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HOW TO / 作品制作のヒント

フォトコンテストで上位に選ばれた理由は?PPC vol.115の講評をチェック!


ずっと見ていても飽きない作品

5位「縦横横」船見征二(栃木県)

船見さん作品
――続いて5位は2作品あります。まずは、自由応募で船見征二さんの作品「縦横横」。インベさんが2位に選ばれました。

インベ  よくある写真ですが、見れば見るほど気になりました。似た体型、同じようなポーズのお父さんたちの後ろ姿が並んでいて面白かったです。背景のカラフルさもよかったですね。

後ろの屋台が3つ並んでいる隙間に綺麗に人物が配置されていて、切りとり方も工夫されていました。タイトルはシンプルに「お父さん」などの方が伝わりやすいような気もしましたが、細かいところまで見ているとだんだんと惹かれてくる写真だと思います。

テラウチ  画面の中に色んな情報があって、じっと見ていると「縦横横」というタイトルにも納得しました。お祭りの風景は確かによく見ますが、この作品では作者は一時の発見をそのまま捉えるのではなく、細かなところまで気を遣って撮られています。そういった小さな工夫によって、ずっと見ていても飽きない作品に仕上がっていると思いました。

佐藤  現代的な風景ですよね。みんなが同じように、お祭りを記録しようと携帯を構えている。その光景がとても面白かったですし、インベさんが言われたように、後ろのお店も上手く配置されていて、決まっている作品でした

まるで現代アートのよう

5位「モニュメント」崎田憲一(東京都)

崎田さん作品
――同列5位は、自由応募で崎田憲一さんの作品「モニュメント」です。テラウチさんが2位に選ばれました。

テラウチ  会議用の椅子が積まれた様子を撮影されたとのこと。ぱっと見た時に、本当に街の中にある現代アートのように見えました。

モノクロの光っている部分と影、Tの字の街灯など、うまく切りとっているなと思いながらじっと写真を眺めていたら、椅子であることに気づいて。それがわかった瞬間に、面白い場面を見つけられたなと感心しました。個人的に好きな作品でした。

佐藤  観方の問題ですよね。光と反射の具合で、椅子が本当に彫刻に見えます。モノクロにしたのがよかったのでしょうね。とても綺麗な写真だと思います。

インベ  私もこの写真は気になっていて、まさか椅子だとは思わなかったので驚きました。同じものを私も見てみたいなと思いました。すべてが同じように積み上げられているので、写真だけで椅子だということがわかる1点があったら、さらによかったかもしれません。場所もいかにもモニュメントがありそうなところで、いい瞬間に出合われたなと思います。

じわじわと面白さが染みてくる

7位「さよならってね」佐藤好起(福島県)

佐藤さん作品
――続いて7位は、自由応募で佐藤好起さんの作品「さよならってね」。テラウチさんが3位に選ばれました。

テラウチ  月、カラス、飛行機がすれ違う瞬間を、線を意識しながら撮影されたとのこと。不思議な写真だと思って見ていたのですが、作者の撮影意図を読んで、だんだんと気になってきました。色や濃さの違う線、丸い月、2羽の鳥など、画面構成が面白いです。

写真を選ぶ時には、ファーストインプレッションで決定する場合と、何度も写真を見ていくことによってその味わいが深まっていく場合があります。後者に関しては、写真と接する時間を長くもつ必要があるので今回の審査でその判断をするのは難しい。でも、この作品はきっと長い時間向き合ってみることで、じわじわと面白さが染みてくる写真なんじゃないかなという予感がしました。色味も美しく、構成もよかったです。

インベ  構図が面白いですね。「それぞれの旅路を撮影した」という作者の解説も物語を想像させます。3点のバランスが、見ていると不思議と吸い込まれるような感覚がありました。

佐藤  お2人が言われたように、やっぱり画面構成が絶妙に決まった写真ですよね。それがモノクロームになっていて、空の階調も美しい。グレーの部分の色味が綺麗で、とても気持ちのいい写真だと思いました。

シュールな絵のような独特の雰囲気

8位「月夜のムクドリ」大熊さゆり

大熊さん作品
――続いて8位は2作品あります。まずは、自由応募で大熊さゆりさんの作品「月夜のムクドリ」。佐藤さんが特別賞に選ばれました。

佐藤  ムクドリが電線の上に留まっていて、建物がシルエットになり、三日月が浮かんでいる。画面構成が美しいなと思いました。

先ほどテラウチさんが選ばれた佐藤好起さんの作品(「さよならってね」)に近いところはありますが、こちらの作品の方がよりシュールな絵のように解釈できる感じがして選びました。青と黒の画面の中にぽつんとある黄色い月が、独特な雰囲気を醸し出しています。

インベ  ムクドリが一直線に並び、その下に月が静かに落ちている様子が印象的です。月の形も綺麗な三日月型で、気になる作品ではありました。

テラウチ  佐藤さんが言われた通り、先ほどの作品と似ていますが、僕は迷って今回はあちらを選びました。確かに青色が魅力的ですし、鳥の数も多くてシルエットも面白い。1羽だけ飛んでいるのも、いいアクセントになっています。

素敵な部分は多々ありましたが、面白い瞬間をそのまま撮ったようにも見えたので、どう切りとるかというところで、少し物足りないような気がしましたね。

画面を分割したアイディアの面白さ

8位「いつもの時間に」オシクボマサト


――同じく8位は、自由応募で、オシクボマサトさん「いつもの時間に」。インベさんが特別賞に選ばれました。

インベ  すごくいい写真だなと思いました。ちょうど画面を半分に切った左側にも、高校生のような似た感じの女の子が歩いていて対比が面白かったです。ただ、撮影意図が何も書いていなかったのが少し残念でした。でも、その点を差し引いても印象的な作品だと思ったので選びました。

佐藤  確かに向こう側に写っている人たちが絶妙で、切りとり方が上手な写真ですね。ただ、それ以上に伝わってくるものはありませんでした。

テラウチ  お2人が言われたように、画面を分割した対比が面白いなと思って目に留まりました。モデルの女性の表情も素敵ですね。背景のボケも美しいです。ただ、確かに作者が何を伝えたいのかは少しわかりづらかったような気がします。


いかがでしたか?
撮影する時の、ほんの少しの工夫で写真はもっとよくなる。
そのひと手間が、評価を大きく変えるのかもしれませんね。
次回は入選作品9点の講評をご紹介します!


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