1. HOME
  2. Magazine
  3. HOW TO / 作品制作のヒント
  4. ポートフォリオレビューの受け方 4/5 ステートメントの書き方
HOW TO / 作品制作のヒント

ポートフォリオレビューの受け方 4/5 ステートメントの書き方


国内外のフォトフェスティバルなどで行われるポートフォリオレビュー。
「ただ見てもらう」だけに終わらない、「作品を売り込んで結果を出す」ポートフォリオレビューにするには一体どうすればいいのか?
「ポートフォリオレビューの受け方」シリーズの4回目。

第4回では作品と一緒に必要になる「ステートメント」についてお届けします。

<目次>
・写真にテキストが必要な理由
・ステートメントの書き方[ 3つの「なぜ?」を意識する ]
・ステートメントの書き方[ 7つのヒント ]

ケース、作品に続いて準備しなければいけないのが「ステートメント」。
簡単に言うと、ステートメントとは「作品の説明書」のこと。自分はどんな人間で、なぜこの写真を撮っているのか、この作品はどんな意味を持つのか…作品を見る上でのイントロダクションとなるのがステートメントと言えます。

ステートメントの書き方をお伝えする前に、写真という視覚的なメディアに対して、なぜテキスト(言葉)が必要なのか?ということに触れてから、具体的な方法をお伝えしていきたいと思います。

写真にテキストが必要な理由

写真とは多義的なものである

写真は視覚的なメディアだから、テキストは要らないのでは?と思われる方もいるかもしれません。写真はその特性上、多義的(意味を大量に持つ)なものであるために、テキストが必要なのです。

例えばこちらの猫の写真。

この写真を見て、どんなことを思われましたか?
「かわいい!」「気持ちよさそう~」「何という猫だろう?」などなど…
この写真から何を読み取るか、どんな感想を抱くかはそれぞれが持っている背景や経験に寄ります。この1枚の猫の写真から皆が同じことを読み取るのは難しいですよね。

では、次の写真。同じ写真ですが、ふたつのテキストをつけてみました。

この猫は明日にはもうこの世界からいなくなっているかもしれません

今日のごはんは何だにゃん
いかがですか?
添えられたテキストによって、写真から受け取る印象が異なってきませんか?

このように、写真から読み取ってほしいことをある程度固定する役目を果たすのがテキストと言えます。写真を見る側は、必ずしも撮影者の意図を汲んでくれる訳ではないことを理解すると、写真におけるテキストの重要性がわかってきます。

それでは、具体的なステートメントの書き方について、ここでは
3つの「なぜ?」を意識する
7つのヒント
と題してお伝えします。

ステートメントの書き方[ 3つの「なぜ?」を意識する ]

ステートメントとは「作品の説明書」のこと。必ず意識したいのは、3つの「なぜ?」です。

1:なぜこれを作品にしようと思ったのか?
2:なぜこの写真がシリーズに入るのか?
3:なぜこういった撮り方をしているのか?

写真家にとっていちばん辛い質問は、「だから何?」でしょう。その問いに即座に答えられないと、「この写真家は自分の作品について理解できていない」と判断されてしまいます。

自らの作品を理解できなければ人に写真を説明することはできません。上記の3つを言葉にして、自らの作品を理解したうえで、ステートメントづくりに入っていきましょう。

ステートメントの書き方[ 7つのヒント ]

それでは、具体的に、文章の量や気を付けるべきことなどを7つのヒントとしてお伝えします。

その1:最大A4サイズの用紙1枚にまとめる
ステートメントには簡潔さが求められます。A4サイズ1枚に収まらないということは、まとまっていないということ。簡潔な文章を目指しましょう。

その2:1人称で書き、抽象的な言葉や詩的な表現は避ける
彼や彼女といった3人称ではなく、自分の作品なので1人称で書きます。ポエティックにならないように事実を書くことを心がけましょう。

その3:基本的なところから書き始める
撮影理由や自分のバックグラウンドなど、基本的な情報を書き出していくと、順序立てられ整理しやすくなります。
なぜこのテーマで撮影しているのか、なぜこの1枚をセレクトしたのか…それらを言葉にしていくことで、自分も気づいていなかったことが分かってきます。撮るだけではなく、何を表現したかったかを振り返る行為も大切だと言えます。

その4:3~5段落、3~5行を目安に
最初は3~5段落程度、それぞれの段落を3~5行という構成を目安に書いてみるとまとまりやすいです。

その5:テクニカルにならないようにする
作品コンセプトに関わらないのであれば、機材名や画像編集など、テクニカルな情報は必要ありません。

その6:自慢にならないように
誇張した表現はさけましょう。凄さは作品がおのずと語ってくれるのがベスト。

その7:難しい言葉は使わない
専門用語やふだん使わないような難しい言葉や表現は使わず、誰もが理解できる言葉を使いましょう。

最後に、いいステートメントに仕上げるためのポイントは、「頭で考えすぎない」こと。
文章だけ考え続けていると、頭でっかちになりがち。あくまで「写真について」の文章なので、迷ったら写真を撮ることが大切です。あるいは映画や展覧会を見に外で過ごして帰ってきて、気分転換をしてから文章を考えると、考えがまとまることもあります。

そして、ステートメントが書けた!という人は出来上がったステートメントを元に、もういちど写真の編集作業をしてみてください。きっと、テーマが曖昧なまま取り組んだ写真よりも、選びやすくなっているはずです。
「撮影」→「テーマの構成」→「編集」を繰り返して、ポートフォリオの完成度を上げていってくださいね。

次回はポートフォリオレビューの受け方・最終回。
プロフィールの書き方とプロモについてお届けします。

PHaT PHOTO vol.73~80では「写真とテキスト」の記事を連載!


写真のタイトルや写真集のキャプションなど写真にまつわるテキストについて、8回にわたって、各テーマごとに写真やテキストのプロがコツを伝授しています。ぜひ富士山マガジンサービスサイトの[マイライブラリ]よりご覧ください◎

■vol.73:1枚写真のタイトルのつけ方[小林紀晴(写真家)]
■vol.74:複数写真のタイトルのつけ方[小林紀晴(写真家)]
■vol.75:ステートメントの書き方[渡部さとる(写真家)]
■vol.76:ソフィ・カル作品から見る 文章の在りかた[岡部あおみ(美術評論家)]
■vol.77:コピーライターに訊く 相手に響く作品の売り込みかた[佐々木圭一(コピーライター)]
■vol.78:感想を求められたときの答え方[内田ユキオ(写真家)]
■vol.79:写真展や写真集の感想の書き方[内田ユキオ(写真家)]
■vol.80:「明るい部屋」についての覚書[内田ユキオ(写真家)]


フォトディレクターの推し写真集

まちスナ日和