ポートフォリオレビューの受け方 3/5 作品準備の5つの基本
国内外のフォトフェスティバルなどで行われるポートフォリオレビュー。
「ただ見てもらう」だけに終わらない、「作品を売り込んで結果を出す」ポートフォリオレビューにするには一体どうすればいいのか?
「ポートフォリオレビューの受け方」シリーズの3回目。
いざポートフォリオをつくろう!と思ったときに、ただ作品をまとめるよりも、ポイントを押さえてつくっていきたいですよね。
第3回ではポートフォリオのつくり方、5つのポイントをお伝えします。
その1:枚数
ひとつのポートフォリオに入れる写真の枚数は、20枚から多くて50枚が目安です。
(作品によってはこの限りではありません)
想いを込めて撮った写真だから、できる限り見てほしい!と100枚用意しても、時間は20分と限られています。逆に、絞りすぎて10枚というのは少ない印象を与えてしまいます。写真集や個展開催を目的にしているのであれば、ある程度(20枚~)の枚数が必要になってきます。
限られた時間で作品をしっかり説明し、レビュアーに理解してもらえるように自身のテーマや目的にあった枚数にきちんとセレクトしておきましょう。
その2:ひとつのポートフォリオにつきひとつのシリーズ
ひとつのポートフォリオ(ケース)に入れる作品は1シリーズにしましょう。途中で作品が変わってしまうとレビュアーが混乱してしまいます。
ポートフォリオケースは自分の作品に合わせて選択を(画像協力:コスモスインターナショナル)
その3:サイズ
レビューは一般的に机の上で行うので、A4~A3サイズが適切。
作品を見る距離は、作品の対角線の距離だと言われており、あまりにも大きなサイズだと、作品を見るために距離をあけて見なければならないので大変です。机の上に置いて邪魔にならない程度の大きさを意識しましょう。
TIPF2015でのポートフォリオレビューの様子
その4:セレクト
思い入れのある写真でもクオリティの良いものでなければ、ブレのある作家だと思われる場合があります。
また、同じような写真が連続して入っている場合、セレクトできていないと思われてしまうことも。流れとして見せたい明確な理由があれば別ですが、なぜこの写真を入れるのか、1枚1枚しっかりセレクトしていきましょう。
シリーズにおける作品のセレクトにおいては、単写真と異なり、連続性を意識した構成が極めて重要になります。詳しくは、写真編集についての記事をご参照ください。
PHaT PHOTO vol.89「はじめての写真編集」
その5:見やすさ
意識したいのは、レビュアーに集中して写真を見てもらうこと。
縦横が混じった作品の場合、ポートフォリオを縦横に動かして見なくてもよいよう、入れ方も考えておくと良いです。
番外編:ポートフォリオレビューにおける真実
良い作家に求められるのは「クオリティとスタイルの一貫性」
5枚の写真の中に4枚のいい写真と1枚のダメな写真がある場合、全体のクオリティがその1枚によって下がって見えてしまうことがあります。逆に5枚の写真の中に1枚のいい写真と4枚のダメな写真がある場合は、1枚のいい写真は見えなくなってしまうことも。
同時に、クオリティのみならず、異なる撮影スタイル(文体)の写真を混ぜることも、作品の統一感を失わせる原因に…。
自分を売り込むポートフォリオレビュー、きちんと写真をきちんとセレクトすることで、一定のクオリティで撮れる作家だと、作品をもって伝えられることが重要です。
次回は作品と合わせて必要になる「ステートメント」について。
写真におけるテキストの効果とステートメントの書き方をお届けします。
■ポートフォリオレビューの受け方 2/5 [ポートフォリオのつくり方]ケースはどうする?
■フォトコンテストで役立つ!テーマ写真の撮り方・選び方
■写真「販売」基礎知識 1/12 作品が売れる場所とは?
ポートフォリオのつくり方や写真編集をもっと知りたい!と思った方へ
プレミアム読者のみなさんが「読み放題」できるなかの1冊、PHaT PHOTO 89号は、仕分ける・選ぶ・知る・見せるのステップで学ぶ「写真編集」についての特集。「ステートメント」と「キャプション」の違いやつくり方など、本記事を読んで頂いた方にぴったりの内容です。ぜひ富士山マガジンサービスサイトの[マイライブラリ]よりご覧ください◎