フォトコンテストで上位に選ばれた理由は?講評をチェック!


「PHaT PHOTO」の人気コンテストPPC。
毎号異なる3名の写真関係者を審査員としてお招きし、審査を行い、座談会形式で3名の視点から講評します。
上位50作品は必ずコメントがつくフォトコンテストです。

本記事では、上位入選9作品を一挙ご紹介。
1位に選ばれた作品の良さは?評価の分かれ目ってなに?審査員たちのさまざまな視点から、あなたの写真がレベルアップするヒントが見つかるかもしれません。

審査員:鈴木光雄/吉野弘章/テラウチマサト

技量を感じる人物のアクセント

1位「何処へ」takabo(兵庫県)


――今回の1位は、自由応募でtakabo さん「何処へ」。鈴木さんが1位、吉野さんが2位に選ばれました。

鈴木 美しい作品ですね。砂浜の質感も綺麗です。人が2人歩いていることがいいアクセントになっています。恐らく人がいないと単調になってしまい、作品としては成立しづらいと思うので、人物を的確な場所に配置してまとめられているところに作者の技量を感じました。

吉野 砂浜の模様が抽象的で、まるで地球ではない場所で撮られたようですね。日本なのか、海外なのか、それとも別の惑星なのか、想像してみるとすごく楽しめました。

写真の砂浜にはゴミも一切なく、足跡以外写っていない。そこも尚更どこか遠くの場所を思わせる要素になっています。修正しているのであれば、その意味が出ていますし、していないのであればこの場所を見つけたというところに価値がありますね。

テラウチ 雄大な風景の中にいる人物が印象的で、票を入れようか迷った作品です。ただ、ここにいたら自分も撮るなと思いました。特別自分だけの何かを見つけ出したということではないので。

それと、砂浜と水の引いていく水面の比率がまっとう過ぎたように思います。人が入っているので位置は難しかったかもしれませんが、違った比率で試してみてもよかったかもしれません。

ねらいが言葉以上に写っている

2位「自由って」岩田徳彦(広島県)


――次に2位は、自由応募で岩田徳彦さんの作品「自由って」。テラウチさんが1位、吉野さんが3位に選ばれました。

テラウチ 「息子がチェーンにとらわれているように見えた」というキャプションに惹かれました。言葉の力もありますが、顔にかかったチェーンの影、男の子の伏した目、丸まった手からも、本当に縛られている感じが伝わってきます。それも、単純なものではなく、社会のさまざまなものに制限されているように見える。ねらい通りのことが、言葉以上に写っているなと感じて、1位に選びました。

吉野 社会には国民の三大義務だったり、何かと3つに分かれるものが多いですよね。そう考えると、3本の鎖に囲まれている様子は、確かに意味を深読みさせるところがありました。読めば読むほど楽しくなる魅力があります。

ただ、少しキャプションとのずれを感じました。とらわれているというと、逃げたい、苦しいというイメージなのですが、そこまでには感じなかった。でも、写真としての強さはある作品です。

鈴木 私も吉野さん同様、とらわれているイメージは感じなかったです。子どもの表情が印象的でしたが、その部分が気になり、票は入れませんでした。

文学的なタイトルと新鮮な視点を評価

3位「月に吠えず」髙野良介(群馬県)


――3位は2作品あります。まずは自由応募で髙野良介さん「月に吠えず」。テラウチさんが2位、鈴木さんが3位に選ばれました。

テラウチ 切りとる視点が新鮮で驚きました。本当に独特な感覚をお持ちで、素晴らしいと思います。「月に吠えず」というタイトルも文学的でいいですね。この場面を見つけて、面白い言葉を持ってくる。自分でうまく作品の世界を構築してきた点を評価しました。

鈴木 猫の表情がいいですね。月にも猫にも露出が合っていて、ストーリーも感じられる。なかなかこういう風に写すのは技術的に難しいと思うんです。それをきちんと捉えていて、作者の中でこの作品の意図やねらいがはっきりしているんだろうなと思いました。何気ない写真に見えますが、実は細部まで考えられて撮っているという点がすごくよかったです。

吉野 構図も猫の表情も印象的で、この面白いシーンを見つけ出したという部分では、写真というものの良さを感じました。

ただ、お2人が言われた技術で撮られたという点で迷って。僕はもしかしたら、偶然ストロボが自動発光してしまって、たまたま撮られたようなところがあったのかなと思ったんです。判断に迷う部分があり、今回は選びませんでした。

通り過ぎてしまう世界に気づく視点

3位「ラストグリーン」西端久(大阪府)


――同じく3位は、自由応募で西端久さんの作品「ラストグリーン」。吉野さんが1位に選ばれました。

吉野 一見、地味な写真に見えるんですが、秋から冬にかけて朽ちていく植物の、豊かな色彩が捉えられています。渋い背景の中に、橙や紫、自然しか出せない不思議な色彩が見える。水面の反射も綺麗で、すきっとした美しさと渋い美しさが複雑に絡み合っている部分にとても惹かれました。

こういう風景は、大概の人は通り過ぎてしまう。作者は、注意深く世界を観察しているんでしょうね。真ん中に1つ、微かにあるグリーンに気づいて、「ラストグリーン」とつけたセンスもよかったです。

テラウチ 僕は最初に見た時、グリーンに気づきませんでした。それは切りとり方によるものだと思います。右端に大きな紫色の葉があることで、視線が中央に向かず、構図が緩い印象になっている。大胆に葉を途中で断ち切ってしまったりすると、構図に新鮮さが出るんじゃないかなと思いました。

鈴木 テラウチさんが言われたように、私ももう少し整理して撮られた方がいいように思いました。中央にただ配置するだけでは、単調すぎたかもしれません。

同じような葉っぱがたくさんある中で、グリーンの占める割合が大きいわけではないので、それをうまく主題として生かすためには、もっと写っているものを整理する必要があると思いました。

詩的で奥深い雨の情景

5位「あくる日」池上陽久(富山県)


――次に、5位は自由応募で池上陽久さんの作品「あくる日」。鈴木さんが2位に選ばれました。

鈴木 非常に寂しさが感じられました。色彩はほとんどなく、シルエットで見せている作品ですね。ガラス越しにふと気が付いて撮ったような感じが、詩的に思いました。水滴が手前にあることで、距離感もうまく表現できています。シンプルですが、奥深いいい作品ですね。

テラウチ 面白い写真です。水面に写っているものを逆さにしたのかなと思って見ていましたが、窓ガラスなんですね。通りがかりの傘を差している人を入れたタイミングもよかったと思います。

吉野 恐らく窓の外に出れば、もっとすっきりしたシルエットと構図になると思うんですが、あえて内側から撮られているんですよね。水滴のおかげで微妙に写真がボケていて、雨の日の情感がより強く伝わってきました。

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✔バランスが抜群
✔想像力を膨らませる仕掛けがしてある
✔写真の偶然性が表現できている

と評された、6位~7位の講評をチェック!