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HOW TO / 作品制作のヒント

1枚でメッセージを伝える 写真の構想力 3/3


1枚の写真から、メッセージを伝えるにはどうしたらよいのでしょうか?
被写体との距離感や構図の工夫、被写界深度に切り取り方など…少しの工夫で写真は本当に変わってきます。
写真がうまくなるために伸ばすべき能力ってどう身につけるの?ということで、PHaT PHOTO写真教室松本友希先生に学ぶ、1枚でメッセージを伝える「構想力」第3回(最終回)をお届けします。
第3回は「写真から物語を想像してほしい場合」に工夫したいポイントについて。

photo:Yuki Matsumoto

写真からメッセージを伝えたいとき、自分の伝えたいことと相手に伝わることは、毎回必ずしもイコールではないかもしれません。 写真を見るひとがそれぞれの人生にリンクさせるのであれば、写真から感じることもさまざまだからです。

でも1枚の写真でいろんな議論ができることは、その写真の物語が膨らみ、いろんな写真の見方も吸収できるということになります。もちろん自分のなかで伝えたい基準はブラさないことが大切。

写真から物語を想像して欲しい」場合、撮り方の工夫はどんなものがあるのでしょうか。

POINT1 : 目線の先を想像させる

人物写真の場合、カメラ目線であれば被写体もこちらと対峙する意識があり、人物の自我が伝わりやすい写真となります。
目線を外している場合は、目線の先の空間を空けると、人物が何を見つめているのか、どんな想いを馳せているかという印象を強めることができ、想像を膨らませるポイントになります。また目の開き具合や方向によっても印象が異なることも覚えておきましょう。

photo:Yuki Matsumoto

POINT2 : 被写体周りの余白に気をつける

主題の周りを空けることで、静かで情緒感のある印象を与えます。逆に主題が大きいと活発な印象に。また被写体の背後を広く空けることは、過去の出来事を暗示させる効果があります。
一般的に重心が右にある場合は安定感が、左の場合は不安定感を強めるといわれています。

photo:Yuki Matsumoto

POINT3 : 一部分のポーズで伝わる感情

人物や動物を撮影するとき、体の一部分のポーズだけでも被写体の感情を感じとることができます。指や手足が内側に力が入ると緊張感、軽くカが入ると穏やかな内向、開放的であれば活発的に。
ちょっとした指の角度や力の入れ具合で印象が大きく変わってきます。

photo:Yuki Matsumoto

POINT4 : 共通認識のあるシンボルを活かす

結婚指輪は夫婦、ランドセルは小学生、スーツはサラリーマンといった共通認識のあるシンボルと組み合わせることで、被写体の立場が明確になったり、そのシンボルとの対比を汲みとることができます。
この写真では指輪と女性の凛とした姿が切りとられており、この女性の夫についてや、いまどんな想いを抱いているのだろうといった想像を膨らませることができます。

photo:Yuki Matsumoto

POINT5 : 関連性からイメージを膨らませる

映画のワンシーンや絵画などから構図・ポーズを引用し撮影することで、もともとある参照元の共通認識がプラスされます。
背景や小物などにオリジナリティを加えることで、参照元と異なる対比から、別のストーリーをイメージすることができます。

(左)photo:Yuki Matsumoto、(右)参照した作品:映画「卒業」(1967年)

いかがでしたか?
余白の使い方やポーズの選び方、共通認識をうまく使うなど…見た人に物語を想像させるような工夫、ぜひ取り入れてほしいと思います。

3つのケースにわけてお届けした、1枚でメッセージを伝える「構想力」。1枚撮っただけで満足するのではなく、まずは試行錯誤しながらでも、いろいろな撮り方を試してみてくださいね。
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