ポートフォリオレビューの受け方 1/5 [基本]知っておくべき、よくある3つの失敗
国内外のフォトフェスティバルなどで行われるポートフォリオレビュー。ギャラリストや編集者などのレビュアー陣に、自分の作品を見てもらうことができます。日本では、KYOTOGRAPHIEやT3 PHOTO FESTIVAL TOKYO、雑誌「IMA」、写真集食堂めぐたま、六甲国際写真祭、塩釜フォトフェスティバル、東川町国際写真フェスティバルなどで行われています。
最大のメリットは、ふだん会えない人に直接自分の作品を売り込むことができること。とくに海外の場合は、飛び込みで作品を見てもらうことは大変難しいのです。
レビューごとに詳細は異なりますが、大体2万円~4万円の金額で3~6名のレビュアーに、それぞれ20分間ほど作品を見てもらうことができます。
TIPF2015でのポートフォリオレビューの様子
「ただ見てもらう」だけに終わらない、「作品を売り込んで結果を出す」ポートフォリオレビューにするには一体どうすればいいのか?
本記事では「ポートフォリオレビューの受け方」シリーズとして、心構えや準備する作品のポイント、ステートメントの書き方などを連載でお届けします。
(※)本記事は【ポートフォリオレビューのお作法】(動画)の内容に一部加筆をしたものです。
最初にお伝えするのは、
「知っておくべき、よくある3つの失敗」
その1:目的を持たずに受ける
ひとつ目は、レビューを受けること自体が目的になってしまうこと。
レビュアーから適切なコメントがもらえず、収穫や手ごたえのない結果になってしまうこともあります。申し込む前には、まず目的を明確にしておくことが大切です。
「写真展のためにアドバイスがほしい」「写真集出版が目標なので、つながりのある出版社に紹介してほしい」など。「行けば何か起こる!」という期待だけで臨むことは避けましょう。
TIPF2015でのポートフォリオレビューの様子
また、レビューのその場で展示や出版が決まることはそうそうありません。
もしあなたの目的が写真展で、レビュアーが展示のキュレーターだった場合。レビュー後も作品(プロジェクト)の進み具合や新作、活動状況などを伝え続け、ポートフォリオレビューで得たつながりを生かす努力が必要です。
その2:レビュアーを知らない
2つ目は、作品を見てもらうレビュアーがどんな人かを知らずに臨み、成果を得られないこと。
そのレビュアーにとって専門外のコメントを求めても、お互い混乱を招きかねません。
せっかくのチャンスを無駄にしないよう、なるべく目的にあったレビュアーに見てもらうことが大切。そのためにもレビュアーのプロフィールや専門分野などをしっかりチェックしましょう。
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2017ポートフォリオレビュー、参加レビュアー
複数名のレビュアーがいるポートフォリオレビューでは、抽選で見てもらえるレビュアーが決まることがあります。抽選結果によっては、自分の目的の専門外の人に見てもらうということも。
そんなときも目的を正直に伝え、レビュアーとの出合いをチャンスに変えることが大切。
作品を見てもらったうえで「写真集に詳しい人がいたら紹介してくれませんか?」と聞いてみるなど。目的がしっかりしていると、レビュアーのコメントやサポートも期待できます。
その3:作品を見せる準備不足
3つ目は作品について。
見るのに適したサイズではない、撮り溜めた作品を大量に持って行く、など。
見せる準備が不十分なのはいちばんもったいない。
約20分という限られた時間なので、編集を期待していくとしても、セレクトはしておく、見やすいサイズにまとめていくなど基本的な準備は怠らないようにしましょう。
次回はポートフォリオレビューの作品について、一体何を準備すればいいのか、どこまでこだわるべき?など、「ポートフォリオレビューで準備すべきもの」についてお伝えします。
■写真展や組み写真のセレクトで迷わない!はじめての写真編集
■はじめての写真編集。知っておきたい編集の”型” [前編]
■村山康則さんに聞く、ポートフォリオレビューへの心構えとは
ポートフォリオのつくり方や写真編集をもっと知りたい!と思った方へ
プレミアム読者のみなさんが「読み放題」できるなかの1冊、PHaT PHOTO 89号は、仕分ける・選ぶ・知る・見せるのステップで学ぶ「写真編集」についての特集。「ステートメント」と「キャプション」の違いやつくり方など、本記事を読んで頂いた方にぴったりの内容です。ぜひ富士山マガジンサービスサイトの[マイライブラリ]よりご覧ください◎