ステップアップのヒントに! フォトコンPPC vol.114 「もうちょっとで入選!」審査員の講評
「また、来夏」薬師寺和代
稲毛海岸がリニューアル工事中で、白い浜に生まれ変わるのを心待ちにした思いを表したとのこと。楽しみですね! ただ写真からは、手前の金網や両端のシートが目立ち、中に入れなくて残念、という気持ちが強く伝わってきます。もう少し手前の要素を減らしたり奥の海をしっかり写したりして、期待感を表現してもよかったかもしれませんね。
「ト短調」小川真理子
「どんよりとした日々に見つける歌声を撮った」という、素敵な感性の持ち主です。アンダーに表現された雨の日の地面の写真なので一見暗い写真に見えますが、水たまりに落ちる雨粒の波紋がとても細かく繊細に描写され、さらに薄ピンクの小花もアクセントになって、作者が〝歌声〟と明るく表現した理由が、しっかりと伝わってきました。
「法燈(ほうとう)」TERRA(青森県)
菩提寺の総本山へお参りに訪れたときの写真とのこと。700年余りの歴史がある総本山の参道に咲く桜、富士からの清流が流れているという参道脇が、見事な構図で写されていて、風景写真として完成された写真だと思いました。ただここに撮影者の〝想い〟をのせるのだとしたら、キーとなる主役があると、伝わりやすくなると思います。
「カエルのおしゃべり」飯塚祐子
「カエルが話している感じがしたので」、カエルの会話を付箋に書いてプリントの上に貼ったという作品。面白い試みですね! ただ、この付箋がなくてもちゃんと意図が伝わる写真に撮れています。もしこの付箋を活かすなら、気がつかないで通り過ぎて行った人の後ろ姿や足を写したり、ストーリーを作ってみるなど、連動性があるといいですね。
「すれ違い」奥村幸夫(福岡県)
見れば見るほど面白い写真です。白い傘を持ったメインの人物と、ショーウィンドーの角から少し見えている手、その手の持ち主らしきガラス越しの人物、奥にいる信号待ちをしている人、またバスの乗客の姿も。モノクロにしたことで余計に、撮影者が目にしているものが何で、映っているものが何なのか混乱させられます。腕利きですね。