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HOW TO / 作品制作のヒント

シャッターを押したタイミングが抜群!ファットフォトコンテストVol.106入選作品発表!


入選「「校庭」 扇谷志乃(東京都)

2pt/自由部門/プリント応募

――ここからは入選作品です。自由部門で扇谷志乃さんの作品「校庭」です。

テラウチ 被写体との距離感が素敵ですね。校舎に射している影や、子どもがそれぞれ校庭で遊んでいる様子が懐かしく感じました。作者の方がその場で感じたことを、写真でそのままうまく表現できていると思います。

有元 トイカメラのような、ノスタルジーを感じさせる演出がいいですね。光の角度で放課後の夕方、家に帰るまでの時間の流れを思い出しました。

大和田 光が印象的だなと思いました。学校名や場所が特定できるものが写っていないので匿名性が高く、そのことによって、より多くの人の共感を得ることができていますね。見る人の思い出に入り込むような面白さがあります。

 

入選「18:29 UFO襲来」 澤田修平(富山県・33歳)

2pt/自由部門/オンライン応募

――次に、自由部門で澤田修平さんの作品「18:29 UFO襲来」です。

有元 緑は止まっていて、赤は動いているという比較が面白いです。でも、どうしても「18:29」という文字が気になりました。文字を読む頭と写真を読む頭は少し違うので、トリミングをして文字を取り除いてしまった方が、シュールさが際立ったような気がします。

大和田 赤と緑のコントラストや構図は独特で目に留まりますよね。赤い遊具のブレはコンセプト的には合っているのかもしれませんが、もう少し違った表現が加わってもいいのかなと思いました。

テラウチ 赤い遊具と緑の観覧車、手前に見える白い柵の組み合わせがばらばらなように感じました。少しまとまっていない印象を与えます。もっと色んな角度で被写体を観察して、切りとり方を工夫してみることが必要だと思いますね。

 

入選「行き交う」 池上陽久(富山県・38歳)

2pt/自由部門/オンライン応募

――続いては、自由部門で池上陽久さんの作品「行き交う」です。

大和田 人の位置が面白く、いい瞬間を捉えられています。ただ、それぞれの人の特徴を表すには、構図が斜めで、少し煩雑な感じがしました。斜めの線を入れると画面に躍動感が出てしまって構図が複雑になるので、平行の線を出すような位置で撮ってあげると、よりいい瞬間になったんじゃないかなと思います。

テラウチ すごくいい場所を見つけて、何枚も撮られたんだろうと思います。その努力は素晴らしいのですが、中心点がないのが惜しいですね。主役を決めることによって、もっと周囲の行き交う人の面白さが出てくるのではないでしょうか。

有元 スナップ写真としてドラマ性は感じますが、テラウチさんが言われたように主役がいないのが気になります。脇役も弱いので、もう少しいい瞬間を待ってみてもよかったかもしれません。

 

入選「水躍り空翔る」 倉谷さち子(富山県)

2pt/テーマ部門/オンライン応募

――次に、テーマ応募で倉谷さち子さんの先品「水躍り空翔る」です。

テラウチ よくこの場面を見つけられましたね。これは富山県にある噴水で、僕も行ったことがあるんですが実際の場所とは全く雰囲気が違うんです。だから、切りとり方や構図などすごく工夫して撮られたんだろうなと思います。

有元 本当に面白いと思った写真です。絵として強く、技術的にもとてもうまいですね。でも、もっとアングルを下げても面白かったと思います。こういう写真は、徹底的に現実感がないくらい遊んでみてもいいような気がします。

大和田 過剰さは大切ですよね。水の質感を捉えようとしていると思うのですが、明瞭さをもっと過剰に出すことができたら、写真としての面白さが増したかなと思います。


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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まちスナ日和