔が見えることがあります。
しかし、タカオカさんの写真からは顔が見えず、イメージを湧かせる写真だったので選びました。
これからの写真作家になっていく人だと思います。
タカオカトモアキ 「hidden」

目が作る表情は豊かで情報がたくさん詰まっている。その目が作る表情を隠したまま感情はどこまで伝わるか。またどう感じるのか。人それぞれの答えを共有してみたい。

<作家プロフィール>
1987年生まれ。東京都在住 。2009年PHaT PHOTO写真教室に通い写真を始める。グループ展などに参加し作品を発表。会社員として働きながらスタジオポートレイトを学ぶなど、精力的に作品制作を行っている。


ご出展、ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
「みんなのポートレイト展」はポートレイトを楽しみ、考え、幅広いポートレイトを提案していく写真展。第2回目の開催も予定しています、ぜひこれからの展開をお楽しみにお待ちください!

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