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HOW TO / 作品制作のヒント

ニコンD850で撮る「人」 熊切大輔さんに学ぶポートレイト撮影テクニック


photo:熊切大輔/D850/85mm/F1.6/1/8000秒

日本の豊かな文化が息づく街、「日本橋」。
その日本橋を舞台に、「PHaT PHOTO」が株式会社ニコンイメージングジャパン、マンダリン オリエンタル 東京、三井不動産株式会社とコラボし、撮影会を開催しました!

本記事では、「人」コース、ポートレイト撮影会の様子をお届けします。
ニコンカレッジやさまざまなワークショップで講師を務め、丁寧な指導が人気の熊切大輔さんがレクチャー。

包丁の老舗「木屋」や、伝統ガラス工芸を扱う「華硝」など日本橋の有名店をまわり、そこで働く人々を撮影しました。今回は、先生が撮影会で教えた一部をご紹介します。

雰囲気のある店内で、真剣に働いている人にカメラを向けると、どんな表情も逃したくない!と思って、つい闇雲に撮影しがち。
しかし、フォトジェニックな被写体を前に撮らされるのではなく、自分なりの目線や切り口を持つことが大切です。

今回は熊切先生が、ニコンD850で撮影した作品を参考にしながら、ひと味違うポートレイトを撮影するためのポイントをご紹介します。

1.表情を引き出そう!

モデルではない方の撮影では、なにもせずに表情をつくってくれるわけではありません。
撮影の中で、コミュニケーションをしながら表情を引き出すことが大切です。

世間話をしながら、注意して観察してみると、「この人はこちら側から撮るとこう見えるんだ」「笑うとこういう顔をするんだ」と、表情のバリエーションを発見することができます。
身振り手振りが大きい人は、ずっと話していると動作の癖も掴めてくるとか。タイミングを見極めて撮影すれば、動きが出てより豊かな写真が撮れます。

photo:熊切大輔/D850/58mm/F2.8/1/250秒

2.「間」をうまく使おう

目の前に魅力的な被写体の方がいたら、つい寄りで撮ってしまいがち。
近づいて大きく写した写真はインパクトがありますが、そればかり撮っているとワンパターンになってしまいます。寄りが撮れたら、次は後ろや横にも意識を向けて、空間的な「間」をうまく使った写真を撮ってみましょう。

photo:熊切大輔/D850/58mm/F2.5/1/640秒

3.背景を意識しよう

こんな表情を撮りたい!と決めたら、次に考えたいのは背景。その場所に何を入れるのか?逆に、何を入れないほうがいいのか?どこの位置に人を配置したらよく見えるのか?といったことを予めイメージしておくことが大切です。

どうしても背景に写したくないものがあったら?

今回は休日の混雑したお店の中での撮影だったので、背景の選択肢はあまり多くはありませんでした。熊切先生曰く、限られた空間で、背景の写したくないものを極力目立たせないようにするには「自分のフットワークが要」とのこと。

こちらは包丁の老舗「木屋」で熊切先生が撮影した写真です。
ほんの少しの違いですが、1枚目(左)の写真に比べて、2枚目(右)の写真は背景が黒で統一されていてすっきりしていますね。

photo:熊切大輔/D850/58mm/F2/1/800秒
photo:熊切大輔/D850/58mm/F2/1/640秒

背景には黒いパーテーションがありましたが、中途半端に切れてしまうとごちゃついた印象になってしまうので(左写真)、回り込むことによって最適な場所を見つけて撮影しました。

ほんの少し重心をかけるだけでも物は隠れ、画面は変化します。撮りたい写真のためには、フットワークは軽く!自ら動いて、イメージにぴったりの背景を探してみましょう。

<D850の「すごいとこ!」>ISO感度
お店の中には、照明が暗く撮影しづらいところも。D850なら、ISO25600までの高感度撮影で、ざらつきが少ないクリアな写真に仕上げることができます。

4.アングルを変えてみよう

ポートレイトを撮るといつも同じような写真になりがちという方は、アングルを変えてみるだけで、単調な写真から卒業できるかもしれません。
同じ場所でも、下から上から、さまざまなアングルを試してみることで、背景の見えるものが変わってくるので違う印象に。何度も試してみることで、いい構図がきっと見つかるはず。

photo:熊切大輔/D850/58mm/F2.2/1/320秒

<D850の「すごいとこ!」>チルト式モニター&タッチパネル
アングルを変えて撮影する中で活躍するのが、「可動式液晶モニター」。液晶モニターが上下90度まで稼働するので、多彩なアングルに挑戦できます。タッチパネルも対応しているので、画像のチェックなども素早くでき、撮影のストレスが減る便利な機能です。

5.もう一歩先へ!プラスαのポイント

手元や道具を撮ってみよう

ポートレイトでは、手先や道具も被写体の個性を表す部分。
表情だけではなく、その人に関連するものを入れ込んで撮ることで、より場面を想像させる1枚に。

photo:熊切大輔/D850/35mm/F2/1/1000秒

時間いっぱいまで撮影を楽しんだ後は、撮影してきた中から1枚をセレクトして講評タイムへ。空間を生かして撮影したものや、ボケ感を演出したものなど、熊切先生の教えを取り入れたみなさんの作品は見ごたえがありました。

少しの意識で大きく変わる、人物撮影。
今回教えて頂いた熊切先生のコツを参考に、ぜひポートレイト撮影に挑戦してみては?

スナップにお勧めのレンズ

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
狭い店内での撮影はズームレンズが便利。
開放F値が2.8で一定のVR機構搭載の標準ズームレンズは、
難しい撮影条件でも手ブレの影響を最小限に抑えて撮影でき、写真表現の幅が拡がります。

参加者のみなさんの作品

photo:トシ
photo:たにごろう
photo:ten- ten
photo:haruko
photo:plata
photo:YASU

ニコンD850

話題の人気機種。しっかり作品制作したい人へ
高性能で、最高約9コマ/秒の高速連続撮影が可能な、オールマイティに使えるニコンの人気機材。高速・高精度153点AFシステムで、動く被写体を逃さない。有効画素数4575万画素と常用感度ISO64-25600を両立。

写真家・熊切大輔

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真学科を卒業後、日刊ゲンダイ写真部に入社。その後フリーランスの写真家として独立。雑誌や広告などでドキュメンタリー・ポートレート・食・舞台など「人」が生み出す瞬間・空間・物を対象に撮影する。 ニコンカレッジ講師をはじめ、様々な写真講師も務める。月刊日本カメラで「東京美人景」「テストリポート」を連載中、月刊カメラマン「月例コンテスト」で審査員を担当。写真展「刹那 東京で」「東京動物園-アンリアルな動物たちの生態」「Solitude NYC」「演じるコト-俳優 石丸幹二の1年」「TOKYO ZOO」「浅草ラプソディ」を開催。公益社団法人日本写真家協会会員。

今回ご協力いただいたお店

●江戸切子の店華硝(はなしょう)
(住所)〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-6-5
(TEL)03-6661-2781
(営業時間)10:30~18:00、土・日・祝日11:30~17:00 日曜・祝日休
(URL)www.edokiriko.co.jp

●日本橋木屋本店
(住所)〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1F
(TEL)03-3241-0110
(営業時間)10:00~20:00
(URL)www.kiya-hamono.co.jp/shop/kiya-honten.html

●日本橋だし場 日本橋本店|株式会社にんべん
(住所)〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1・1F
(TEL)03-3241-0968
(営業時間)10:00〜19:00(1月1日を除き年中無休/12月31日は10:00〜18:00)
(URL)www.ninben.co.jp/honten/dashiba/

●山本海苔店 日本橋本店
(住所)〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-6-3
(TEL)03-3241-0290
(営業時間)9:30~18:00 年中無休(元日除く)
(URL)www.yamamoto-noriten.co.jp/

●福徳神社
(住所)〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-4-14
(TEL)03-3276-3550
(URL)mebuki.jp/


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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まちスナ日和