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HOW TO / 作品制作のヒント

フォトコンテストで上位に選ばれた理由は?講評をチェック!


老人の生き様を感じた

6位「老人とウミネコ」Kato Mitsuhiro(メルボルン)


――続いて6位は、自由応募でKato Mitsuhiroさんの作品「老人とウミネコ」。テラウチさんが3位に選ばれました。

テラウチ さまざまな要素のバランスがうまくとれています。ウミネコで埋まる画面の真ん中に、高く羽ばたく1羽。
光のある背景に、老人の横顔のラインが浮き出ていて、しっかりこの瞬間を見極めて撮影されたんだろうなと思いました。単純に鳥に餌をあげている風景というよりも、この老人の人生、生き様のようなものを感じました。

吉野 周りにたくさんの鳥が集まってきてはいるけれど、もしかしたら夕暮れに1人で餌をあげる老人は、孤独なのかもしれない。そんな風に、いろんなことを考えさせてくれる作品でした。美しい光と、ここで起きていることがよくマッチしていて、作者の感情が伝わってきます。ちょっと出来過ぎなのかもしれませんね。

鈴木 老人の優しさのようなものが感じられて、私もいいなと思いました。
背景の入れ方もうまいです。ただ、もう少しスケール感が欲しかったですね。左側にも鳥がいると思うので、広角レンズで撮影してもっと遠近感を出しても面白かったと思います。構図や撮り方をもう少し工夫すると、さらに良くなる作品だと思いました。

大胆にぼかした挑戦的な仕掛け

7位「妻とミカン」Kazeo(東京都)


――続いて7位は3作品あります。まずは、テーマ応募でKazeoさんの作品「妻とミカン」。テラウチさんが特別賞に選ばれました。

テラウチ 「かけがえのないもの」という今回の募集テーマで撮られたとのこと。ミカンにピントを合わせて後ろの奥さんをぼかして撮ったところに、作品にしようという意図が感じられました。

奥さんの姿をわざと曖昧にした部分は面白かったのですが、少しぼかし過ぎたかもしれませんね。ただ、こういった写真に挑戦されたところは素晴らしかったと思います。

鈴木 「かけがえのないもの」であれば、ここまで背景をぼかさず、ミカンと奥さんを等価にしてもよかったと思います。ミカンの方が大切なように見えてしまった。照れがあったのでしょうか。思い切って主張してほしかったです。

吉野 「どちらも自分にとってはかけがえのないものだ」とありましたが、この作品は鈴木さんが言われたように誤読される可能性がありますよね。大切なものに対する想像力を見る人に膨らませて欲しいという意味で、ある種仕掛けた部分があったと思うんです。

でもその仕掛けが、逆にミカンの方が大事なんじゃないかと感じさせてしまうのかもしれません。もう少しだけ奥さんの姿が見えていた方が、意図が伝わりやすかったと思います。

光と影がつくりだす抽象

7位「iss-o15」植田孝志(滋賀県)


――同じく7位は、自由応募で植田孝志さんの作品「iss-o15」。吉野さんが特別賞に選ばれました。

吉野 とても不思議な、光と影の美しい写真ですね。何にも見えないように選んだと撮影意図に書いてあり、タイトルも番号になっている。情報が明かされず、あなたは何に見えますか?という問いかけをしている作品だと思います。

一方で、「小さなフィギュアを立ててみようかと思いました」ともあり、作者自身はこの写真の中に何かを見出していたような気がするんです。自分では何か意味を持っているのに、みんなに問いかけている。僕のうがった見方なのかもしれませんが、ひねり過ぎかなという気がしました。もうちょっと素直になって、この抽象の中に込めた意味を突き詰めて考えてほしいなと思います。

鈴木 非常に抽象的な作品ですね。色合いも素敵です。抽象で見せるというのは確かに大切だと思うんですが、あれにも見える、これにも見えるといったような、想像が膨らむ要素があるとよかったと思いました。少し単調すぎたかなと。

作者の中で完結してしまっているような感じがするので、見る側に考えさせるようなものが写っていると、より高評価をねらえる作品になると思います。

テラウチ 光と影の美しい部分を見つけて、格好よく捉えられています。鈴木さんが言われたように少し単調に見えるので、何か違う要素を取り入れてみるといいと思います。たとえば、ここに赤や黄色のライトを少しだけ自分で入れて、アクセントカラーにしてみる。

そこにあるものをただ写すのではなく、抽象画として仕上げていくための工程を追加すると、飽きのこない作品になると思いました。

隅々まで面白い!まさにスナップ写真

7位「おあずけ」南麻貴子(神奈川県)


――同列7位は、自由応募で南麻貴子さんの作品「おあずけ」。鈴木さんが特別賞に選ばれました。

鈴木 正月の少しぐだぐだした雰囲気が面白かったですね。まさにスナップ写真という感じがしました。いろいろな要素から、きちんと正月の朝のストーリーも感じられます。技術ではなくて、写ってしまったという写真の偶然性が出ていて、好きな作品でした。

テラウチ 思ってもいなかったことが撮れるというのが写真の面白さですよね。写真はもっと、自分の意図から外れたものを撮るように仕掛けていかなければいけないと思うんですが、この作品にはそういう面白さが詰まっています。手を合わせているような動作も、子どもの表情も、抜群だと思いました。

吉野 コンテストに応募する作品としては偶然っぽすぎて一見下手に見えるんですが、見れば見るほど隅々まで面白い写真だと思います。子どもの様子を見て、タイトルに納得しました。なんで拝んでいるんだろう、何を読んでいるだろう、どんな料理なんだろうと、興味がつきない。実に味わいのある写真だと思います


いかがでしたか?
審査員のみなさんの評価ポイントが異なる作品もあれば、同じ点を評価する作品もあるところが面白いですね。
次回は入選作品10点の講評をご紹介します!


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