行ってきました!
地元の下田写真部が考えた、伊豆下田の魅力を凝縮したコースをバスで巡り、ニコンの話題の機種を貸し出して写真家のレクチャーが受けられるという、至れり尽くせりの「TRIP SHOT CONTEST 2019」。
9月末日に開催され、たくさんの名作が生まれました。
参加者にはニコンの最新機材Z 7/Z 6を貸し出し、プロに撮り方を学びながら、旅と写真を満喫できるコースをご用意。
総勢52人の参加者が、「Travel Photo」、「SNAP」、「LANDSCAPE」の3つのコースにわかれ、下田のさまざまな表情を写真に切りとりました。
イベントの様子
下田ならではの、朝の漁港の様子も撮影。赤い金目鯛がフォトジェニック。
撮影した参加者の写真は、エプソンのプリンター「カラリオ EP-10VA」でA3プリント。高品質なプリント作品に驚きの声も。
関東や関西から多くの方が参加。1泊2日をともにして、撮影を楽しむ中で写真好き同士の交流も生まれました。
1人1人の作品を丁寧に講評。同じコースでも、切りとる場面はそれぞれ。他の人の写真を見られるのも、撮影会の楽しみ。
本記事では、撮影会の様子にあわせて、講師の熊切大輔さん・コムロミホさんが愛用し、撮影会でも活躍したレンズの魅力もご紹介。お2人の撮りおろし作品も特別に公開します!
熊切大輔のこの1本
なんといっても中望遠の焦点距離と明るい開放値が相まって生まれる豊かで柔らかいボケ味が大きな特徴。しかし決して「あまい」わけではなく切れのある描写力も同時に味わえる、メリハリの付いた表現力が最大の魅力です。
熊切大輔がNIKKOR Z 85mm f/1.8 Sを選ぶ理由
その1.ナノクリスタルコートで逆光でも安心!
イベント初日の朝、夜明けの海を見渡すと神々しい太陽が雲の隙間に出現。そこに一艘の船が差し掛かり、なんとも言えないドラマチックな風景が生まれました。
太陽がフレームに入るようなシーンでは、写真にゴーストやフレアが出てしまうことも。でも、ナノクリスタルコートが施されているので、ゴーストやフレアが抑えられ、逆光の厳しい条件でも安心して画作りに集中することができます。太陽を効果的に画面に写し込み、クリアな写真を撮ることができました。
その2.こだわり抜かれた美しいボケ
85mmといえば、ポートレイトにぴったりの焦点距離。被写体の背景に広がる優しいボケ味はもちろん、柔らかい前ボケが奥行きのある表現を可能にしてくれています。スナップコースでは、モデルの浅野みぎ和さんと恵比寿島を巡り撮影。ごつごつした岩が迫る迫力の風景の中、美しく強い視線を持つ彼女の存在感が負けずに輝いていました。
その3.立体感と奥行きの巧みな表現
中望遠の魅力はボケ味だけではありません。中望遠特有の焦点距離が生む圧縮効果で、さまざまな被写体を1つにまとめてくれます。樹木が覆いかぶさるような絶壁の遊歩道。
遠くの風景にも立体感と奥行きがうまく演出され、岩畳と波の表情も重なり、日本画のようなダイナミックな写真になりました。
参加者の作品
石橋康彦さん(下岡蓮杖賞)
唐辛子を干すおばあさんとお話しし、その表情に惹かれて撮影しました。コンテスト用に印刷した写真を見た時、Z 6 の鮮明なディティールに驚きました。その地域や土地の特徴的な背景を見つけ、ひねりになる何かを入れた方がいいという熊切先生のアドバイスを参考に切りとった作品です。
小野学さん(審査員賞 熊切大輔選出)
開店準備をしている干物屋さんでの1枚。講義では、風景への人物の溶け込ませ方と人物の息遣いを写真に残す方法が勉強になりました。Z 6 はボディ内に手ブレ補正機能があるので、シャッタースピードが稼げない状況でも安心して撮影することができました。
熊切大輔/くまきりだいすけ
東京工芸大学を卒業後、日刊ゲンダイ写真部を経てフリーランスの写真家として独立。ドキュメンタリー・ポートレート・食・舞台など「人」が生み出す瞬間・空間・物を対象に撮影する。スナップで街と人を切り撮った作品表現を主として2018年写真集『刹那 東京で』発売と共に写真展『刹那 東京で』を開催。「東京美人景」「東京動物園-アンリアルな動物たちの生態」の三部作で東京の今を撮り続けている。公益社団法人日本写真家協会理事。
コムロミホのこの1本
色収差や歪曲収差がなく、嫌な部分が全くない安心の超広角レンズ。開放から解像力があって使えるし、絞るとグッとシャープに撮ることもできます。風景撮影はもちろん、建築など様々なシーンで活躍する頼もしい1本。
コムロミホがNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sを選ぶ理由
その1.歪みのないクリアな描写
広角端の14mmで撮影した1枚です。一般的に超広角レンズは歪みやすい傾向にありますが、このレンズはほとんど歪みがなく、水平線や被写体の船を素直に表現してくれています。空に向かって伸びるような船のマストや波のディテールもしっかりとシャープに表現してくれていて、静寂ながらも空のダイナミックさや波の動きが感じられる写真になりました。ぱっと反射的に撮っただけなのに、リアリティのある写真に仕上がりました。
その2. 階調性のよい豊かな表現力
2日目の朝、雨が降る中で、植物にどんどん溜まっていく雨粒にピントを合わせてシャッターを切りました。クリエイティブピクチャーコントロールの「カーボン」で撮影しましたが、モノクロで表現することで光と影が強調されて、アロエの質感やみずみずしさが際立ち、とてもリアルに写って驚きました。深みのあるモノクロが雨粒の立体感を表現してくれていて、迫力のある1枚になりましたね。
その3. 広角域のズームレンズなのに小型軽量!
広角レンズで撮影する時はポジションを大切にしています。地面すれすれのローポジションで撮影することで、道の奥行きを表現することができました。そして、広角レンズは手前の被写体が大きく写るので、あえて、左手前の植物をフレーミングすることで、より奥行きのある写真に仕上がります。Z 14-30mm f/4 Sは軽量コンパクトなので、さまざまなポジションを試すことができるので、写真表現がぐっと広がります。
参加者の作品
廣木克己さん(審査員賞 コムロミホ選出)
Z 6 のクリエイティブコントロール「ドラマ」を使い、砂浜と雲とサーフボードが印象的に見えるよう撮影しました。Z 6 は操作も簡単で、レンズとの組み合わせも軽く、とても使いやすかったです。
犬飼拓哉さん(下岡蓮杖を顕彰する会会長賞)
吉佐美大浜海水浴場にて、リラックスした午後の海辺の様子です。Z 6 はふだん使っているカメラよりも、自分の思い描いたイメージに合った調整が細かにでき、想像を超えた色を楽しむことができました。
コムロミホ
文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌等で撮影をする一方、ライフワークでは海外、国内で街スナップを撮り歩いている。またカメラ誌等での執筆やカメラ講師も行っている。
いかがでしたか?
レンズを被写体やシーンによって使い分けてみると、新たな写真の面白さが発見できるかもしれません。今回紹介したレンズを参考に、ぜひお気に入りの1本を見つけてみてくださいね。